文化祭Day.2
文化祭も始まって2日目、昨日は特にトラブルはなかったらしいけれど、今日は何故か一味違う。
「ねぇねぇメイドさん俺たちと一緒に校内回らない?」
「そういうサービス流行っていないので…」
「いやサービスとかじゃなくてメイドさんの気持ちを聞いてるんだよ」
そう、なぜだかメイドさんにナンパをする人が増えたのだ。
今僕が見ているだけでも、3人くらいは見ている。
「いやー酷いねどうする?」
休憩スペースで軽い作戦会議が行われている。ちなみになんで僕がここにいるかと言うと、単純に人の少ない休憩スペースを探した結果だった。
「とりあえず一旦今日だけ手を打つのは?明日は減るかもしれないし」
ナンパをする人は、僕が来る前から何人もいたらしくこっちは困り果てていたら。
「手って言ってもどうすんの?」
「簡単な話さ、メイドさんの割合を男子多めにする」
「あ〜」
葉月のした提案に作戦会議をしていた全員が納得する。
「とりあえず今日はそれで行こうか」
「それじゃあ白木着替えて」
「なんで僕!?」
僕はただひっそり座って話を聞いていただけなのに、突然葉月にメイド服に着替えろと指名された。
「今日は男子が接客するから人手を増やさないと」
しかも一応ちゃんとした理由で断りにくいし。
「それに昨日1着余ってるって言ってたし。まだある?」
「あるよ、そらそこに」
クラスの女子が指さしたとこを見ると、机の上に綺麗に畳まれたメイド服が1着。十山さんまだ回収してないのかよ。
「よし、じゃあ着替えるぞ俺も着替えなきゃだし」
「いや、サイズが合わないかもだし…」
「着て見ればわかるだろそれに、見た感じ大きさは大丈夫そうだぞ」
確かに僕と十山さんの身長は同じくらいだけど。この場合僕の身長(167cm)が低いのか、十山さんの身長が高いのかは分からないけど。
「おーそこそこ似合ってんじゃん」
「お世辞はいらないよ」
「いやまじまじ」
強制的に葉月にメイド服に着替えさせられたけど、とにかく恥ずかしい。しかもこれで昨日の十山さんとかのやつをやるとなると更に…
「それじゃあ店に戻るか、ナンパ客を撃退のために」
再度葉月に連れられて教室に戻ると、男女比元3対7から比が9対1に様変わりしていた。残った1の女子はメイド喫茶のコンセプトを守るためだろう。
「何するかは知ってるよな昨日来てたし」
「ま、まあだいたい」
もう遅いけど、やっぱり僕接客から配膳まで何から何までやるんだ。
「困ったら俺か他のやつに聞いてくれそれじゃあ頑張れよ新人メイドさん」
僕の肩を叩いて入口の方へ向かう葉月だった。僕にできるかな接客そこそこ対人苦手なのに。
「お、おかえりなさいませ、ご、ご主人様。お席はあちらの方に…」
僕が仕事に就いてから初めてのお客さんが来た。今のところは、まだ大丈夫なはず。
「こちらがメニュー表です、注文するものが決まったら僕以外のメイドさんを呼んでください」
「何逃げようとしてんだ」
「いや、僕は別のご主人様の対応を…」
最低限の話だけしてこのばを離れようとしたら、見られていたのか葉月に捕まった。
「大丈夫だから。今の時間人数は足りてるから」
言われて周りを見ると、確かにメイドを待ってる人は居ない。
「ご主人様ご注文はお決まりでしょうか」
「は、はい。この小悪魔デビルカレーで」
ほら、僕たちが目の前で変なことするからご主人様少し引いてるよ。
「かしこまりました、それでは少しお待ちを。ほら白木行くぞ」
オーダーを終えて葉月に押されながら、言われた料理を伝えに行く。
「お、お待たせしました。小悪魔デビルカレーです。それでは失礼します」
「あ、あのーこのおまじないというのは…」
お客さんが指さすのは、メニュー表に書かれた美味しくなる呪文という文字。
「いやーごめんなさいね。こいつ新人でまだちゃんと覚えられてなくて。ほら白木」
「やるの?」
「そうしないと美味しくないんだよ」
それはこじつけだろと思いながらも、料理の前に手でハートを作って呪文を詠唱する。
「お、美味しくなあれも、萌え萌えキュン」
