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ソルトファミリー〜少数精鋭の義賊団〜  作者: radada
白と紅〜赤い衝動を搔き消す白銀〜
1/26

プロローグ

朝日が昇り始めた頃、騒がしいまでの警鐘で目を覚ました



妙な胸騒ぎがする



まだ眠気まなこではあるものの、父親を探す



「おお、アイトーン、起きたか」



「父さん、これかなりやばいの?」



「なぁに、なんてことはない、小さな賊が手を組んでここを攻めに来る程度のことさ」



「それってさ、父さんの昔の仕事と関係してたりする?」



「、、、さぁ、どうだろうね」



「そっか」



父親の昔の仕事についても、この家のことについてもアイトーンは理解していた



かつてこの国を救った英雄サドソン・ソルトのことも



そのサドソンに惹かれた者たちが集まり結成されたソルトファミリーのことも



そして、そんなみんなから愛された英雄が自分の父であることも



父はよく昔のことを話すたびに「あの頃はやんちゃだった」と言っていたが、やんちゃなんて、ちゃちなレベルじゃないことくらい、7歳のアイトーンにもわかっていた



ただ一つ不思議だったことがあった



そんなにも愛されていたのに、なぜ今ではこんな片田舎で農民のような生活をしているかということだ



時代の流れとひとくくりにしてしまえばそれまでだが、それにしても不自然すぎた



そして、アイトーンが物心がついてから今日まで、ソルトファミリーの一員だった人物に出会ったことがない



本当に実在していたのかとまで思っていた



もっと言えば母親のことも話で聞くだけだ



「アイトーン、何してるんだい?」



「ちょっと考えごと」



「そうか、、、なにも心配することはないさ。ただね、一つ聞いておいてほしい」



父の初めて見るほどの神妙な面持ちに思わず私は息を飲んだ



「もしも、父さんがいなくなったら、このナイフをもってとにかく東に向かうんだ」



「えっ、どうしたの、急に」



「東に向かい続けるまでに色々な出会いがあるかもしれないが、アイトーンならきっとうまくやれるさ」



「いやっ、父さん?なにわけわかんないこと言ってんだよ」



「なんてったってお前は父さんの子だから、ぐはっ、、、」



「、、、えっ?」



不意に血を吐きながら父は倒れた



私がここで考え事をしている間に父はこの家を守っていたらしい



ふと震えながら窓の外を見ると、増援の賊がこちらに向かってくるのがみえた



「父さん!!」



「あぁ、やっちまったなぁ、可愛い娘にだけはこんな姿見せたくなかったんだがな」



「あんなに元気にさっきまで話してたじゃないか!」



「ははっ、男には痩せ我慢しなきゃいけない時があるのさ」



見ると父の腹には大きな穴が空いていた



「アイトーン、、、さっきの続きだ、、、」



「もう喋るなよ!」



「いいんだよ、これだけは伝えないと、、、もうじきに追手がくる、、、お前はとにかく生きろ、、、生きて、、、生き抜いて、、、」



「もうやめろって!父さんがいなくなったらあたいは、、、あたいは、、、」



「ははっ、お前は本当に母さんによく似てる、、、いいかい?、、、この世界は不条理と理不尽だらけだ、、、でもね、いつだって憎たらしいほどの愛に満ち溢れているのも事実なんだ、、、だから、アイトーン、この世界を笑顔にしてやってくれ、、、父さんはこの国だけが限界だった、、、でも、アイトーン、、、お前ならできる、、、なんてったって、お前は、、、父さんの子供だか、、、ら、、、な、、、」



そういうと父は力なく目を閉じた



私は泣いた



追手が来てることすらも忘れてなきじゃくった



ふと我にかえると、下卑た顔の男達に囲まれていた



「ははぁん、この小娘が、あいつの子か」



「なかなかの上玉じゃねぇか」



「よし、捕まえろ」



そういうと男達は私を捕らえようと近づいて来た



「、、、くそったれ」



「あん?今誰かなんか言ったか?」



「くそったれがぁ!!テメェらに捕まるくらいならあたいは自ら死んでやる!父さんの後を追いかけてやる!」



私はおかしくなっていた、初めて人の死を、それも育ての親の死を目の前にして、どうでもよくなっていた



「おい、はやくつかまえろ!」



「あああああああああっ!!」



半ば咆哮にも近い叫び声をあげて、私は自らの首を掻き切った



父からもらった白銀のナイフで


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