ランディス(中)
すみません、貼り付けを間違えてしまいましたので、修正いたします。
書いているときに急に文字数が倍になっていたのでおかしいとは思っていたのですが…集中していて一気に書き上げたと勘違いしていました;; 続き早めに書く様に致します。(21.5.15)
「**********!?」
「*****!?」
「うぅっ……な、なん、だ……?」
怒鳴り散らすような声。それは、明らかに自分に向けられている物だと思いランディスは覚醒する。
「私は、変な渦に呑まれて……生きているのか?」
気怠い身体、カラカラの喉。
「水が、ほしい……」
カラカラの喉を潤すための水を欲しているという事は、自分はまだ死んでいないのだろうと、ランディスは自分に言い聞かせる。
自分の置かれている状況は……?
とランディスは、倦怠感がまだ抜け落ちていない身体を無理矢理に起こし、その場で立ち上がる。
先程まで自分が閉じ込められていた牢屋と同じく、辺りは常闇に包まれているが、常日頃牢屋に対して感じていた窮屈感は感じられない。つまり、自分は野外にいるのだと、ランディスは自然と理解する。
案の定、見上げた空はどこまでも果てしなく、満点の星が輝いている。
「あぁ……何と美しいのだろう」
何年振りか分からない、久方ぶりに目にした夜空に輝く宝石達に目を奪われたランディスの両眼から涙が溢れてくる。
「*****!!」
「***********!!」
感傷に浸っているランディスの耳に、耳障りな野次が突き刺さる。
「邪魔、しないでもらえるかな?」
不機嫌を露わにし、ランディスは声の主に目を向ける。
そこには、複数の男がサーベルの様な物の先端をランディスに向けていた。
ランディスの目にはサーベルよりも、彼らの頭に目が言ってしまう。
全員が全員、前頭部から頭頂部にかけての範囲の頭髪を剃り、残りの頭髪を結っていた。
何かの罰ゲームか? と一瞬戸惑うのだが……そんな事はどうでもいい。
見た事のない人種、見た事のない服装、聞いた事のない言語だが、今のランディスには関係のない事だ。ささやかなひと時の邪魔をされた事に対して非常に頭にきているのだ。
「ふん、見た所人族のようだが……ッ!?」
ランディスの言葉が終わらない状況で数名の男達がサーベルをランディスに向けて突き出すが、そこは、さすがのルートリンゲンの名を持つ者、並外れた身体能力で彼らの攻撃を何なく躱し、魔法を発動するために男達に手の平を向ける。優雅に、ゆっくりと……。
目の前に一人の男がサーベルを振り上げ掛かってきているのだが「お前から消し屑にしてやる」とランディスは、男に向けて火魔法を発動すべく魔法名を口にするが……「あれ? ファイヤーアロー! ファイヤーアロー!」何も起こらなかった。ランディスは忘れていたのだ、己の魔力の器を封じられていた事に……そして、向かってくる男の斬撃がランディスに一直線で伸びてくる。
「ぐっ!」
ランディスは、人間離れした身体能力でその斬撃を避けるのだが、コンマ何秒の差で完全回避できなかった代償にランディスの左目に激痛が走る!
「うああぎゃあああ」
あまりの激痛に、ランディスは声を出さずにはいられなかった。
まるで涙の様に流れる左目からの赤い雫は、止まる気配がない。
「き、きさま! よくも私の目をおおお!」
怒り狂ったランディスは、自分に傷を負わせた男の懐に一瞬で移動し、手刀で心臓を貫くと男は、血しぶきを口から漏らしその場に倒れ込む。
「*****!?」
「********!!」
仲間をやられて怒り狂う男達は、罵倒を口にしランディスに向かって切りかかるが……圧倒的な身体能力でランディスは男達の息の根を止めていく。
そして、その場に立っているのは、ランディスただ一人だった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。