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約束の場所は作ろうか?


 彼氏のフリをするのもダンナのフリをするのも大して違いはない……そう思っているけど、姉貴曰くイメージが全然異なるのだとか。


「ハっ? ダンナ? いや、待って。桃未、彼氏すらいないじゃんか!」


「ノンノンノン! チミィ……チミは知らないだろうけど、こう見えてモテまくりなんですよ? 彼氏がいます! なんて言ったところで、『いても奪うだけだから』なんて悪魔の囁きがあるわけさ!」


 悪魔というか単なるナンパ野郎だと思われる。


「まぁ、確かにそういう奴もいるけど、それとダンナとどう違うと?」

「ダンナがいれば、いくら何でも奪うとか言って来ないと思うんだ。世の中は浮気に厳しいんだぜ? もちろん、わたしも厳しく行くぜ? だから真緒くん、浮気は許さないぞ!」

「弟だぞ?」

「うむ! 弟だからって、桃未さんの許可なくハーレムは許さないんだよ」

「彼女じゃないし、友達だし、はべらかした覚えはないんだけどな~」

「桃未さんは知っているぞ! どういうわけか、同じ高校から同じ大学に入って来た、魑魅魍魎な女たちがいることを!」


 何故に女子の友達に対して、化け物呼ばわりをするのか。


 同じ大学に入って来た……すなわち、同じ偏差値だったのかと言われると、それは彼女らに聞いてみないと分からないが、俺に告った同じクラスの彼女らもまた、同じ大学にいることが判明したからである。


 ◇


「あれっ? 塚野くんだ!」

「うっわ……どういうこと? ウチらを追いかけて来た……じゃないよね? 引くわー」

「うるせー! かりんとうに言われたくねー」

「また! まだそんなこと言うわけか!! ムカつく!!」

「落ち着きなって! 塚野くんも悪気があって言っているんじゃなくて、再会して照れてるんだと思うんだ」

「「それは違うよ!!」」

「ほら、ユニゾンしてるくらい、嬉しいんだよね」


 姉貴が敵視している女子たち、それは俺と同じクラスだった二人の美少女に他ならない。


 俺に告った杏こと、冴木さえきあんず、それにかりんとうというあだ名で呼んでいる果梨こと、笠名かさな果梨かりんとは、何故か友達関係だったりする。


 悲しいことに男友達の尾関おぜきは、卒業と同時に専門に行ってしまって男友達がいなくなった。


 決してハーレムにはならないはずなのに、姉貴は何を誤解しているのやら。


「――んで、冴木たちは暇なの?」

「杏って呼び捨てでいいのに。暇っていうか、どうしようかなって話してたとこ」

「や、明らか暇人な塚野の相手する余裕なんてなくない? 行こうよ、杏。アホが移るし」

「そっくり返すぞ、かりんとう」

「何だよ、やるのか~?」

「果梨も大人しくしなってば! 塚野くん、サークルとか決めたの?」

「これといって特には……」

「そっか。どこか入ろうとしてるなら一緒に入ろ?」

「……考えとく」


 ――モテモテではなく、単に顔も名前も知ってて当然な関係であって、怪しくないはずだ。


 ◇◇


「真緒くん。お姉さん、悲しいな」

「……何が?」

「入って早々に両手に華を飾るとは、いいご身分じゃないか!」

「どこかで見ていた?」

「プンプンだぞ? この恨みどこに行けばいいんだー!」


 弟離れしていないのはどう考えても、姉貴の方だった。


「大学の中で約束の場所で落ち合おうじゃないか!」

「……どこからそんな話が生まれた?」

「お姉さんは真緒くんと会いたいの……うるうる」

「じゃ、中庭で」

「うむうむ! 夫婦っぽいではないか! いいかい? 真緒くんにはしばらく、ダンナのフリをしてもらうだかんね? 彼氏では弱いのだよ! アーユーオーケー?」

「あーはいはい」


 要するにどこに行っても姉貴はモテまくり、さらには彼氏が本当にいたとしても、それごときで引かない男たちが多いということらしい。


 ダンナって……何をしようというのだろうか。


 そんな幼稚な思考を持った姉貴は、今日も可愛すぎる。

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