ソルティドッグ
「ソルティ、、、ドッグ、、、」
(やっと、気づいたのね、、、はぁ、本当鈍感すぎるのよ)
気付くも何も、その名前を私はよく知ってる
だって、その名前は
「それ、あたいの村の名前じゃないか!!」
(そうよ?何か文句でもある??)
馬鹿言うな、文句なんてあるわけが無い、そんな些末なものなんで、溢れ出る疑問に飲み込まれるに決まってる
(もしかして、あなた、あの人が本当に何の意味もなくあんな片田舎の村で暮らしてたと思う?)
「どういうことよ?」
(救国の英雄とまで言われたあの人が何も考えずにみんなが忘れていくからって、のうのうと時代の流れなんかに従うと思ってるの?)
たしかにその通りだ
あの日私が抱いた疑問に直結する事実をこのナイフは知っている
「、、、教えて」
(なに?)
「父さんのことを、父さんの過去を、あなたが知ってる限りでいい、教えて」
(はぁ、、、しょうがないわね、今はまだ全てを教えられないのだけど、今回は特別に、一つだけ教えてあげる)
くそぅ、ひとつか、、、
ただ、私の知らない事実には違いないし、文句は言えないか
「お願い、、、します」
(珍しいわね、あなたがそんな態度なんて、その態度に免じて教えてあげる)
そして、とある事実を聞いたあたいは動けなかった
うずくまり泣いた
静かに静かに泣いた
だって、そりゃそうだ
だって、だって
「父さん、、、ひぐっ、、、あたいのために、、、うぐっ、、、父さぁぁぁん!!!」
その一つの事実は極めて単純な事だ
(あの人は世界に愛されるよりもあなたに愛されるために自ら存在を忘れさせたのよ、私を使って)