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魔法自治!~JCと不良の愛と正義の魔道士物語~  作者: あぱろー。
第1話 初めまして!東雲紗香です!
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1-1

「……なんで私、生きてるの」


私は今、敵の攻撃で死んだはずだった。

私のことをよく思わない敵に吹き飛ばされるはずだった。

なのに私は肉体を残しここに立っている。


「おい、なんでだよ! なんでお前が喰らってるんだよぉ!」


私の目の前で女の人がうずくまる。

そこで理解した、私の大切な人が私を守ってしまったと。

嫌だ、なんで、なんで貴方がそんなことを。


「私の大切な弟子に手を出してんじゃないわよ、危うく彼女が死ぬところだったじゃない」


血を吐きながら、もう立つこともできないのに彼女は顔を上げ、敵を煽る。


「嫌だ嫌だよ森神ぃ! なんで君が死なないといけない! なんで俺が君を殺さないといけない! 大好きだ大好きだったのに! 何故そいつを見殺しにしなかった!」

「うるさいわよ、諸悪の根源。師匠が大切な弟子を守らなくてどうすんのよ、クソボケ野郎」

「なんでその子ばかり、見るんだ。俺を見ろよ! 俺を見てくれよ! 俺を愛せよ!」

「本当にあんたクソ野郎ね。馬鹿じゃないの? これから死ぬ相手にそんなこと言っちゃって。まぁ貴方が殺したんだけどね」


絶望したような顔を敵は見せ、涙を流しながら喚き叫ぶ。


「うわああああ! 俺ってやつは俺ってやつは! ……いや俺のせいじゃない。悪いの君の弟子だ、大人しく僕に殺されてればよかったのものを! もう俺の女は動けない、ならもう一度俺は君を殺そう!」


そう言って彼は手に黒いエネルギーを集中させ弾丸を作る。

そしてそれをまた私に向かって放出しようと力を込める。


嫌だ死にたくない!

嫌だよなんでこんなやつに、私も師匠も殺されなきゃいけないの!?

動いてよ私の体! 動いてよ! お願いだから自分を守る力くらい働いてよ!


涙を浮かべながら私は手を前にかざして力を込める。

しかし私が作る反射板は力を込めるだけで音を立てて壊れる。


「あっ……あああああ! お願い! お願い! 私を守って!」


「終わりだ……さよならだ森神の弟子よ」


終わった。ここで死んじゃうんだ。


何も出来なくなった私はそこに力なくへたり込む。


「あっあああああああああ!!! なっなせだ!? 嘘だろ森神いいいいいい!」


そう思ったけどその瞬間は来なかった。

彼が私に向けて弾丸を撃ち込もうとした瞬間彼の体は木端微塵に吹き飛んだ。


「私がただくたばるわけないだろばーか。油断したな諸悪の根源」


師匠はニヤッと笑い満足そうに地に顔をつけた。

そこに急いで駆けつけて彼女に寄り添う。


「師匠! ごめんなさい! 私のせいで!」

「私こそごめんね、幼い貴方に人が死ぬ姿を見せてしまって」

「ごめんさい、未熟な私の為に貴方が死ぬことになってしまって」

「……そんな悲しい顔しないで、私はようやく終わりを迎えれたんだ、あいつは倒し損ねたけど私の最後がかっこいい死に方でよかった」

「師匠、貴方の魂を私の中に! 私の体を上げる! だから! こんな未熟な私が生きるより! 師匠が生きるべきなの!」


私はそう叫んだ。

すると師匠は消えそうな手で私の頬を優しくつねり不満ありげに私に


「馬鹿いわないでよ、これは私がやった事なの。後悔はないわ」


と言った。

私はそれを聞いても悲しい顔をするばかり。

だから師匠は笑いかけながら私の手を握った。


「ねぇ我が弟子。そんなに罪の意識があるなら、私の役目継いでみない? 私が死んでも諸悪の根源は多分生きかえる。それは頂けないわ。ねぇどうかしら?」


私は無言で頷いた。

そうすると師匠はぎゅっと力を込め私に魔力を流し始めた。

弱い私に彼女の力が入ってくるのがわかる。

それと同時に彼女はだんだん薄れていく。

そんな彼女を私は強く抱きしめる。


「紗香、ごめんね。私の役目を押し付けて。でも良かった貴方が人生の楽しさを知らずに死ななくて! 貴方が楽しく人生を生ききったら黄泉の国で会いましょ!」


……あぁ、一人になってしまった。

大切な人を失った喪失感と、恩師を死なせてしまった罪悪感と悲しみが残る。

ごめんなさい、師匠。

貴方の長い人生を私が終わりにしてしまって。

そう思うと、私の顔はぐちゃぐちゃにとろけていった。

涙がボロボロ落ちてくる。

体の力が抜けて上半身が地面に倒れていく。

もう何も考えることが出来なくて、顔を地面に埋めて大きな声で泣いた。


「うわあああああああ! なんで!? なんで私が!? 嫌だ! 戻ってきてよォ! 師匠!!」


何喋ってるか分からない支離滅裂な言葉を吐き続けながら私は泣いた。

これが私のプロローグ。

これからの物語を語る上でとても重要なお話。

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