白き刀狼協奏曲
何もない真っ白な空間で睨み合う男女がいた
白のシルクハットに白の執事服、白のステッキを持ち立つ男、名はフェンリル
白のロングヘアに白のワンピース、白のハイヒールを履く女、名はソルティドッグ
ひとりの少女をきっかけに再会した二人の行く末は、、、
「ねぇ、あんたさ、久しぶりに私にあってなにかゆうこととかないの?」
「あの時はすまなかった」
「いや、まぁ、そう素直に謝られると調子が狂うんだけどさ、、、」
「そんな無駄話をするためにわざわざ来たのか?」
「はぁ、、、ほんとあんたは変わんないわね」
「其方こそな」
「はいはい、、、じゃなくて!あんたさっき我らもって言ったでしょ!!」
「間違いは無いはずであるが、問題はあるか?」
「大アリよ!まだあの子にその事実を伝えるのは早すぎるのよ!」
「なぜだ、我にはわからぬ。遅かれ早かれ知ることではあるまいか?」
「そうなのよ!だからこそ、今教えるべきではないのよ!」
「理解ができぬ」
「あなた、そんなとこまで昔のまんまなんてね、、、」
「それは置いておくとして、我からも話したいことがある」
「腑に落ちてなさすぎる、、、はぁ、もういいわ、どうしたの?」
「我に未来予知能力があることは知っているか?」
「あぁ、確かあの時の戦いでも言ってたわね。そのおかげでえらく軍に重宝されたのも知ってるわ」
「その未来予知がおかしいのだ。なぜか予知しても予知しても何も見えないのだ。いや、何も見えないわけではないがな」
「あら、珍しいわね、そんなこと過去にあったかしら?」
「無い。故に我も驚いている」
「何も見えないわけではないってことは何かみえているのね?」
「あぁ、、、」
「どうしたの?」
「説明がしづらいのだ。我が未来予知を使うたびにある場面から赤くなる」
「あんたが?誰かに惚れたの?」
「予知が赤一色になるのだ、血のように赤い」
「えっ、、、それって、、、」
「詳しくはわからぬ、ただ近々アイトーンの身に何かが起こると考えている」
「それは、、、早く知らせないと!」
「待て。アイトーンにはこの事実を知らせるでないぞ」
「はぁ!?何を言ってるのよ!」
「知らせてしまえば、未来は変わってしまう、だが、変わった未来が良くなったことを我は未だ見たことがない」
「今回は良くなるかもしれないじゃない!」
「それにその赤は決して冷たい赤ではない。赤は赤ではあるのだがな。例えるのであれば血液の赤と木の実の赤の違いのようなものだ」
「意味がわからないわよ、、、」
「それに、アイトーンはそんなやわな子ではないことは其方も知っておるだろ?」
「たしかに、そう言われればそうか」
「我らが信じずして誰が信じるのだ」
「、、、そうね」
「もし、何か起きたとしても、あの子は一人ではない、我もいるし、其方もいる」
「そうか、そうよね、うん、たしかにそうだわ」
「ところでどうする?そろそろ時間を止めるのも限界なのであるが」
「じゃあ、そろそろ出るわね、とにかく今話したことも含めて全てあの子には言わないようにね。次言ったらあんたの毛全部刈ってやるんだから!」
「承知した」
「相変わらず即答ね」
「これからは仲良くやろうぞ、『コリンズ』」
「その名は捨てたわ、じゃあね」
「あぁ」
そして、女は消え、男だけが残された
「相変わらずお前は綺麗だな、コリンズ・ソルト」
最後にそう呟き、男も消えた
消える瞬間の顔は、優しい顔をしていたと言う