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心の準備が……

誤字脱字修正しました。ご指摘ありがとうございます!(20.12.4)

誤字修正しました。(20.12.5)

「サクタごめんね~ふぅふぅ~ぅ」


 そう言って俺の頬に息を吹きかけるリリ。うん、美女のふぅふぅは効果抜群だぜ!


「大丈夫だ、頑丈だけが取り柄だからさ」


 殴られてもお釣りが返ってくる体験をしたしな!


「だけど、何であんな事になっていたんだ?」


 俺の魔力枯渇を治してもらう為、リリの所に居たのは分かっているのだが、なぜあんなシチュエーションになっていたのかが分からない。


「リリが寝ている所に、レレが気絶しているサクタを連れて来たのよ~寝ぼけてたからそのままぎゅ~して寝ちゃったみたい~まぁ、魔力を活性化するには肌と肌がくっついてた方が効果があるから無意識にああしたのかも~ぉ。えへへ」


 そう言ってはにかむリリは、いつの間にか革製のドレスを着用し、紫色のローブを羽織っている。

 だが、俺の目には先程のリリの姿がダブって見え、気恥ずかしくなりリリの事を直視できない。これが、異性経験が乏しい俺のウィークポイントなんだろうな。


 よく異世界ハーレム物で童貞主人公が、ムフフな事をするシーンがあるのだが、それに違和感を感じるのは俺だけだろうか?


 年齢=彼女いない歴の童貞が、エロ動画だけの知識でそんなスムーズに女性をリードできるのだろうか?「いくぞ」とかいって、本当にモザイクの向こう側へといけるのだろうか?


 俺だったら、羞恥心に覆われ、初めて目の当たりにする女性の身体にあたふた感満載になると思うのだが……。


 変な自問自答に陥った俺は、「何をそんなに難しい顔をしているんだ!」というレレの声で現実に引き戻される。


 今俺が思っていた事を話してもレレ達には何が何だか分からないだろう、いやそもそも俺の触れられて欲しくない部分を曝け出す訳にはいかないので、「いや、何でもない」と濁す事にした。


「それにしても驚いたぞ! まさか、サクタが魔法を使うなんてな!」

「えぇ? サクタ魔法使えなかったの~? その年で~ぇ?」


 レレは、ララに聞いて俺が魔法を使えない事は分かっているから驚いており、そんな事を知らないリリは、この年で魔法が使えない事に驚いている。


「サクタは、カケル殿と同じ異世界人だからな!」

「うっそ~ぉ!? そうなの? カケルじぃ~と一緒なんだ~ぁ!」

「二人ともカケルさんの事を知ってるんだな」

「勿論だ! よく、父上に会いに来ては俺達と遊んでくれたからな!」

「懐かしいわ~ぁ」 


 俺なんか話でしか聞いた事ないけど……。


「それはそうと、俺も驚いているんだ。あれは本当に魔法なのか? 魔法って、もっとこう魔力みたいのを纏って――」


 俺が知っている魔法。

 それは、行使した際に魔力を纏う所からスタートする。

 纏った魔力を、身体に宿し身体能力を強化したり、魔力を噴射させて飛び道具の様に扱うのだが、俺の場合、右腕が真っ黒に変色しただけだ。それによって確かにパワーは格段と上昇したのだが……。


「俺も良く分からん! だが、魔力を感じるから魔法だと思っている!」

「良く分からないって……」 


「がっはははは! まぁまぁ! そんな時のための姉上だ! さぁ、説明してくれ! 大体予想はついているのだろう!?」 


「リリが?」と俺はリリに顔を向けると、リリは両手の親指と人差指で四角を作り、俺を覗き込んでいた。


「父上をのぞいて、魔力に関して、姉上の右に出る者はいないからな!」

「そうなんだ」


 やっぱり、魔力にかんしても魔王様が一番なのね……。


「それで、何かわかりそうか?」

「興味深いわ~ぁ。見た事のない事例よ~ぉ」

「ほう! それで姉上の見立ては!?」


 俺達の視線がリリに集中する。


「恐らくだけど~、今まで身体の中にため込んでいた魔力が、何らかの影響で無理やり魔力の器を解放させたかというか~壊されちゃったというか~ぁ」

「壊された?」


 壊れたらだめじゃん!


