スペクエでのクリスマス
「ホワイトさん、メリークリスマス!」
ローレルが元気よくメリークリスマスと言って、通話に参加した。
「メリークリスマス、ローレルさん」
「ホワイト君メリークリスマス」
「ヘリオスさんこんにちは」
「私だけ挨拶なの?」
同じタイミングでやってきたヘリオスに、こんにちはと挨拶をしてからスペクエを開く。
「なんだっけ確か今日明日でクリスマスイベント始まるんだっけ?」
「そうですね、今回のクリスマスイベントはボス攻略に加えて、1人1個クリスマスプレゼントが配られるらしいですよ」
そんなことをするといったことを、この前公式ホームページの方で確認している。一応これ以外にも、幾つかあるらしいけど、大まかなのはこの2つだ。
「へーボス討伐て言うことはサンタ?」
「いや、サンタ殺しは親殺し同然でからさすがにないんじゃないですか?」
「あ、ホワイト君夢なーい」
「そうですよ、ホワイトさん夢が壊れちゃいますよ」
「え、これ僕が悪いんですか?」
てゆうか、夢ないって言う方も現実に気づいてるから夢ないのでは?
「てかさ、2人はいつまでサンタさん信じてた?ちなみに私は小5」
「私は確か小2ですね」
「はやいな」
「はやいですね」
小2で気づくって何があったのか気になるんだけど。親のミスか、誰かから聞いたのか。
「ホワイトさんは?」
「僕ですか?高一ですね」
「え…」
「ホワイトさんさすがにそれは…」
「ほんとですね」
僕が気づいたのは、去年葉月とクリスマスの話をしてる時に葉月が教えてくれた。
「えー、じゃあホワイト君知り立てほやほやってことじゃん」
「周りに比べるとそうかもですね」
去年サンタはいるとか言って葉月にめっちゃ笑われたことを思い出す。
「それで、さっき親殺しとか言ってたんだ」
「まあまあ、僕はもうそれを知ってるんだからいいじゃないですか」
「まあね、でもホワイトさんよくその年まで知らずに過ごしてましたね」
「まあ、何となく僕の中で予想は1つたっですけど」
僕の立てた予想的には、中2の時のあれが関係していると思う。
「なになに、予想って」
「ま、まあそんなのはいいので早く始めましょうか」
「なんだよぉ、気になるなー」
あれに関しては、この2人にも言いたくは無いし僕自身も思い出したくは無いものだ。
「それじゃあ早速始めようか、親殺し」
「違いますよね、最低でもサンタ殺しぐらいにしてくださいよ」
「おー!雪が降ってますね」
スペクエの世界に入ると、そこには地面が雪に埋もれた真っ白な世界が広がっていた。
「で、クリスマス限定のボスはどこにいるの?」
「確か…北の雪原のどこかに居るって」
「て言うことは、エリアボスですか」
「そうなるんじゃないですかね。ダンジョンとは言ってなかったので」
僕の記憶に間違いがなければ、イベントボスは北の雪原のどこかにいはず…
「でも、北の雪原って確か装備で対策しないとデバフ貰うよね」
「そうですね、装備が嫌ならポーションもありますけど」
北の雪原、スペクエのマップで1番北にあるエリア。一年中雪が降っていて、エリア内は寒さでデバフを受ける。デバフの内容は、定期的なダメージや移動速度低下といった寒いエリアならではのデバフがかかる。
「そういえば、クリスマス限定装備配られてませんでしたっけ?」
「そういえばそんなものもありましたね」
先程、今日配布されるクリスマスプレゼントと共に、クリスマス衣装と書かれた装備が一緒にメールボックスに入っていた。
「さっき私効果みたんですけど寒さ耐性の効果が着いてたんですよ」
そう言われて、インベントリにある装備を見ると確かに寒さ耐性がついている。
「じゃあ、今日はこれ装備して戦う?」
「でもこの装備防御力低いですけど」
「まあまあ、そんなこと言わずにせっかくのクリスマスなんだからさ」
ヘリオスに言われてクリスマス衣装を装備する。装備すると、見た目は普通のサンタ衣装。2人の方を見ると、2人もサンタ衣装ではあるもののミニスカートのタイプのやつ。ちゃんとキャラの性別で配布装備を変えているらしい。
「どう、ホワイト君似合ってる?」
