桃未センパイのテリトリーにつき? パート2
『マジか……美人センパイが駄々っ子してんぞ、マジ可愛いな』などと、周りの野郎どもが騒ぎ出し始めている。
高校の時と同様に姉貴は大学でも、不思議な雰囲気を醸し出す美人センパイとして名高い。
それはともかくだ。
「ここは講堂であって、桃センパイの縄張りを主張する権利はどこにも無いんだぞ?」
「な、なぁんだとぉお!? い、今なんて言ったか、もう一度言いな!」
「だから主張する権利は――」
「ちっ……がーうぅぅぅ!! 桃センパイってゆった! 真緒くんが桃センパイって!! そこの女子も聞いたよね? ね?」
「え、あ……まぁ、はい。センパイですし。だよね、塚野ん」
「まぁな」
「まてぇい! そうじゃないって言った! 論点はそこじゃない! そうじゃなくて、桃未さんのテリトリー内でのナンパは許可してねえんだぜ? お分かり?」
怒っている所は逆ナンに非ず……か?
つまるところ、桃未の目が届く範囲で、俺は浮気になりそうな行動やら言動をしてはならないということのようだ。
今回の矛先は俺を誘って来た小梅では無く、桃未が同じ場所にいる中で他の女子の侵入を許すなと……多分そういうことらしい。
小梅の誘いに行くとも行かないとも答えていないわけだが、桃未の背中は、俺の声を拾う集音マイクが完備されているようだ。
「塚野、この人は塚野の彼女?」
「桃センパイはだな……」
「ふんふん、桃センパイは真緒くんの何だい?」
「いや、二人で俺に注目されても困るんだけど……」
彼女じゃないし、ダンナでもないし……正確には弟なのに、何と答えたら正解なんだ。
そもそも桃未はともかく、小梅が何故俺に興味を示しているのかがさっぱり分からないのだが。
「さぁ、ファイナルアンサー?」
「塚野、センパイは何?」
テリトリー問題はどこに消えたんだ。
そしてどうして俺が責められている状況に切り替わったんだよ。
「お、俺のヨ――」