なにこれ何属性の何魔法?絶対黒属性の美味しくする魔法じゃなくて、黒歴史を生成する魔法だって。
「よ、ようやく終わった」
僕が接客を初めてから、7人目でようやく交代の時間になった。その間唱えた呪文は、6回何度やってもなれなかった。とゆうか慣れたくもない。
葉月はもう少しやるって言ってたし、僕は1人昨日気になってた執事喫茶にでも行こうかな。まあ、高校生だからアニメみたいなイケおじはいないと思うけど。
「ちょっと通してください」
「え〜そんな邪険に扱わなくたっていいじゃ〜ん。ほらご主人様のお願いなんだしさ」
「ほんとにやめてください」
またかと思うけど、僕が執事喫茶のある方へ向かっていると男2人に絡まれるメイド服の十山さんが居た。
「じゃあ30分、30分だけでいいから俺たちと遊ぼ?」
「嫌ですよ私これからちょっとあるので」
「え〜じゃあ何分ならいいの?10分?60分?」
「話聞いてください」
十山さんにナンパする男たちは、全く話を聞く気がないらしく十山さんの説得は全く考慮されていない。
「あ、あのすみません」
「なに?君もメイドさんか俺たちと遊びたくなった?」
「僕は男ですよ!」
なんでそうなるんだ、仮に葉月の言ってたそこそこ似合ってるがホントだとしても、声はそんなに女性的な声じゃないでしょ。
「なんだ男かよ。で、なんのよう?」
「あ、いや僕が用があるのは十山さんの方で」
「へー君十山ちゃんって言うんだ」
男が十山さんの名前を聞いて、十山さんを舐めまわすように全身を見る。
「で、私になんの用なの?」
「十山さんそろそろ時間だから呼んで来いって」
ちなみにこの十山さんのシフトはもちろん嘘だ。
「そうか、そういえば。忘れてたは、ごめんねわざわざそれじゃ早く行こっか」
「あ、そうなのそれじゃあ俺達もそこ行くか。ちゃんとした奉仕してくれよ〜」
めちゃくちゃ言い方ムカつくけど、とりあえず十山さんを救い出せたみたいでよかった。あとはこの人たちが着いてくるからどうするべきか…
「じゃ、行くよ白木君」
「ちょ、ちょっと」
男たちが道を開けてくれて、十山さんがそこから僕の腕を掴んで教室方向へ引っ張る。しかも俗に言う恋人繋ぎで。
「ちょっと、十山さんなんで急に…」
「だって、こうした方があいつらとまたあっても絡まれないでしょ。ほら…」
十山さんに言われて、後ろにいる男たちの方に耳を澄ませる。
「なんだよ、彼氏だったのかよ」
「残念だったな、まだ俺達にはあのレベルは早かったのかもな…」
十山さんに対しては結構食い下がってたのに、彼氏(嘘)が出た途端結構簡単に諦めてくれた。
「頭いいですね」
「でしょー。あいつらが見えなくなるまでしばらくこのままでお願い」
十山さんが咄嗟にこの作戦を思いついたのだとしたら、結構策士だな。
「とゆうか十山さん今日は、メイド服なんですね」
「なんか私のメイド服がなくてね、じゃあこのままって言おうとしたら千夏が服を交換しようって言ってね。だから今千夏がタキシード着てる感じ」
「ごめんなさい」
「なんで白木君が謝るの」
この服はしっかり十山さんだったらしい。明日ちゃんと選択して返しておこう。
「あの、十山さんそろそろ手を…」
「あ、ごめん」
男達からそこそこ離れたところで十山さんに指摘すると、その場で手をパッと離してくれた。最初は頭いいなくらいしか思ってなかったけど、よくよく考えると結構恥ずかしいことしてるのに気づいたし。周りからは十山さんがどう見えてたんだろうか。
「十山さんはこれからどうするんですか?」
「一応クラスの方に行くよ。あいつらが来たら嘘だったってバレるかもだし」
「そうですか、それじゃあ気をつけてくださいね」
十山さんとは、そのまま別れて僕は気を取り直して執事喫茶の方へ向かう。
「おかえりなさいませ、旦那様」
執事喫茶に着くと、昨日の十山さんと同じタキシードを着た男装執事さんが出迎えてくれた。これは失礼だけど、タキシードなら十山さんの方が似合ってたかも。
例の如く十山さん達はイベント毎に何かしらに絡まれてますね。




