二回目のTutte-トレンド入り
あのバラエティを撮って一週間がたった。ドラマの打ち合わせがとうとう明日になったのでこの頃は一人でやっていた演劇練習をママに付き合ってもらいながら行っていた。そのおかげで口調も安定してきていまならすらすらと話せるようになった。休憩の時間になり水分補給をしているとママがうるさくなった。
「きゃーーーーーーーー!季楽ちゃんすごいわーーーーーーーーーー!」
「ママうるさい。」
「もー。そんな冷たいこと言わないでよ。」
「それでどうしたの?」
「気になる?気になっちゃう?」
ママがとんでもなくテンションが上がっている様子から何となくわかってきた。でもここは、
「気になるから教えて?」
「あざといわ、季楽ちゃん。可愛いから教えてあげる。」
ママには怒ってるときにかわいいアピールは効かないけどそうでない場合はきちんと効く。いつもはちょろって思うのに一番効いてほしいときには効いてくれないのは本当に困る。でもそういうところがさすがママって思うんだよね。
「見て季楽ちゃん。」
「Tutte-だね。」
「そこじゃなくてここ‼」
ママがスマホの画面を指さしここだと何度も言う。
「なになに?トレンド?」
「そうそう。もう少しで季楽ちゃんの初バラエティが始まる時間でしょ?だからもう楽しみだ―とかCMをみて可愛いってたくさんの人がつぶやいてくれてるの。だからもう!みて!季楽ちゃんの名前がトレンドに入ってるのよ!」
予想通りといえば予想通りだが、まさかのテレビで放送される前からトレンド入りするとは思わなかった。ていうか、トレンドの中には天使とか入っているけど多分私のことだよね。確かに今世の私はとんでもなく可愛いから仕方ないよね。ムフフ
「そろそろ練習を終わろっか。多分パパは無理だけどにぃにとねぇねはもう帰ってきてると思うから一緒に見よっか。今日は少し夜更かししちゃお?明日の準備は手伝ってあげるからゆっくり寝ていいよ。」
「ねぇ、テレビ見ながらTutte-おってもいい?」
「気になっちゃうの?」
「気になる。」
「季楽、おってもいいけどこれだけは覚えていてね。周りに流されちゃダメ。これだけは譲れないものを持っておくことが大事。分かった?」
ママは真面目な話をするときはちゃんづけをせずに名前を呼ぶ。それもそうだよね。ほかの人のコメントで潰されるのは前世でたくさん見てきた。ママも過去に似たような過去を経験しているんだろうか?
「分かった。」
「季楽の譲れないものは何?」
「まだよくわからないけど、私は私のやりたいことを全部やる‼」
前世での後悔。二回目の人生は好きなことを、やりたいことを全部やる。後悔しないためにいつも考えていること。
「そっか。今の季楽のやりたいことは何?」
「Tutte-でのみんながほめてくれる言葉をたくさん見たい!」
「そっかそっか。みんないっぱい褒めてくれるわよ。」
「うん‼‼‼」