いつもの朝
Triesです。
忙しい日々のために更新は不定期、または長期にわたって更新不可能となる可能性が非常に高いです。
それでもという方だけお進みください。
予定では週1(土、又は日)更新です
「早く来いよ!」
そこら辺にいる平凡な姿をした普通の男子高校生が寮から出て大声で出てきた寮の玄関に怒鳴る。
一般の男子高校生にしては身だしなみが整い、真面目な雰囲気が漂っている。
怒鳴り声に呼応するかのように玄関からまた一人、童顔の男が出てくる。
こちらも服には皺1つない。
おまけに糊もきいているというしっかりとした格好だというのに、寝癖は直っていないために全てが台無しである。
「決まってるでしょ、今日だけは」
寝癖に気付いていないことに男は呆れた顔になり、童顔男の肩に手を置く。
一息吸って間を空けることによって十分に童顔男の気を引くと冷たく言い放った。
「寝癖がついてりゃ台無しだ」
「えぇ?朝起きて鏡・・・見てないや」
童顔男の間の抜けた声と発言に頭が痛くなるのを抑えられないとでも言うかのように米神に手をやった。
無意識に溜息がこぼれる。
「顔洗ったか?」
「ん~、半分寝てた」
「・・・」
半分寝ていたと言うことは下手をすればちゃんと洗えてないだろう。
呆れ返って言葉も出ない男は馬鹿らしさにもう一度溜息をつく。
そんな男に気付かずに童顔男は話を変える。
「今日で卒業かぁ・・・」
そう、今日は彼らの高校の卒業式。
そのために普段は気にしない童顔男も不十分ではあったが身だしなみに気を使っているのだ。
皺がついている制服の皺を伸ばしたりと身だしなみを真面目な人もいつも以上に整えている。
そうしておかないと真面目な幼馴染が口煩く文句を言うからというのもあるのだがと幼馴染たちを思い出して男は思った。
「ほんとに卒業できるのがおかしい奴がいるだろ」
「いいじゃん、自分の好きな奴と卒業後も会うことができれば他はどうでもいいだろ」
「まぁ、そうだけど・・・って、何言わせんだよ!!好きな奴は今の話の流れじゃ関係ないだろ!」
童顔男の話にすごく真面目に即答してしまった男の顔が茹蛸の様に赤くなり、童顔男に怒鳴る。
照れが大部分を示すその顔はまったく迫力という物がない。
「何赤くなってんだ?俺のことだったのにねぇ」
そんな男を見てからかう様に笑った童顔男の周りに5人の幼馴染が現れる。
「おはよ、海人」
「おはよぉ♪」
「ん、はよ」
幼馴染の中の2人の女のうち、一人が男に片手を挙げて挨拶し、その女の背中に乗るようにいた可愛らしい女は男と童顔男に笑いかけた。
男は2人に軽く挨拶を返した。
男の名はは市川海人。
文武両道な優等生の海人はここ一番というときは冷静になれる為に、普段からリーダーシップをとり、人望も厚い。
綺麗な黒い短髪にしっかりと前を見る黒い眼、真面目で優しげな顔立ちに平均やや上の身長で細身の身体とルックスも悪くはないために異性からの人気が高いが恋愛には奥手な純情君。
「詩音・・・俺は無視かよ」
「ん?中学はあっちだよ?」
「同い年だろーが」
「ごめんごめん、ど」
「童顔言うな?」
「はいはい。おはよ、彰」
童顔男は無視した女に文句を言いながらも楽しそうに笑った。
童顔男は新崎彰。
我が道を行くという自由人だがそれなりの常識と協力性のある彼は海人同様に人望がある。
年相応の平均的な身長は持っているものの、地毛である柔らかな茶髪と無邪気そうな顔立ちからか童顔に見え、かわいい異性に人気があるが、本人は無自覚な上に海人同様に恋愛には弱い。
しかし、キレたときの二重人格の性格を知っている幼馴染やその他の友達は不思議に思えてならない。
詩音と呼ばれた女は紺野詩音。
女子高生にしては少し高めの背で、若干つり目のそれなりに綺麗な顔立ちの彼女は漆黒と呼ぶにふさわしい黒のやや癖のある髪はをポニーテールにしている。
幼馴染といるときも女らしいことはほとんどしないためなのか、恋愛に興味は0である詩音は幼馴染以外の友達は作らず、よそでは完全な一匹狼だが、男女問わず、密かに憧れを持たれている。
