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「……言峰さんちょっといいかしら」
私たちが話していると後ろから冷たい声色で、未来ちゃんを呼ぶ声がした。
茶髪のボブヘアーで、髪の毛にウェーブをかけた私より不良みたいな女の子。
「……どうしたの、中南さん」
名を中南日菜。
ちょっぴり怖いけれど綺麗な女の子である。
「どうかしたから、声掛けてんのちょっと付き合って」
怖いです、ものすごく怖いです。
けれど私は勇気を振り絞った。
「ねぇ、ちょっとなんの用か教えた方が」
「あなたに用はないわ」
弾丸のように言葉が私の心を貫く。
「ひゃっひゃい」
はいがまともに言えなかった。
やばい、このままだと未来ちゃんが危ない……。
何かカバンにないか。
香水はダメ、髪飾りはもうない、今から何かを作るのは間に合わないどうしたら……。
「ほら。行くわよ」
考えている間に2人は消えていた。
やばい、急いで後を追わないと!
……そうだ!魔法を見えないとこから使えばなんとかなる!
「……ねぇ、言峰さん。貴方っていいわよね」
氷のように冷たい目で未来を見つめながら彼女はそういう。
言葉も一つ一つに刺がある。
「どこがいいの……私なんて価値がない女の子だよ」
その言葉に、少々イラッとして氷の女は次の言葉を吐く。
「でた、そうやって自分を蔑んだ発言。そうやれば誰かが評価してくれるなんて思ってんの?」
「別に思ってないよ!だって本当に私は……」
「はいはい、いいのよ、そんなことないから。貴方がそう思ってても私はそう思ってないの。自分より優れた子が劣ってるって発言したら私はどうなるのよもっと惨めじゃない」
「……そんなことは」
「貴方はいいわよね、男の子からちやほやされて。その気がない男まで貴方に寄っていくんでしょうね」
「……何が言いたいの?いや言いたいことは何となく分かるけどそれが貴方に何かしたの?」
未来は自分の気持ち一生懸命言葉にした。
けれどその言葉は彼女をもっと冷たくした。
「ちっ!私の裕太を狂わせてよく言うわね!」
「違うよ!狂わせてなんかない!それに川崎くんは私のこと好きじゃない!」
「嘘よ!じゃあ誰が好きだって言うの!?貴方じゃなきゃ誰!?さっきだって貴方の言葉で彼は止まったじゃない!」
そう言って彼女は未来に掴みかかる。
胸ぐらを掴んで体を壁にうちつける。
「きゃっ!」
未来を打ち付けた壁はその振動でボロっと崩れ2人は廊下に投げ出された。
「……間一髪。危なかった」
彼女たちが言い争っている時、紗香は乗り込もうとして壁を自分で殴れば粉々になるくらいに強度を変えていた。そこにたまたま2人が来たのである。
倒れてきた未来を早急にたたせ、彼女の手を引く。
「いたた、あっ!待ちなさい!話は終わってない!」
「ちょっと、そこで何してるの!中南さん!」
「やばっ」
先生に見つかった中南さんはこの後こっぴどく叱られたという