表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/64

桃未さん、大物を捕まえてしまう!? 後編


 姉貴の怒りを鎮めるためにお金を下ろして、その流れでケーキ屋にでも……そう思っていたら、とんでもないことになっていた。


 外に出たら姉貴は誰か分からない男を確保していて、しかも背負い投げからの絞め技で、男はなす術がなくなっているようだ。


 そこに来て俺と目が合ったので、姉貴は目を丸くしながら俺と男を交互に見てパニクっている。


「ま、真緒くんですか?」

「うん。俺です」

「そうすると、あたしが捕まえたコレは誰?」

「さ、さぁ……」


 俺も姉貴も何が起きているのか首を傾げるままだが、姉貴の周りには人だかりが出来ていて、少し騒がしくなっている。


『ご協力感謝します!! あなたが捕まえてくれたおかげです! 失礼ですがお名前は?』

『つ、塚野桃未ですけど……』

『では、後ほど!』

 

 などと、明らかに警察の人が声をかけて来たことで、姉貴が確保した男はどこかへ連れて行かれてしまった。


「――で? 罪も無い……いや、ありそうな男を捕まえてしまったワケを聞こうか?」

「むぅぅ……元はと言えば真緒くんが悪いんだぞ!!」

「い、いや、まぁ……」


 ◇


「おのれ~真緒くんめぇぇ~~ど~こだぁぁぁ!?」

「どけっ!! 女!!!」

「こらこらこら、あたしのどこを見て言っているのかね? 確かに女だけど、そういう物言いは良くないぞ? 駄目だなぁ、逃げまくった挙句、反抗期がピークを迎えたのかい?」 

「どけぇぇぇ!!」

「――わっ!? ほっほぅ! 武器を手にして刃向かうつもりなのだな? それが真緒くんの返事なのだね? よかろう! あたしが全てを受け止めて、捕まえてあげるぜ!! 覚悟ぉぉ!」

「ぐあっ!? ぎゃああっ!!」

「大袈裟だなぁ。そんなやわなメンズに育てたつもりは――あれぇ!?」


 話をまとめると、姉貴に向かって来た男を俺だと思い、投げ技と絞め技を発揮して撃退してしまったらしい。


 ◇◇


『お手柄でしたね。塚野さん、後ほど感謝状をお渡ししますので、署にお越しください』


 そしてどうやら俺にぶつかって来た男は、未遂で逃げようとした奴らしい。

 その男が逃げようとした先に姉貴がいて、見事に捕まってしまった。


「い、いやぁ~てっきり真緒くんだとばかり」

「武器を手にしてって……いくら相手が桃未でも、俺がそんなことをするはずが無いだろ。何かあったらどうするんだよ?」

「むっふん! あたしはこう見えても有段者なのだぜ? 投げも蹴りもいつでもカモーン!」


 俺じゃなくて大物を捕まえるとか、どれだけ燃えてるんだか。


「俺が襲ったら絞め技をするつもりが?」

「ノンノンノン! 武器を手にした奴には容赦しないのであって、最初から真緒くんだと分かっていれば、永遠に寝技をしてあげたところさね!」

「それもよせ」

「ぶ~~! つまらん回答は求めてなーい! というか、お金を手にして何をしようとしていたのかね?」

「え、何で?」

「だって銀行から出て来たでしょ?」


 見ていないようでそこはきちんと見ていた。

 強いしあざといし、マジで桃未には勝てる気がしない。


「お、奢ろうと思って……」

「ほぅ? ほぅほぅほぅ? ははーん、だから銀行に……むふっ!」

「な、何だよ?」

「そういうことなら、今日はこのまま帰ろうぜ~」

「な、何で……」

「次の休みに燃やしに行こうじゃないか!」

「は?」

「楽しみ、楽しみ~! じゃあ、真緒くん。帰ろう~!」


 よく分からないが、どうやら怒っていない……のか。


 そしてもう桃未から逃げるのは控えよう……そう思った日だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