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同居人の可愛い逆襲 後編


 う、嘘だろ……?

 果梨だけでも面倒なのに、冴木まで姉貴と遭遇するなんて何という出来事。


「――ってあれ? 果梨もお手洗い借りるの?」

「違うけど……というか、杏も挨拶しとこうよ!」

「うん?」

「塚野のママさん」

「え? 塚野君のお母さん!? ご、ごめんなさい! 塚野君の好意に甘えて、お手洗いを借りてました」


 信じるほどのクオリティは無いのに、まさかマジで信じたのか……しかも冴木も一緒に。


「オホ……オホホ……真緒くんの好意に甘え……?」

 変な笑い方、まだそれを続ける気か。


「ねえ塚野、私たちのこと言ってなかったの? というか、留守って言ってなかった?」

「私もそう思ってたけど、どうしてここにママさんがいるの?」

「そ、それは……」


 桃未の安っぽい格好を見て母と思われているのもどうかと思うが、堂々としている桃未に変なことを言うのもためらうし、何て言おう。


 いつもは突っ込みまくる桃未が、俺の言葉に何かの期待でもしているのかってくらい、静かすぎる。

 そうと分かれば、とことんボケまくろう。


「その人はアレだ。ママはママでも、か、家庭教師をしてくれている隣のママさんなんだよ、うん」

 く、苦しすぎる言い訳だな。


「オホッ!? ま、真緒きゅん! うんうん、さすがだねぇ」

 正解だったらしく、ブンブンと頭を上下に激しく動かし頷きまくっているようだ。


「……家庭教師? 塚野が? その割には……」

「何だよ? 果梨に言われたくねーな」

「はぁ? うちのことを知らない奴がほざくな、バカ!」

「か、果梨、駄目だよ。見られてるんだよ? 素を出したら失礼なんじゃ……」

「ハッ!? ア……あー、えーと……これはいつも通りのじゃれ合いのようなもので、ケンカじゃなくて」

「いつもの通りのケンカのようなじゃれ合い~? あなたのお名前をもう一度おっしゃってくださる?」

「果梨……笠野果梨です……けど、名乗りましたっけ?」


 バカ正直な奴め。桃未の口調も素に戻ってるし、ここから何かが始まりそうで嫌過ぎる。


「真緒くん、こちらへ。わたくしの傍においで」

「えっ? う……はい」

 

 俺にとってはいつものスキンシップをされる、そう思って何の警戒心も持たずに傍に近づいたが……。


『『……え!?』』

 冴木と果梨が同時に驚く行動に出るとは、さすがに予想できず鋭い突っ込みも出来なかった。


「むふっ、むふふっ……どこの魚の小骨かは知らないけれど、愛しの真緒くんをいぢめるのは、桃さんだけと相場が決まっているのさ!」

「むぐーむぐー……く、苦し」

「勝手に来たのか呼ばれたのかは聞かないけど、真緒くんにちょっかいを出すつもりがあるなら、こんな風に出来る関係になるようじゃないと、あたしは許さんぜよ!」

「……さ、酸素」


 いつにも増したヘッドロックにより、俺は息が出来なくなる程、桃未の胸と脇に締め上げられてしまった。

 もはや二人が何をどう思っても、桃未の世界に飛び立ってしまうくらいに……。


「桃……センパイ!? え、嘘……そ、その格好……どうして塚野の家に」

「え、桃センパイって桃未先輩? 何故ここに……」


 これはバレたか。どう考えても分かられてしまうはずだ……。


『よぉくお聞き! 真緒くんはあたしと一緒に屋根の下で暮らしている、本物の桃未さんだぞ! この子に手を出すつもりでここに来ているなら、受けて立つぜ!』

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