怠惰な俺の異世界転生
俺は今見知らぬ場所にいる。
なんとなく思い出されることの顛末。
俺は死んだんだ
【現世・・・少し前の話】
『あー、だりぃなぁ、コンビニ行くのも超だりぃ』
一応仕事はしている、大企業とまではいかないが
それなりの会社に勤めている。
元来『怠惰』な俺は仕事もそれなりにこなして
休日は家でゴロゴロと過ごす日々。
そして休日の今日は昼飯を買いにコンビニへ歩いていた。
『なんかこう、思い浮かんだらそうなるみたいな
超能力みたいなのねぇのかね?』
ぼやいていたら、テンプレがやってきた。
「きゃーーー!」
来ました、車に轢かれそうな女の子
怠惰な俺の身体は動くはずない。このテンプレに巻き込まれるのは誰だ?
と思っていたら、身体に妙な浮遊感が
テンプレに巻き込まれたのは俺だったみたい。
そうか、死ぬはずのない人間が死んでしまう
これもテンプレ
怠惰な俺が人助けをして死ぬ未来は無かったのだろう
【?・・・少し前の話】
『あれ?俺何やってんだ?てかここどこだ?』
「あなたは、女の子を助けて死んでしまいました。
そしてここは****です。」
お?誰だ?すげぇ綺麗な女が話かけてきた。
これもテンプレ
『死んだ?俺が?女の子を助けて?』
女はうなづいて
「はい、そしてあなたが亡くなってしまうのは
こちらも想定外の事でした。」
やっぱりね、これもテンプレ
『で?この後どうなるんだ?』
女は少し不思議そうな表情で
「状況を受け入れるのがはやいですね、あなたは
本来死ぬべきでは無かった魂です。元の世界の輪廻からは外れてしまいました。」
この辺りもテンプレ
「ですから、お詫びとして異世界へ転生して新たな人生をプレゼントします。」
『へぇ、異世界ねぇどんな感じの世界なの?』
女が少し嬉しそうな表情をして
「魔法が存在して、魔物蔓延る世界です、スリリングで良いでしょう?」
これもテンプレ、異世界は大体魔法があって魔物が蔓延っている。
『そうか、俺このままいったら何も出来ずに終わっちまうよな?』
「そうですね、ですから特典で好きなスキルを3つ
選んでください。本来は選択できるようなものではないので、異世界での生活がぐっとイージーになりますよ?」
これもテンプレだな。何故かお詫びはスキルで数が決められるんだ
『頭に思い浮かんだスキルをくれよ』
女は少し表情を崩して
「なるほど、そのまま当てはまるスキルはありませんが、それに近いスキルと不足分を補填するスキルを
つけておきます。」
『じゃあ、頼むわ。あ、それとレベル上げとかしないとダメな環境?』
女はうなづいて
「そうですね、あなたの場合、異世界転生でなく異世界転移、の方が良さそうですね。わかりました、レベルは考えうる上限値を常に更新する様にしておきましょう。」
え?よく分からない、これはあんまり聞いたことないかも。
『まあ、なんでもいいわ。じゃあお願いします。』
女はにっこりと微笑み
「では、新たな人生に幸あれ」
やがて光に包まれてそして目を開けると
【異世界・・・今】
俺は今見知らぬ場所にいる。
そしてここで問題が発生、神官みたいな格好した奴らが、いっぱいいるが何を言ってるのかさっぱりわからん。
俺が立ち上がるといきなり兵士が飛びかかってきた。
『何しやがんだこらぁ!』
兵士を振り払うように手をおもっくそ振ってやった
轟音と共に俺が手を振った方の建物と飛びかかってきた兵士が、宙を舞っていた。
そしてやっちまった。
俺は頭で考えてしまった。
『(あー、鬱陶しい、皆とりあえずどっかいけや)』
目の前が光って、今まで俺の周りにいた兵士や神官みたいな奴らが跡形もなく消え去っていた。
女に願ったスキル、頭の中で描いた事が現実になるようにできるスキル。
そして怠惰な俺はさらにやってしまう。
『(とりあえず、こんなわけわかんねぇ所でいるより、さっさと家に帰ってゴロゴロしてぇ)』
また目の前が光輝く
『あれ?なんだ?確かコンビニに行く途中で・・・
なんだ寝ちまってたのか、腹減ったしコンビニでも行くか。』
俺はコンビニへ向かって歩き出す。