「いいんじゃないですか?可愛いですし」
「あれ、もしかしてホワイトさんミニスカ大好き?」
「いや、そういう訳では単純にいいなって思っただけで…」
「なんか慌てられるとガチ感でますねー」
「そんなのはいいので、早く行きますよ」
結構真意で言ったらあらぬ疑いをかけられたけれど、どうにか流して北の雪原へ向かう。
「いやーこっちも凄いね。真っ白」
北の雪原へ着くと、こっちは元いた王都とは違い豪雪レベルで雪が降っている。
「この状態でボス探すんですか?」
「そうなりますね、まあマップは使えるのでそれを頼りにって感じですね」
この前の吸血鬼のマップとは違って、豪雪で前は見にくいもののマップはしっかり使える。
「とりあえず、森向かおそっちなら視界も見やすいだろうし」
「そうですね、近くの森に行きましょう」
マップを開いて近くの森を探す。見た感じ近くの森は、「白ひげの針葉林」だろうか。
「そういえばなんですけど、2人は今日の予定とかないんですか?その、男性の方とか」
「私たちは特にないね、クラスでクリスマス会やったけどそれは1週間前にやったし。そもそも、彼氏はいないしてゆうか居るならこの状況結構まずいでしょ」
それは確かに顔も知らない男と仲良くゲームしてるのは結構ダメかもしれない。
「それに私達は…」
「どうかしました?」
「い、いやなんでも。ね、ローレル?」
「私に振るの!?」
何かをボソッと言ったヘリオスは、何かを誤魔化すようにローレルへ話を振って流した。
「やっと着いた、これで白くて面白味のない画面からおさらば出来る」
北の雪原に入ってからようやく、白ひげの針葉林にたどり着いた僕達は、そのままこの森の探索を始めた。
「てゆうか、明らかここだよねボスいるの」
「そうですか?」
「だって名前白ひげだよ?絶対サンタさんボスだって」
「そうですかねー?たまたまとかではなく」
「2人とも見てください、そりありますよ」
そう言ったローレルの方を見ると、確かに後ろに大きなトランクのあるサンタの乗っていそうなそりが放置されている。
「ほらー言ったでしょ」
「わかりませんよ、ボスがサンタを食い殺したトナカイの可能性だって」
「急に殺伐としたこと言い始めましたねホワイトさん」
とは言ったものの、スペクエのストーリー性的にトナカイが食い殺すみたいなものは無いだろうし、多分サンタでほぼ確定だろう。
「てゆうか、ちょっと乗ってみません?」
「このそりにですか?」
「乗るついでに写真も撮りたいので」
この場に放置されたそりをフォトスポット扱いするローレル。まあ、ゴミみたいなものだしいいか。
「それくらいならいいですよ」
「やったー、それじゃあ早く乗りましょ…」
ローレルが1番にそりに乗ったと思ったら、乗り込んだ瞬間にどこかに飛ばされた。
「ローレルさん大丈夫ですか?」
「はい大丈夫です。即死トラップでは無いっぽいですけど。どこか、広い場所に飛ばされました」
「わかりました、とりあえず僕達もそっち行きます」
ローレルに続いて、僕とヘリオスもそりに乗ってローレルの飛んで行った場所まで飛ぶ。
「確かに広いですね。とゆうか、この広さは…」
「メリークリスマス!」
飛んだ先を見渡していると、どこからともなく10mほどある巨体の男がメリークリスマスと言って落ちてきた。言ってしまえば、巨人族のサンタと言ったとこだろうか。
「えっと…これがボスでいいの?」
「わかりませんけど、そうなんじゃないですか?」
今のところこのサンタが攻撃してくる気配が全くないため、ボスなのか友好NPCなのか判断がつかない。
「とりあえず近づいてみればわかりますって」
「メリークリスマス!」
「プレゼント!?」
ローレルがサンタに武器を担いで近づくと、サンタは担いだ袋からプレゼントを取りだしてローレルに投げつける。その箱からは、爆弾がいくつか出てきてローレルが被弾した。
「大丈夫てずか!」
「はい、死にはしないと思いますけど。如何せんこの装備防御力低いので、絶対死なないって訳ではなさそうです」
確かにローレルの残りHPを見ると、こういう攻撃を食らった時のいつもの減り方よりも大きい。