「う~ん、サクタがこの世界で過ごした時間ってどれくらい~ぃ?」

「二年くらいかな……」

「うっそ~!? 魔族だって十年は立たないと魔力の器が解放出来る程の魔力がたまらないのよ~? 十年分の魔力をその身で受けない限りあり得ない話よ~ぉ?」


 あぁ~なるほど。分かった。

 俺は戦場で雨の様に降ってくる敵の魔法士の魔法をこの身で受け続けていたんだ。それが、普通の人が魔力の器を開くた為に必要な魔力量に達したという見通しなのだろう。


「多分、戦場で恐ろしいくらい敵の魔法を受けてきたせいだと思う」

「がっははははは! まさか、敵の魔法で魔力の器が解放させるとは! 本当に面白い男だなサクタは!」

「前代未聞よこんなの~原因は分かったとして~後はサクタの魔力のメカニズムよね~ぇ」

「そうだよ! どうすれば魔法をぶっ放せるんだッ!?」


 せっかく魔法が使えるんだ、俺もファイアをアローしたいぜ!


「期待している所悪いんだけど~そこはリリも分からないわ~こんな事例初めてだし……ただ、魔法を飛ばしたりするためには魔力を纏う必要があるとされるのよ~だから、今のサクタでは難しいわ~ぁ」

「え? じゃあ、俺はファイアをアローできないのか?」


 うそ? 魔法じゃないじゃん!

 こんなの片腕だけ油性ペンで真っ黒に塗りつぶして「俺の右腕の封印がついに解けたぜ!」的な事を口走ってる妄想さかんな痛い年頃の少年と一緒じゃないか!


「そう落ち込むな! 姉上も知らないだけで、絶対できないってわけではないのだ!」

「そ、そうよ~ぉ。レレの言う通りだからそんなにおちこまないで~ぇ」


 あからさまに落ち込んでいると、レレ達が俺を元気づけてくれる。

 やっぱりララの子供達だな、良い奴らだ。

 そもそも、一生魔法何て使えないと思っていたんだ。使える様になっただけ儲けもんだと思わないと!


「そうだな! ありがとう二人とも!」

「よし! では、丁度晩餐の時でもあるし! 晩餐の間に向かうとしよう!」

「そうね~一日中寝ていたらお腹空いたわ~ぁ」

「あぁ、俺も腹ペコだ! 飯は期待していいんだろ?」


 俺の問い掛けに、レレは大きく頷く。

 王族の飯だ、きっと凄いものが出るだろう! 楽しみだ!



 レレに連れられ、晩餐の間に到着すると、一般家庭の十倍はありそうな縦長のダイニングテーブルでは既に食事が始まっていた。その場には、ララ、ワタル、レウィ、それと知らない白髪ロン毛のイケメンがいた。


 ララはイケメンと楽しそうに会話を混ぜながら食事をしており、それとは正反対にワタルとレウィは、一言も発する事無く何か緊張した面持ちで、俺の姿を確認すると何だかホッとした表情に変わっていく。


「遅かったな、先に始めているぞ」

 と、白髪ロン毛イケメンが、俺達に笑みを向ける。

「どちらさま?」と、レレに聞くと「うむ! 父上だ!」と簡潔に答えてくれた。


「あぁ~父上って事は魔王か……ってえええええ!? 魔王様!?」


 ウソだろ? 明日帰ってくるんじゃなかったのかよ?

 まだ心の準備ができてないのにいいいい! 

 パニックになっている俺を見て、魔王は手にした箸をテーブルに置き立ち上がる。

 てか、なぜに箸? 一瞬箸に視線を奪われるが、すぐに魔王に視線を戻す。


「我はアーノルド・ルートリンゲン、魔王と呼ばれている。歓迎しよう、日本からの客人よ」 


 思いもよらないタイミングで、魔王様と出逢ってしまった。

いつも読んできただき、ありがとうございます!

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