表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非現実世界《ヴェルメン》  作者: Tries
8/38

血と才能

地面へと皆が引きずりこまれた後、サイレンの主である警備隊ジャスティンがやってきた。

ダズの幹部の一人が現れたという情報を得てここにやってきた警備隊ジャステインだったが、そこには誰もいなかった。

ほんの数分前には術を使っている者の反応があったのだが、消えてしまい、後には地に刻まれた文字だけが残された。


『I receive true King to my whole families soon!

  (我は真の王を近いうちに我が一族に迎え入れる!)


 真の王、最強の王族クラウを一族へと取り入れ、魔力世界デメイースの支配へとダズは乗りだす

   魔力世界デメイースは我が一族のものだ!                          』




彰達はキースとキースと一緒にいた美女__ビューク・ジックと一緒にある山の洞窟にいた。

小さな灯りのおかげでお互いの顔は見ることができるが、周りの様子は見難い。

正直、梓と俊也は半分そのことに不安を感じていた。

だが、キースとビュークはそんなことを無視して5人に向き直った。


「いろいろと訊きたいんだけどぉ?」

「貴方達何者なの?」

「そう言われても、私達もなにがなんだか・・・」

「髪色が変わる構造はこっちが訊きたい位だ」


質問にまったく答えることのできないことにビュークはため息をついた。


「仕方がないわ。お互い、持ってる情報だけでいいから出しましょう。早くしないと大変なことになってしまうし・・・キースもいいわね」


ビュークは隣にいるキースを見た。

キースは手を頭の後ろで組みながら、いつもと変わらぬ表情で答えた。


「ん~、まぁ反対はしないけどぉ。万族オウルの子なんかはショックだと思うよぉ?」

「何億もの人の命と、一人の精神を比較してみなさいよ!!人の精神はいつか回復できるのよ!あなたはまだ人の命を背負ってる自覚がないの!?」


語尾が延びるような口調で、くつろぎモードに完全に入ってしまったパートナーにビュークは怒鳴った。


「何億の命を守る子の精神は壊したくないってだけだよぉ・・・話さなきゃ意味ないってこと位分かってるよぉ。だからぁ、話すよぉ。

この世界にいる死族デストのリーダーが一族を中心に魔力世界デメイースの支配を始めたんだぁ。その組織の名前はダズっていってねぇ、リーダーは史上最悪の男のデトロイトォ」


言いづらそうな顔をしたキースに変わって、落ち着きを取り戻したビュークが続きを話す


「自分と万族オウルの融合を成功させて一人の娘を生んでる。それがイーフィ・デスト」

「嘘だ」


伊槻が即座に否定した。

小さい頃から自分たちと一緒にいるのだ。

そして、詩音の家族にも会っている。


「残念ながら彼女には血が繋がっている親はこの魔力世界にしかいないわ。私達も一度無力世界(ヴェール)に言って彼女を監視したときに彼女の家族を見てきたわ」

「フィーの家族は全員が技族クックだったぁ。フィーは血縁的には死族デストになるしぃ、低い確率でも万族オウルなんだよぉ。つまりぃ、フィーの家族が技族クックということはフィーの本当の家族じゃないって事だよぉ」


2人はあくまで冷静に現実を突きつける。

少しでも厳しい態度を緩めれば、情が出てしまう。

昔から役目として背負っていた自分と、突然に突きつけられる彼等とは感じる重みが違う。

そして、それを辛いだろうからと庇ってしまえば自分だけでなく、結局は彼等までもが危険な目に遭ってしまうのだ。


「デトロイトの目的は真の王になって魔力世界デメイース全土を支配下に置くことよ。最強の王族クラウの子と、自分の創り上げた娘の融合によって最強の人間兵器を生み、そしてそれを使った恐怖政治によって支配するつもりよ。放っておけば無力世界ヴェール地獄世界スカルアースはもちろん、天空世界ヴォルメン竜神世界ドルチェリも支配されるでしょうね」

「フィーはデトロイトの目的に感づいて正界レジスタンスにやってきたんだぁ。まだ物心ついたばかりだと思うよぉ・・・ここ(デメイース)にいても危険だから無力世界ヴェールに逃がしたけどぉ、同じ頃に王族クラウも感づいてゼノを無力世界ヴェールに逃がしたんだぁ」


逃亡先である無力世界ヴェール、そこで2人は会ってしまった。

それだけならよかった。

会うだけならば、お互いの血筋について触れることはないから。

だが、2人は仲良くなってしまった。

詩音はたぶん最近になって気付いたのだろう。

彰が父親デトロイトの目的の為に自分と融合させられる相手だと。

同時期に監視をしていたビュークも気付いた。

だが、デトロイトの狙っている王族クラウとデトロイドの娘が一緒にいてはあちら(ダズ)も監視をつけている可能性は高い。

その2人の近くに、覚醒の始まっていない純血である正族ジャティや天才の血筋である万族オウルがいた。

正族ジャティ万族オウルとも仲良くなってしまっている今、派手に動いてしまえばダズに殲滅され始めている正族ジャティはもちろん、危険視されている万族オウルまでもが殺されてしまう。

それだけでは終わらなかった。

そのまわりにいる他の人の血筋を調べてみれば戦族ソル魔族ジック技族クックもいた。

しかもそれが世界が一つだったときにたまたま無力世界の区域に入っていた、非現実世界で知らない人はいない位の天才の家系。

7部族全て、部族一の天才である代表が揃ってしまっていた。


「だからもうねぇ、手遅れ何だぁ」


一息ついて、キースとビュークは重たい口を開いて言った。



______彰、海人、伊槻、俊也、祐志、梓、詩音。7人の中で、誰が死んでも乱は必ず起こる。





罠ニ向カッタノハ自分。

仕掛ケタノハ、己ノ運命。

進マセタノハ、己ノ血。

ダッタラ、作動サセタノハ誰ダ?

ソシテ、戦争ヲ起コススイッチヲ押スノハ誰ナンダ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