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【本編完結済】帰ってきた元奴隷の男  作者: いろじすた
第11章

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229/269

後日談 ⑦

もう一話続きます。

脱字修正しました。(22.2.28)

「おいっ! ふざけんなよお? 折角、こんなクソみたいなとこまで来てやったのに? 終わってますだ!? なめてんのかごらぁああああ!」

「ひぃっ」

「ちょっと、先生は!?」

「今呼びに行ってる!」

「どうすんだよ……これ」

「ごらぁあああ、はよぉ金魚すくいやらせんかあああああああ」

 

 ガラガラガラ


「待たせたな」

「竹本君!」

「あぁん!? なんだてめぇ?」


 背中にどくろのラメが入った革ジャン姿のスキンヘッドの男が、クラスメイトの一人の胸倉を掴んで私に睨みを利かせる。


「凄む前に、その手を離してもらおうか」


 私は、クラスメイトの胸倉を掴んでいる男の腕を掴む。


「なっ!?」

「このクソガキ! てめぇ、なにタツヤの腕掴んでんだごらぁあ!」


 ロン毛の茶髪が私に向けて手を伸ばすが、あいにく男に触られて喜ぶ趣味はもっていないのだ。


「えっ?」


 がら空きだったロン毛の足を払うと面白いように縦回転を描き、その場に潰れ落ちる。 


「て、てめぇ!」


 今度は、もう一人のツンツン頭も同じように足払いを仕掛けると、ロン毛と同じように奇麗な縦回転を描きその場に潰れ落ちる。因みにスキンヘッドの男は、すでにクラスメイトの胸倉を離しており、片膝をついてプルプルと震えていた。


 クラスメイト達の反応は、様々だが、明らかに私に対しては恐れを抱いているようだった。

 それもそのはず、この学校は県内でも有数の進学校。中には粋がっている生徒もいるが、高々その程度だ。ここ数日、こんな輩を相手に飄々として、更に力で圧倒している。まさに、私は彼らにとって異質だろう。だが、そんな事は今はどうでもいい。


「で、貴方はどうするんだ?」

「くっそ、聞いてねぇぞ、あの野郎、こんなバケモンがいるなんて……」

「ん? おい、聞いていないとはどういう事だ?」

「…………」


 何か凄く嫌な感じがする。


「別にしゃべってもらわなくてもいいのだが……」


 バキツ


「うぎゃあああああああ」

「おいおい、大の男がたかだか腕の骨が折れたくらいで少々騒ぎすぎではないのか?」

「うぐっ」

「どうだ? しゃべる気になったか? まぁ、貴方の身体には約二百本以上の骨があるんだ、それを一つ一つ折っていけばいつかは口を開いてくれるだろう?」


 たっぷりと脅しをかけるとスキンヘッドの男は、観念したかの様に震えながらその唇を開く。


「ま、待ってくれ、話すから」

「分かった、話して貰おう」

「おいっ! 大丈夫か!? 竹本!」

 

 このタイミングで田崎教諭が数名の教師をつれて、我々の教室に入ってきた。


「私は大丈夫です」

「しかし……なんだこれは、お前がやったのか?」

「田崎教諭、お咎めなら後ほど。今は、どうしてもこの男から聞き出さなければいけない事がある故。さぁ、話せ」

「は、原田さんに頼まれて、ここでちょっと暴れたら金をくれるって」


 嫌な予感的中だ。昨日の森山といい、全て原田の差し金か……。


「原田はなぜんこんな事を」

「知らねぇよ! ただ、なんかこの学校の生徒で狙ってるやつがいるからって」

「ちっ! そういう事か!」

「おい、竹本! どういう事だ! 原田って、原田先生の事か!?」


 田崎教諭が私の肩を掴むが、私はそれを振りほどき、スマホを取り出し凜のスマホに電話を掛ける、が繋がらない。

 もう一度掛ける。繋がらない。

 もう一度! 繋がった!


「凛! どこだ!?」

『ざ~んね~ん。てめぇの愛しの凜ちゅあんは、俺がいただいた~なんつって、ぎゃはははは』

「原田……」

『そ~でーす! てか、てめぇ! 原田先生だろうがっ! なに呼び捨てにしてんだよおお、ごらぁあ!』

「生憎、私は尊敬に値しない者を先生とは呼ばない主義なのでな」

『てめぇえええ! くっそ生意気なんだよおおお! ぜぇぜぇ、まぁ、いい。てめぇの凜ちゅあんはこれから俺達の慰めものになるんだからよぉ』

「凛に指一本触れてみろ、殺してと泣いて懇願するほどの苦痛を貴方に与えてやる」

『バーカーが、そんな脅しが通用すっかよ!? まぁ、俺も鬼じゃ~ねぇ。てめぇに、凜ちゅあんを助け出すチャンスをくれてやる。今から、町はずれの廃工場に来い。ただし、誰にもチクるなよ? チクったらてめぇをまたずに凛ちゅあんの事マワしちゃうからな?』


 いや、もう原田って名前出てるし、私のこの様子が尋常ではないという事は田崎教諭はじめ、この場所にいる誰もが分かっているはずだが、ここは凜のためにも原田に話にのるしかない。


「わかった。誰にも何も言わない」

『いい心がけだ。因みに、そこにいる教師連中にもちくるなよ?』


 数名隠れてこちらをみている輩が探知に引っかかっている。どうやら、やつらを介して私の様子をみているのだろう。


「わかった」

「じゃ~まってるぜぇ~~」


 電話を切った私の元に、田崎教諭をはじめとする教師連中があつまる。


「おい、竹本! 何があったんだ! 原田先生か? あいつが何かやらかしたのか!?」

「田崎教諭、焼き肉楽しみですな」

「おまっ」

「では、のちほど」

 

 教室の窓に足をかける私に、「何をかんがえてるんだ! ここは、五階なんだぞ!」という田崎教諭の取り乱した声を背に私は窓から飛び降りた。

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