謎の人物と出会います
神託から1週間が経過した。
ユウは騎士を目指すために王都の学園へ行くらしい。
僕は今日雇いの仕事をしているがこれからの事は想像もつかない。
「はぁ、将来の夢かぁ」
そんなことを帰り道呟いていると変な人物を見つけた。
その人物は公園の広場で謎の動きをしている。
拳を前に突き出したり立ち止まらず動き続けたりしているだけのようだか何故か目が離せない。
そんな僕に気づいたのか目が合ってしまった。
「どうしたんだ少年。俺に何か用か?」
そう言って僕に近づく人物はよく見ると歳をとっていることに気がついた。
僕の親より10ほど上だろうか、それでも筋骨隆々な体つきをしている。
「い、いえ、何をしているのか気になって・・・」
そうしどろもどろな返答をしていると
「なんだ、君も一緒にするか?」
そう言ってきた。
話を聞くと今の動きは武術の動きらしい。
僕の職業は「武闘家」だ。
少なからずプラスになると思い
「ぜ、ぜひ参加させてください!」
返事をするとすぐだった。
武術に関しては素人だったので一から十まで教えてもらうことになった。
素人目だが教えてもらい再確認できた。
その動きは大胆かつ繊細、この人はかなりの達人ということがわかる。
「お兄さん。この武術ってどんな流派なんですか?」
武術には様々な流派があるというのを聞いたことがある。
対人戦を想定したものから魔物への対抗手段として編み出されたものまであるらしいが僕は今の動きはどのような相手を想定しているものか気になった。
「ああ、これに流派なんて大層なものはない。いろんな流派の技を自分なりに融合させたオリジナルだ」
「オリジナル・・・そんなスゴイものを教えてもらっていいんですか?」
「ハハハハ!スゴイものか!そんなこと言ってかれたの君が初めてだ!」
僕にはこの人が笑っている理由はよくわからないが教えてもらっていいようだ
「君、名前は」
「僕の名前はアーツ、アーツ・ガヘルです」
「俺はバール・アスタリアだ。アーツ、君の職業とスキルを教えてもらいるか?」
「僕の職業は[武闘家]、スキルは[タメ技]といって力を拳や武器に収束させて放つ能力です」
「なるほど・・・では、試しに使ってみてくれ」
「へ?つ、使うってスキルをですか」
「ああ、実際に見てみたいからな。」
早くしろという目で手のひらを見せてくる。
仕方ないので自分の拳に発動する。
オレンジ色の光が拳に纏わりつく。
10秒経った。
自分にできる全力を見せつけるのみだ。
「行きます!」
バールさんの手のひらに向かって拳を突き出す。
「ッーーー!」
「ほぉ…」
自分の全力なのに平然と受け止められた。
「なるほどな・・・アーツ君。明日もここに来てくれるか?」
認められたのだろうか。
よくわからないが僕の答えは決まっている。
「はい。よろしくお願いします!」
教えてもらってから数時間が経過していたので僕は名残惜しいが帰ることにした。
「これからもよろしくお願いします!」