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負けられねえええ!

「では、遠慮なく本気でいかせてもらうとしよう!」


 レレの全身が真っ赤なオーラ―によって覆われる。今までよく見た光景だ。

 魔力を帯びているのだ。


 俺にはないモノ。


 魔法と言う非化学的な現象が存在するこの世界に召喚され、魔法に憧れを抱いて無かったと言ったらウソになる。オニール隊長に俺達には魔法を使う事ができないと言われた時、どんなに絶望したか……。


 もし、俺達が魔法を使えていたら……いや、止めておこう。

 それにしても、長いな……。

 身体強化の魔法であれば、ものの数秒で発動する。ワタルなら一瞬だけど……。

 だけど、レレは明らかに時間が掛かっている。

 思考のスイッチをオフにし、違和感を覚え、レレに注意を向ける。


「あれ?」


 レレの身体が膨れ上がっていく。

 ただ風船の様に膨れ上がっている訳では無い。傍から見ても、レレの身体がより強靭なっている事が分かる。なぜなら、すっげえムッキムッキになっているからだ!

 元の体型の倍はあるだろう筋肉戦士は、二カッと俺に向けて爽やかな笑みを向けてくる。


「待たせたな!」

「おいおい、成長期にも程があるだろ!」

「がっはははは、サクタは面白い事を言う!」

「強がってるだけだよ。身体強化魔法でも使ってくるかと思ってたから、少し驚いているんだ」

「俺は、本気になると言った! これが俺の本気だ!」

 

 うん、本気ね。

 すげぇ、分かるよ。君の本気が。

 本当に強そうだもん。正直勝てるかどうか分からない……が絶対勝てないとは思えない!


「てか、それはなんだ? 身体強化魔法でもないなら……」

「うむ、これは俺の固有能力の様な物だ! 詳しくは判明されておらぬが、俺の中に流れる鬼人族の血が爆発的な肉体強化を生み出すらしい! 俺はこれを【始祖返り】と呼んでいる! 兄弟の中で俺が一番強いのもこの能力のお陰だ!」


「良く分からないけど……もういいか?」

「おう! 待たせたな!」

「じゃあ続けようぜッ!」


 俺は、レレに向けて加速する!

 対するレレは、動かない。

 身体が大きくなっているんだ。パワーが上がってもスピードは落ちるはず!

 そうに違いないと思った俺は、レレを捉え勢いそのまま拳を振り抜く!

 俺の拳がレレに当たる瞬間、レレの姿が一瞬ブレると同時に俺の脇腹に衝撃が走り、気づいたら俺は引っ張られるように吹き飛ばされていた。


 何をされたんだ? 


 いや、俺は分かっている筈だ。脇腹から感じる痛みと吹き飛ばされている俺の今の状況。


 俺はレレに攻撃されたのだ。


 レレは、俺の攻撃をスレスレで躱し、横に移動、そしてがら空きの俺の脇腹に何らかの攻撃を加えた。


 油断した。勝手にスピードが落ちていると思って油断した。

 これが戦場で、レレが俺の敵であったのなら、この油断で俺は命を落とす事もあっただろう。


 修正するんだ。

 レレは、パワーもスピードも先程とは比べ物にならない程上がっている。

 想定以上だと思え! 


 俺は、闘技場の壁にぶつかる寸前に体勢を立て直し、三角飛びの要領で壁を蹴りレレに向かう。


「俺の攻撃をまともに受けて直ぐに向かってくるか! サクタ、君は最高だッ!」


 今度はレレも俺に向かって来る! そして、目の前でまた消えた。


「こっちだッ!」


 レレは、俺の右方面で、攻撃の予備動作に入っている 

 速い、だが、見えている! 先程の油断はない。

 レレは驚いた表情を見せながらも、振りかぶった拳を引っ込める事無く俺の顔面目かけて発射させる!

 俺は迫りくる岩の様な拳を避け、カウンターをぶち込む!

 俺の拳はレレの額に直撃する!

 かってええええ! どんな防御力してんだこいつ!

 あまりにも硬いレレに一瞬殴った拳が押し戻されそうになるのだが、俺は歯を食いしばり、思いっきり足を踏み込んで、全体重を拳に込める!


「うおりゃああああああああああああ!」

「まーだまだッ!」


 拮抗—―。

 パワーとパワーのぶつかり合い。

 いや、意地と意地のぶつかり合いと言った方がしっくりくるかもしれない。

 魔王はレレより強い。

 レレに負ける様じゃ、俺は魔王の前に立てる自身すら持てない!

 こんな所で負けてられねええええ!


「もっと力を! もっと! もっと! もっと! もっと! もっとおおおおおおお!」

 

 な、なんだ……?

 右手に何か熱いものが……何だ? 何だこれ!?

 俺の右手が段々と黒く染まっていく。

 それと同時に、自分でも信じられないような、力が右手を中心に湧き出てくる。

 よく分からんが、これならいけるッ!


「な、それは、まさか!」


 レレの驚き方から、これが何か分かる様だ。


「がっははははは! 君は凄い奴だ! こんな場面で成長するとは!」

「そうか、これは俺にとって成長と言えるものなのか! 感謝するぜ、お前のお陰で少しばかりの自信を取り戻せた!」

「そうか! それは良かった! 力と力のぶつかり合い! 実に有意義だったぞ!」

「あぁ! また、やろうぜえええええ!」


 俺は、持てる力を全て振り絞りレレをぶっ飛ばした!

いつも読んでいただき、ありがとうございます!

現在1話から見直しをしており、誤字・脱字修正、視点の修正、表現の修正などの改稿を行っております。

基本的なストーリーは変わりません。

1週間以内に終わらせる予定です。

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