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ソルトファミリー〜少数精鋭の義賊団〜  作者: radada
白と紅〜赤い衝動を搔き消す白銀〜
2/26

1年後

「ふぅ、ここら辺はあらかた片付けたか、ちょっくら休憩しますかねっと」



そう一人で呟くと、私は大きな木に腰かけた



あの日から1年が経とうとしている



自分の首を掻き切ったあとのことはあまり覚えていない



ただ、目を覚ました時には私を取り囲んでいた賊はおろか、父の亡骸も、住み続けた家も無くなっていた



あったものは一握りの塩だけだった



その塩は巾着に入れて、肌身離さず持ち歩いている



この一年間、色々あった



賊の追撃、森への逃亡、魔獣とのなわばり争い



おおかた、世俗間とはかけ離れ過ぎた生活を送っていた



あの日に父に貰ったナイフは今でも愛用している



なにせ、どれだけ切ろうとも、錆びずに斬れ味も落ちないのだ



そのおかげで、我流ながらもナイフの戦い方は習得していった



生き抜くためにはそれしかなかったのだ



通りすがりの人に話を聞いていく中で、この森が国指定の立ち入り禁止区域であることもわかった



魔物や魔獣が多過ぎて、入ればそのまま二度と戻らないと言われているらしい



ただ、、、



「みんなあたいに懐きすぎなんだよなぁ」



今も腰かけている木の根元には狼に似た白い魔獣が持ってきてくれて肉や果物でいっぱいになっている



こいつとも、何度か争っていたのだが



『どうかしたか、アイトーン』



「どうもこうもねぇよ、なんであんたらは人間で、しかもよそ者のあたいにここまで懐いてんのよ」



『強き者に従うはこの森の掟だ』



「へいへい、そりゃあ、大層ようござんした」



こんな風に魔物からの助けなどもあり、食糧に困ったことはない



なんでも、この魔獣はこの森の主であるらしい



「あんた、名前なんだったっけ?」



『我が名はフェンリル、ちなみにこれで5回目だ』



「あぁ、そかそか、悪い悪い」



そうして、腰の巾着に手を伸ばし例の塩をひとつまみ舐めた



「フェンちゃんさぁ、この塩なんだかわかる?」



『それについては、我も興味深いと思っていた。その塩からは様々な反応を感じる。そこら辺で売っている塩なんかと一緒にしてしまうには些か問題点が多すぎる』



「ふーん、そうなんだ、まぁ、いくら舐めても減らないんだから良いんだけどさ」



どうもこの塩には強い治癒能力があるらしくどんな傷も跡形もなく消えてしまう。



それにひとつまみ舐めれば、そこまでしょっぱくないにも関わらず身体の芯から湧き上がるようなエネルギーを感じる



今では塩というのもおこがましく、お塩様と呼んでいる



「はぁ、そろそろ出発しますかねぇ、フェンちゃん、背中貸して」



『我をここまで軽く扱うのもアイトーンだけだ』



「何よ、文句あんの?」



『あるわけがないであろう、言わせるな、早く乗れ』



「へいへい」



そういうと白く綺麗な毛並みに跨った



『捕まってろよ』



フェンちゃんはそういうとあたりの景色が見えなくなるほどの速度で森を走り抜けた



さてと、父の最期の言いつけ、守るとしますかね



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