「でも、見た感じこの人攻撃は1人にか出来なそうだし。2人で攻撃すれば大丈夫でしょ」
「そうかも。ホワイトさんもし私たちがダメージ食らった時は、回復お願いします」
「わかりました、もし死にかけても馬鹿につける薬で回復するのでご安心を」
攻略方法を考えついた2人は、ローレルがサンタの背中ヘリオスが前方向と別れて攻撃を始めた。
「これで終わり!」
ローレルがサンタの背中から、1発攻撃を入れサンタはその場に倒れた。サンタの強さは、戦ってみると意外と弱い初心者向けボスだったらしく、途中から2人はサンタのヒゲを剃るなどして遊んでいた。
「いやー結構楽に終わったね」
「ドロップ品は…」
サンタの落としたドロップ品を見ると、結構面白そうなものが入っていた。
プレゼント交換ボックス、フレンドやパーティーメンバーとアイテムを交換できるアイテム。使用者は中身は知れるけれど、自分で入手は不可。複数パーティーの場合は、ランダムボタンでパーティーの誰かに飛んでいく。
「へ〜プレゼント交換ボックス…面白そうだね」
「じゃあこのまま帰らず先にランダムで交換会やっちゃいますか?」
「運が悪かったら誰か貰えない可能性ありますけどね」
ランダムなパーティーメンバーに飛んでいくという事は、運がいい人は自分以外全員からプレゼントが貰えることになる。
「それも一興だしとりあえずやってみよか」
「その前に中身を確認していいですか?」
2人のどちらかに送る前に、プレゼントの中のアイテムを確認しておく。
「それじゃあ2人ともいいですか?それじゃあ!」
「「「メリークリスマス!」」」
3人同時にメリークリスマスと言い、ランダムボタンを押して誰かにプレゼントを送り付ける。
「お、私には来た」
「私も来ました」
「僕もです」
幸いなことに誰かが不幸になることはなく、全員にプレゼントが行き渡ったらしい。
「じゃあまず私からこれは…万能グレネード?」
「じゃあそれ僕のですね」
僕の送ったプレゼントボックスに入っていたのは万能グレネード。何度でも使用でき(クールタイム有)手榴弾、煙幕、閃光弾などいくつかの種類の投擲武器に変形する。てゆうか、剣と魔法の世界に手榴弾って合わないな。
「へ〜ホワイト君の…」
「いいなーヘリオス。じゃあ次は私の私のは…聖なる剣ですね」
「じゃあそれ私のだ。確か常に聖属性付与されてる武器だった気がする」
ローレルが引いた武器は、ローレルにとって結構有用性の高い武器だった。
「じゃあ最後の僕のは」
「私のですね。私のは、聖職者の魂のマフラーです」
聖職者の魂のマフラー、装備時あらゆる属性攻撃耐性、自己回復の着いたマフラー。低確率で攻撃に聖属性が乗る。
「これは、これは便利なものを」
「なら良かったです」
僕にとっては、結構嬉しい装備の贈り物を貰うことが出来た。自己回復は結構強いと思う。
「それじゃあそろそろ戻ろうか、元いた場所へ」
プレゼント交換も終え、サンタの倒れた場所に出現したポータルに入って元いたそりの場所へ戻った。
クリスマスの2人
「いやー嬉しいね。まさかホワイト君からプレゼント貰えるとは」
「ほんとにいいなー翠々花」
ホワイトからプレゼントを貰えたことで軽いマウントを取る翠々花、それに悔しがる千夏。
「でも、いいじゃん千夏はホワイト君にプレゼント送れたんだし。聞いた感じずっと愛用するタイプの言い方だったし」
「それもそうだけどね」
千夏は、自分の送ったものを使っている姿しか見れないけれど、翠々花はその人から貰ったものを常に使えると言った差が生まれていた。
「てゆうかもうクリスマスってもう1年終わりかー。結果的にホワイト君には会えなかったね」
「そうだね、でも来年が…いや、最後に1回方法あるかも」
「え!ほんとに教えて教えて!」
「えっとね…」
またも千夏が突発的にいいアイデアを思いついたらしく、翠々花に大体のことを話す。
「確かにそれいいかもそれに皆にも会えるかもしれないし」
「でしょ?とりあえず聞いてみるだけ聞いてみようか」
さあ、次回はどうなるんでしょうね。私も楽しみで夜しか眠れないです。




