2月のビックイベント
「ここでいいんだよね」
今日は学校が休校ということで、めいいっぱいゲームをするぞ!と思っていた矢先、突然花鶏さんと十山さんに呼び出されたため、2人の指定した駅にまでやってきた。
にしても僕を呼び出すってなんなんだろうか、特段2人とあってすることはなかった気がするし。そもそも、そういう約束的なのもなかったはずだ。
「いた、白木さん」
「花鶏さんこんにちは」
「こんにちは、突然すみませんね」
十山さんもいるのかと思ったけど、僕のところに来たのは花鶏さん1人だけだった。
「どうせゲームするだけだったんで、いいんですけどなぜ僕を召喚したんですか?」
「召喚って…まあとりあえず着いてきてください。そしたらわかると思うので」
わけがわからないまま、花鶏さんの後ろを追従することとなった。着いてきてということは、十山さんもそこにいるのだろうか。
「はい、到着しました」
「花鶏さんここは?」
「私の家です」
「へ?」
花鶏さんに言われついて行った先は、そこそこ大きめの一軒家。
「まあ、とりあえず上がってください」
「へ?」
唐突な出来事に放心状態になってる僕を他所に、僕を家の中へ招き入れる花鶏さん。
「お、おじゃまします」
ていうか、僕人生経験的に女子の家とかまじで初めてなんだけど。というか、普通に男友達の家に行った記憶もないな。粗相のないようにしないと。
「あ、白木君来た」
「十山さんこんにちは」
花鶏さんについて行ってリビングに入ると、キッチンと思われるところでエプロン姿の十山さんが料理をやっていた。キッチンから来る匂い的に甘いものだということがわかる。
「とりあえず白木さんここに座っといてください」
「あ、はい」
花鶏さんにされるがまま、ダイニングテーブルの椅子に座らせられた。
「ところで、なぜ僕はここに?」
「千夏説明してないの」
「いや、さすがにここに来ればわかるかなって思ったから」
2人は特に打ち合わせみたいなのはしてなかったんだ。
「ゴホン、白木君匂いでわかんない?」
「さっきから甘い匂いはするなとは思いますけど」
「じゃあ今日何日」
「たしか2月14日ですね」
「なんの日?」
「なにって、受験の日ってことですか?」
今日僕達の学校が休講の理由は、次にくる新入生達の受験日ということで休校になっている。てか、2人ともそんな僕を呆れた目で見ないで。
「白木君、2月のイベントと言えば?」
「2月、2月…あー、白川歌姫さんの誕生日」
そういえば、超絶人気声優の白姫さんの誕生日が2月だったような気がする。でもそしたら、僕を呼ぶ意味がないか…
「千夏、この人重症だよ」
「多分今まで縁が無さすぎて、存在を抹消してるんじゃない?」
僕も的はずれなこと言ってる気はするけど、2人揃って僕を馬鹿にするのはやめて欲しい。
「白木さん、今日はバレタインですよバレンタイン」
「あー、そういえば今日でしたっけ」
「ほんとに気づいてなかったんだ」
毎年バレタインは母からノーカンチョコを貰って気づくから、真面目に気づきようがなかった。
「だから、私達がチョコあげるって話。朝から作ってたんだから」
「それは、ありがとうございます。あと、すみませんでした」
「翠々花とか頑張ってたんですよ、何回も何回も失敗しちゃって」
「それは言わないでよ!」
僕が言える立場では無いけど、別に手作りじゃなくて市販のものでも良かったんだけどな。
「失敗ってことは、チョコ自体は」
「もうできてて、今冷やしてるとこですね。よろしければ、ここでもう1個作ってもいいですけど。それか白木さんもやりますか?」
「遠慮しておきます。僕料理はからっきしなので」
僕の料理の成績としては、過去行った家庭科の調理実習で何度も戦力外通告をされた経験を持っている。
「ところで、花鶏さんのご両親は」
「お父さんは仕事で、お母さんは買い物行ってますね。多分そろそろ戻ってきますし、外出ますか?」