また、幼馴染から見ても謎が多い。
「彰ぁ、アズちゃんから詩音に移ったかぁ?」
「勝手なこと言うな、マゾ野郎」
「彰に好かれるなんて虫唾がはしる」
マゾ野郎と言われたのは7人の中では1番目立たない村田祐志。
中肉中背でかなり平凡な顔にごくごく普通の黒髪に普通すぎる髪型と、これと言った特徴のない彼だが、周りの幼馴染たちがかなり特徴的なために逆に可哀想なほどに可哀想な意味で目立っているが、本人は気にしている素振りを見せない。
相談や喧嘩の仲裁役と人の話は親身になって聴ける温和な性格だが、爆弾発言をして状況を悪化させることも多く、それはマゾという性格を持っているからだという説もあるが真実は謎である。
恋愛はただいま5連敗で縁を切っている。
「アズちゃん、今のうちに避難しといた方がいいよ」
「触らぬ仏に祟りなし・・・です」
「そうだね・・・」
皆からアズちゃんと言われて大事にされている女は詩音の背中から下りて少し離れているところにいた2人の男のほうへと、これから起こるであろう口げんかから避難した。
百合川梓、通称アズちゃん。
ふわふわの髪に若干垂れ目で少し小さめの癒し系キャラの梓は学校のアイドルであり、彰と海人の想い人でもあるのだが、あまり恋愛に興味はないらしく告白などは全て断っている。
大事にされているのは怒らせると親友で一番懐かれている詩音でも手がつけられなくなるからでもあるが、普段はとても可愛く優しい小動物的な存在だからと言うのが一番の理由である。
丁寧口調の男は石倉俊也。
小柄な梓より更に15cm近く背が低く、かなり小さい俊也は誰が相手でも常に礼儀があり、しっかり者である上に成績は常に満点トップだが、あまりの小ささからか運動は平均以下である。
「チビ」と女性以外に言われると即刻キレるが、そんなに長くは根に持たない上、そのほかの悪口は全て受け流す。
だが、裏の性格はサディストで重度のシスコン野郎でもあり、恋愛対象者は妹と雰囲気の似ている梓であるという危険人物である。
俊也に比べて身長差が45cm以上ある背の高い男は尾野伊槻。
いつもなるべく笑顔ではいるが、笑顔と言うよりはニヤケ顔が多いためか気持ち悪いらしいという不評である彼はこの幼馴染たちの中で1番の問題児で、人をからかうのが大好きであると言う困った性格の持ち主・・・だったのだが、最近はやられる側になりつつある。
恋愛に関してはヘタレなうえに、好きになる部分が周りとは少しずれている。
3人がそそくさと離れたのに気づいた海人も少しずつ距離を開けて無事に避難した。
他の人たちの喧嘩なら止めるであろう海人だが、彰と詩音の喧嘩だけは自分の安全優先である。
「こんなの女じゃねぇだろ!」
「はぁ?目ぇおかしいだろ!?何のために髪伸ばしてると思ってる!」
喧嘩が始まったところに喧嘩仲裁役である祐志が止めに入ろうと数秒悩むもすぐに仲裁に入ることを決意する。
どうすれば止まるかと悩んだ挙句・・・
「ごめん、詩音が女って正直同意できないよ」
祐志が禁句を言ってしまった。
どう考えても仲裁にならない言葉である。
「馬鹿・・・」
「火に油注いでは駄目でしょう」
「我関せず」
「・・・同感」
梓が頭を抱え、俊也が遠くから祐志にツッコミをいれ、海人が関係ないとばかりに首を振った。
その隣で一人小さく伊槻が同意というと、4人は同時に手を合わせた。
「ご愁傷様です」
息もぴったりに祐志の冥福を祈ると4人は学校へと一足先にと行ってしまった。
「祐志、そんなに死にたかったの?」
「・・・あれ?もしかして俺ヤバイ?」
「うん、じゃぁ彰と一緒に地獄に堕ちろ。手伝ってやるから」
「って詩音さん!それ怖い!ちょ、やめっ・・・」
「うるさい、死ね、馬鹿」
後に残った3人は遅刻ギリギリまで喧嘩(一人が優勢)していたのを、同じく遅刻ギリギリだった同級生Aが目撃したというのはまた別の話である。
これからよろしくお願いします