ふわふわポップ改 自宅パート
休みのとある日。
いつものように両親はどこかへ遊びに行き、家にいるのは俺と桃未だけ。
毎回のことでは無いが、たまに、いや……時々おかしなことをひらめくようで、そんな時に限ってリビングにいたりする。
こんな時、自分自身の第六感的なものが胸騒ぎを起こしてくれるのだが、今回は別の意味で胸がときめきそうだ。
「あ~……真緒くん、真緒くん!」
「……」
「おや、おやすみ中なのかな? それはちと困るぞえ。寝たふりをしている真緒くんに告ぐ!! 三十秒の猶予を与えてあげるから、今すぐに起きるのだー!」
どうやらまたおかしなことをやりたそうにしているようだ。
さすがに今回は付き合ってやらん。本当に眠いし、横になっていたい。
「にーじゅぅぅ……むぅぅ。面倒くさぁぁぁい! ごーよんーさーん……いいんだな? ムフッ」
「何てせっかちなんだ! てか、何? 真面目に眠いんだけど……」
「なんでぇい!! やっぱ寝たふりじゃないかー! 桃未さんは悲しいぞ」
「用件は?」
「おう! 真緒くん。あたしの手足になってみないかい?」
「……はっ?」
せっかく眠りに入れそうだったのに、嫌な予感がしたから起きてみれば、まさかのパシリか?
「嫌だよ~何でそんな面倒なことを……」
「桃未さんとモフモフ出来るんだぜ? いいのかな~? こんな日は滅多に来ないし、機会が無いんだぜ?」
「モフ……? 着ぐるみでも着てモフるつもりが?」
「ちっがーーーーーーううう!! とにかくっ! 真緒くんは今すぐこれを羽織りたまえ」
「……白衣? 自前で持ってるとか、何を目指してるつもりだ?」
「じゃじゃーん! 白衣といってもビッグサーイズ!!」
「だから?」
とてつもなく嫌な予感がする。嫌といっても嫌がるとかではなく、しょうもないことに付き合わされそうな意味での予感だ。
「さぁ、袖に手を通さずに羽織を着てくれたまえ! そしたら、あたしが真緒くんの背中に張り付くんだぜ?」
あぁ、やはりしょうもないことをやるようだ。
親たちがいてもやりそうではあったが、宴会芸の二人羽織りとなると恥ずかしさが込み上がって来るのか?
「んしょんしょ……これで真緒くんの手足は……あらっ?」
「足は無理だからな?」
くぅぅ、桃未は全く意識していないが、胸が当たってて本当に困る。
「ちくしょうめ! ではでは、テーブルに置いてある昨日の残りを食べようじゃないか!」
「食べればいいんだろ? 桃未の手で」
「真緒くんの……あぁぁあっ!?」
「そりゃそうだろ。俺は座ってるだけで、実際に手を動かすのは桃未な」
そこらへんが抜けているのは桃未らしい。
恐らく俺の手で食べさせてもらいたかったに違いないが、口に運ばれるのは俺の方だ。
まぁ確かに、桃未の温もりによるモフモフは感じることが出来ているのだが。
「ううううーー! これはこれで……でもでもでも! 納得出来ないぞ!!」
「白衣を脱いで反省をするんだな」
桃未が主導権を握ることになるのは間違っていないが、俺の手で口に運んで欲しいという邪な考えがあったのは明白だ。
そして結局、桃未はあっさりと白衣から脱出した。
密かにドキドキしてしまったのは内緒にしておく。
「こ、今回はあたしの失敗なのだよ。分かるかねぇ、きみぃ?」
「負け惜しみだな」
「な、何だとぉ! 次はあたしが! 真緒くんの手を好きにしてやるんだかんね!! 覚えてろよ!」
どっちにしても俺が有利な気がしないでも無いが、次は無いと信じたい。