そろそろ帰ってきちゃうのか、でも外か寒いのはちょっと嫌だなここ普通に暖かいし。
「花鶏さんの部屋行ってもいいですか?」
「白木君…」
「白木さんそんな、初めて来た女の子の家で自分から部屋に入りたいだなんて」
やべ、少し不味いこと言っちゃったのか。確かに自分で考えてみても、ちょっとキモイと感じるな。
「あ、いや別に他意はないんですよ。単純に花鶏さんの周辺機器が気になったので」
十山さんもそうだけど、2人のプレイの上手さ的にどんな感じの周辺機器になっているのかは、ずっと前から気になっていたことだったし。
「別にいいんですけどね。部屋くらい」
「でも千夏の部屋ってさ…」
「翠々花?」
何かを言おうとした十山さんの口を押えて、少し重めの圧をかける花鶏さん。何か聞かれたら不味い事だったんだろうか。
「ちょっと、待っててください。2人は楽しく、大声でもいいので談笑しといてください」
「大声って…」
そう言った花鶏さんは、リビングから消えるなり急いで階段を登って行ってしまった。
「千夏まだやってないんだ」
「花鶏さんがどうかしたんですか?」
「いや、なんでも」
「そういえば、十山さん料理苦手なんですか?」
さっき花鶏さんが何度も失敗と言っていたし、十山さんも僕同様料理が苦手なのだろうか。
「ま、まあちょっとね。昔っから」
「それは素晴らしい」
「え、馬鹿にしてる?」
「違います違います」
僕は決して馬鹿にしているわけではなく、ただ近くに料理苦手仲間がいるのが嬉しいということだ。
「でも、それでよくチョコ作ろうと思いましたね」
「ま、まあそれはねえ?やるしかないじゃん」
重要な部分がないから、全くもって話がわからん。まあ、料理の練習みたいなものと考えておこう。
「いやー、2人ともごめんなさい」
「あ、千夏やっと帰ってきた。ちゃんと下g…」
またも何か言おうとした十山さんの口を、閃光のような速度で塞ぐ花鶏さん。
「まあ、とりあえず私の部屋行きましょうか。その前に白木こっちに」
僕も立ち上がってリビングを出ようとしたら、冷蔵庫前の花鶏さんに手招きされたため近寄った。
「はい、どうぞハッピーバレンタイン」
「ありがとうございます」
「ここで食べていいですよ」
「それじゃあ1つ」
花鶏さんのくれたチョコは、名前は知らないけど丸いヤツ袋の中を見ると、チョコスプレーのかかったものや白いものなど種類はいくつかあるようだ。
その中から1つ普通っぽいものを取り出して口に入れると、味は普通に美味しく舌触りも良。
「美味しいですね」
「ありがとうございます」
ちゃんとした言葉の具現化が出来ないから、ただ美味しいとしか言えないけれど感想を聞いた花鶏さんは、ちゃんと嬉しそうな顔をしている。
「はい、白木君これ」
「十山さんもありがとうございます」
「私のはここで食べないでね。その、恥ずかしいから…」
恥ずかしそうにしながらも、花鶏さんとは別の柄の袋を手渡してくれる十山さん。
「じゃあ、今度味の感想言いますね」
「いや、言わなくていいから!」
「とりあえずお母さん来る前に、早く部屋行きましょうか」
花鶏さんの言葉で一旦一区切り入れ、2階へ上がって花鶏さんの部屋に入室させてもらった。
花鶏さんの部屋には、大きめの勉強机の上に大きめのモニターが置かれていて、その後ろにベット。勉強机の横の棚には、教科書や本が何冊か入ってる。部屋自体は、床に何も散らばっておらず普通に綺麗な部屋と言える。
「早速で悪いんですけど、見てもいいですか?花鶏さんのPC」
「いいですよ」
本人からの許可が降りたため、早速勉強机の下にあるデスクトップに近づいてどんなものか拝見させてもらう。
「花鶏さんこれって、そこそこ新しいやつですよね」
「て言っても2年前のものですけどね」
花鶏さんの使っているPCは、ゲーミングパソコンメーカーの大手「シロップ」のそこそこいいモデルだった。
「花鶏さん元々、ゲームそこまでガチでやるつもり無かったのにこれってことは、どこかで変えたんですか?」
