閑話:昔話
リハビリです
エタりません、書ききるまでは
「ふぅ、一息つくか」
鍛えあげた肉体に猟師のような佇まいをした屈強な男がひとり、作業を終えて木に寄りかかった
黒革のよくなめされたベルトには彼の風貌には似つかわしくないほど真っ白な一振りのナイフが掛けられている
彼の名はサドソン・ソルト
これは後に、救国の英雄と呼ばれる男の若き日の話である
『サドくーん?どこー?』
「あぁ、こっちだ、ケル」
遠くから声がする、そして獣の目線
『はぁ、ほんとサドくん、どうして私より脚が速いのかしら?それでも本当に人間なの?』
「失礼な、俺ほどまともな人間もいないだろ」
『質問した私がバカだったわね』
漆黒の毛に覆われた頭が三つの豹のような魔獣がサドソンに撫でられていた
その名もケルベロス、世界が荒れていた時代の基準でも特S級に指定される特別指定報告対象である
「はぁ、しっかし、ここに来て数ヶ月、なんかやることもねぇなぁ」
『なら、元の暮らしに戻れば?』
「嫌だね、あんな狭っ苦しくて窮屈な場所に帰るなんて」
『王城が窮屈ならあなたにとって満足いく場所なんてあるのかしら?』
「まぁ、少なくとも、腹立つ奴をぶん殴っても、誰も怒鳴らねえし、一人にしてくれる場所ならどこでもいいかな」
『はぁ、本当、あなたって人は…』
“見つけたぞ!!”
“王子ー!サドソン王子ー!”
『お呼びよ?』
「はぁ、あいつらしつけぇなぁ、グリフ!!」
<あぁ!もう!うっせぇなぁ!!静かに寝かせろってんだい!こちとら夜行性なんだよ!!>
人の丈をゆうに超える大きさの大鷲、グリフィンがサドソンのもとに降り立つ
馴れ馴れしくしているが、この魔獣も特別指定報告対象である
「わりぃわりぃ!ちと追いかけられててさ!助けてくれ!」
<はぁ、ったく!後でご褒美寄越せよ!>
「わかってるよ!さて、ケルちゃん!ひとっ走り付き合えよ!」
『えぇ、望むところよ!』
数ヶ月前に突如として失踪した、ソルト王の長男サドソン王子
幾重にも張り巡らされた包囲網を難なくかいくぐり、ついには行方をくらませた
父である王も、二度とその名を聞くことはないと絶縁宣言を行った
数年後、嫌でもその名を見なければならない日が来ることとは知らずに
設定が生えまくるし、新しい作品も書きたいし、私生活も仕事も忙しいし、もう一体どうすれば…




