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プロローグ

新章突入です!

タイトル変更しました。

この後の話と辻褄が合わなくなることに気付き、内容を変更しました。(21.6.24)

――ディグリス王国 


 大陸の中心に位置するユーヘミア王国の北部にその国領を構え、一年の半分が雪で覆われているという大陸随一の豪雪地帯である。


 そのディグリス王国を治めるのがマリウス・ディグリス、建国から二十番目の王である。

 マリウスは、野心なぞひと欠片も持ち合わせず、ただただ平穏な日常を望む温厚な王であった。

 

 そんなマリウス王には二人の世継ぎ候補がいた。


 一人目は、第一王子であるダリウス・ディグリス。

 ダリウスを一言で言い表せれば、選民意識の塊という言葉がしっくりくるだろう。

 弱者に対して非道にして残酷。

 城内ですれ違った家臣の歩き方が気に喰わないとその場で首を落とすなど、傍若無人な振る舞いが日常茶飯事な問題児だ。

 そんな褒める言葉が一つも見つからない愚息は、現国王マリウスの頭痛のタネでもあった。

 

 二人目は、第二王子であるカシウス・ディグリス。

 ダリウスの五つ下の異母弟だ。

 ダリウスとは真逆で、カシウスは誰にでも分け隔てなく倫理的で慈悲深い青年だ。

 物事を多角面から見れる視野の広さで、感情に流される事なく理にかなった答えを出せる聡明さを持ち、魔法の才にも恵まれていた。まさに才徳兼備とはカシウスの様な青年に向けられる言葉だろう。


 そんな、カシウスの存在が現王マリウスにとって、ダリウスという頭痛のタネを緩和させるまさに、カンフル剤の様な存在であった。


 ――次期国王の座はカシウスのモノ。

 誰もがそう思っていた。


 

 うぅ……私は生きているの、か……?

 覚醒しきれていない頭で、私は自分がまだ生きている事に驚く。

 くそ……っ、身体が上手く動かない……目もぼんやりとしてハッキリと見えない……声もうまく出せない……。


 四肢を落とされ、両目をえぐられた。

 そして、最後に喉元を鋭い矛先で突かれたのだ……死んでもおかしくない程のダメージを受けていたのだが……グレイス辺りの治癒魔法で私は一命を取り留めたのだろう。

 グレイスとは、私の唯一の腹心だ。孤児だった奴を気まぐれに拾い、教育を受けさせ私のそばに置いている。

  

 ハッキリとは見えないが、ボンヤリとしているのを見るとえぐられた眼球は元に戻っているのだろう、そして両手両足の感覚はある、声帯も失ってないようだ。


 上半身すら起こす事ができないこんな身体だ、

 元の状態に戻る為には莫大な時間が必要だと思うが、命さえあれば何とでもなる。


 それにしても、まさか、カシウスに殺されかけられるとは。

 

 完全に油断をしていた。

 あの泣き虫で、私の言う事に何一つ逆らわなかったあのカシウスが……。


「兄上……許してください、だけど、国の為にはこうするしかなかったのです!」と泣きながら私の喉を槍で突くカシウスのあの表情……恐らく、誰かに上手く言いくるめられて操られているのだろう。黒幕はカシウスの後ろで私の事を嘲笑っていた、宰相のバルカンだろう。

 バルカンは、私の事を嫌っていたからな。


 バルカン、私はやられっぱなしで終わらせやしない。

 身体を元の状態に戻したら、必ずこの借りは返してやる! 


 あッ……。そ、そんな、まさか……?


 力んでしまったからか、股間の部分が、じんわりと温かくなり不快感と羞恥心が私を支配する。


 漏らした、だと? この私が……。……いや、甘んじて受けよう、バルカンに負けた私がいけないのだ。

 ええい、今に見ておれ! この屈辱、必ず晴らして見せる!


 誰か! 誰かおらぬかッ!!


 股間が気持ち悪いため、羞恥心を堪えて私は人を呼ぶと、そんなに時間をおかずに私のボンヤリした両目に人影が写る。


「※ー※※、※※※※~※※※※※※」


 なんだ? 何を言っているんだ? 

 この者の言葉が聞き取れない。声は、若い女の様だが、今まで聞いた事のない言葉だ。

 女は、ぎこちない手つきで私の下着を脱がし、股間を丁寧に拭う。

 くっ、屈辱だ……。


 新しい下着に変えてもらい、スッキリした私に今度は、空腹感が襲いかかる。


 腹が……減った。おい、女。私の食事を用意するのだ!


「※ー※※、※※※、※※※※※※※※~。※※※※※※※※」


 うおッ!? なんだ!?


 身体に浮遊感が感じられる。

 女に抱きかかえられているのだ。


 この女、なんて力だ。私を軽々しく抱きかかえるなど……それにしても、何だこの違和感は……。 

 私が感じた違和感の正体。

 それは私の身体がスッポリとこの女の両腕に収まっている事だ。

 私は、一般的な成人男性の上背より頭一つ高く、いくら病み上がりだからと言っても、それなりにガッチリしているため結構な重さがあるハズなのに……。

 まさか、この女は、古い伝承にあった巨人族の末裔か何かなのだろうか?


 分からない、何がなんだかさっぱり分からない!? 

 うん? 何だこの食欲をそそる甘い香りは……段々と私の顔に近づいてくる、んぐ!?


 なんだ、なんだこれは!? 私の口に何を入れた!?


 温かい、突起物の様だが……うん? 吸えば吸うほど蜜が滲み出てくるぞ。

 あぁ、旨い。五臓六腑に染み渡るようだ。


 私は無心で突起物を吸った。

◇◇


 どれくらいの時間が過ぎたのだろうか? もう突起物から蜜は出なくなった。

 私が吸い過ぎたせいだろうか? まぁ、いい。私は満たされた。


「※ー※※、※※※※※※※※※~。※※※※※※※※※~」

 

 突起物から口を離された私を女は縦に抱き、下から上へと私の背中を擦る。

 何をしているのか全く分からないが、お腹が満たされた事により迫りくる眠気に私は支配されようとした。

 やめろ……私を、横にしろ……。私は……楽な態勢で寝たいのだ……「げぷッ」


「※ー※※、※※※※※※※※~」


 人前でげっぷをするなんて……私の気品に関わる、が、今はそんな事よりこの重い瞼に抗えない……。

 

 バ、ルカン、お、ぼえて、いろ、かな、らずふくしゅう……し、てやる……。


 そう心に誓い、私は眠りについた。

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

先日、PV数が500万を突破しました。

次は、1000万目指して頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いいたします!


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