「いや、なんかお父さんがゲーム好きみたいで、その話をした時何故か買ってくれたんですよ」
「千夏ほんとにいいよね、私は親戚のお下がり。まあ、あれ自体そんなに悪いものじゃないんだけど」
「2人とも環境が恵まれですね、僕はお年玉とかを…!?」
なんとなく、デスクトップの造形を見るために机の奥の方に入って確認しようとしたところ、机の下というか部屋の隅に水着と同じ造形をしていて、けれども装飾がガチなものが落ちている。
「どうかしました、白木さん」
「い、いやちょっと頭ぶつけただけなんで。気にしないでください」
「いや、それ大丈夫?」
「いや、ほんとに大丈夫なんで」
このことは、黙ってゆっくり体を机から出そう。そう、僕は何も見ていない。にしても大きかったな。
「そろそろ、僕帰りますね」
「もう、帰るんですか?」
「帰ってゲームしたいので」
「ガチだね」
「そういうことなんで、帰りますね」
軽く身支度をしてから、十山さんと花鶏さんと一緒に部屋を出て1階へ降りる。
「あ、千夏ー翠々花ちゃん以外も来るなら言ってくれればよかったのに、ジュースぐらいなら…あらあら?」
1階に降りた瞬間、いつの間にか帰ってきていたらしい花鶏さんのお母さんと出くわした。
「なに?ハーレム王?」
「お母さん」
「きみ、名前は?」
「白木です」
突如出くわした花鶏さんのお母さんは、僕に不名誉な名前をつけてから名前を訪ねてきた。なんだよハーレム王ってほんとに不名誉だな。
「そう、白木君。千夏がいつもお世話になっております」
「あ、いえこちらこそ」
「私はいつでも待ってるから。あ、進めちゃんの方の可能性も…」
「だから、お母さん。白木さん、早く」
「あ、はい。それでは、また」
花鶏さんのお母さんの言葉はどんどん加速していき、見かねた花鶏さんは僕を急かして家から出した。
「てか、バレタインもらっちゃった。ホワイトデー考えないとな」
ちょっとだけ
「お母さんああいうのほんとにやめて」
白木を家から出したあと、少し顔が赤くなっている千夏が母親に怒りをぶつける。
千夏の母は、比較的社交性が高いというか、飲食店の店員にめちゃくちゃ絡むタイプの人だ。
「別にいいでしょ?もしかしたら千夏の将来の…」
「1回黙って。翠々花はどうする、帰る?」
「もう少しだけ居ようかな」
「じゃあ部屋行こ」
母親の対応に疲れた千夏は、翠々花と共に再度部屋へ戻って行った。
「千夏疲れてるね。いつもの落ち着きがないというか」
「そりゃ疲れるよ。白木さんに嫌われてないといいけど」
「まあ、大丈夫でしょ。まだ付き合ってる訳でもないし」
そう言いながら、翠々花は千夏の勉強机の下に入ってデスクトップを見始めた。
「翠々花なにしてんの?」
「いや、さっきの白木君の反応が気になってね。ほら、頭打った音しなかったし」
翠々花のこの行動は、先程の白木の喋り方に不信を覚えたための行動だった。
「何か面白いものでも…あーなるほど」
「なに、なるほどって」
「じゃーん可愛い下着」
翠々花が机の奥から取り出したのは、千夏のものと思われる下着。
「あー!」
それを見た千夏の顔は、先程よりも赤く染まっていく。
「いやー、可愛いね。にしてもほんとに大きいな」
服の上から千夏の下着をつけ大きさを確かめ始める翠々花。それと共に、千夏の顔はさらに赤みをましていく。
「もう!今日はチョコもあって完璧だと思ったのに!いろいろ最悪!」
「でも、これは千夏が部屋を綺麗にしとかないからじゃない?」
千夏の部屋は、基本的に本やらクローゼットから出した服で地面が埋まっている一般的な汚部屋だった。
「わかった、これからはちゃんと部屋綺麗にする。だから翠々花も手伝って」
「そもそも、普通部屋は綺麗にしとくものじゃない?」
「うるさい」
今日の後半に起こったことが大きすぎて、軽く涙目になっている千夏だった。
最近アホみたいに投稿をサボっていましたが、多分投稿ペース自体は元に戻るのでよろしくお願いします。




