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一番乗り
私たちの班が一番早く薬草の群生地に着いた。
幼い私を気遣って比較的緩やかでそして遠回りの道を選んだ結果、あの雨のあとでも歩ける道を歩いていたからだ。
雷を除いて、あんな雨はこの暑い時期に当たり前だ。
他の班は、崖やら空やらで行っていたようだがあの雨でルートを変更したと遠吠えや笛で連絡がきた。
「よし、みんな無事にここにつけただけ十分だ。」
ヴァル兄さんは、頭巾を脱ぎ、茶色く泥水で濡れた耳と尻尾を絞りながら笑う。
濡れた頭巾が頭に張り付いて気持ち悪かったので、私たちの班は全員頭巾と外套を脱いでいた。
ラヴィちゃんはまだパニックの余韻が残っているのかおぼつかない様子でここに着いてから、抱っこ紐をたいてもらった。
私はとっても目がいい。 だから、薬草と毒草の見分けがつく。
さあがんばろ。
ここの薬草、体力回復効果あるけど、毒草は幻覚作用があるから気をつけないと。
「ハッハッ」
頭の上から、なまぐさい空気がした。