第三話「再会」
※この回を読む前に第一話をと第二話を読んでおいてください。
足りなかった描写が追加されています。
前回のあらすじ
エクリプスを苦戦を強いられるも見事勝った燈真であった。
燈真が天ノ叢雲から降りると拍手が起きた。
機体の足元には沢山の人がいた。
燈真は何故こんなにも人が集まっているのかと疑問が湧いた。
すると1人の男の人が前に出できた。
ジョージだ。そして彼は燈真に話し始めた。
「燈真さんはバベルに残されていたこんなにも多くの人の生命を救ったんですよ。ここにいる人たちはあなたにお礼を言いたいんですよ。」
ジョージが話し終えると周りの人からありがとうや助かったなどの多くの言葉が燈真にかけられた。
「まあ私としては機体をこんな状態にされちゃたまったもんじゃ無いですけどね。生命は助けてもらいましたが。」
と、ジョージは笑いながらも燈真へ愚痴を吐いた。そして燈真をもみくちゃにしている人たちに声を投げかけた。
「さて皆さーん。ここで直すのはさすがに無理ですのでここから一番近い月面基地に移動しましょう。さあ搬入作業に入りますよぉ。」
ジョージが声をかけると人々は作業に移った。
「あの人たち作業員だったのか...警備の人たちはあのオッサン以外居ないのか...?」
後で分かったことだが警備兵たちは即座に逃げていったらしい。
「さて燈真さんに作業して貰うと効率が下がるので先にシャトルに乗っててください。」
「いや。俺も何か手伝うよ。」
「...乗っててくださいね。」
ジョージは殺気のある笑顔で念を押した。
「...はい。」
燈真は1人船内で待っていた。
何もすることがなくただただ座っているだけ。
しかし彼は様々な事を考えていた。
ジャックの安否や今後の事を考えていた。
すると作業員たちがわらわらと船内に入ってきた。
どうやら整備、天ノ叢雲の搬入作業が終わったらしい。
ジョージは燈真の向かいの席に座った。
何か作業をするらしい。
すると燈真の席の隣にどかっと座った人がいた。
格納庫に入ってきた燈真を止めようとし、燈真が帰還不能になった際に助けに来てくれたあのガタイのいい男だ。
先程まではヘルメットでうまく見えてなかった顔を見ることが出来た。
彼は黒色の髪の毛、黒色の瞳をしていて頑固者を思わせる容貌だ。
実際には分からないが。
ただ異様なのは宇宙空間でしかもバベル内で何でそんなにも焼けているんだという程彼の皮膚は茶褐色をしていた。
「いやー助かったよ!君がいなかったら僕はどうなっていた事か。僕の名前は萩野 宗久よろしくな。」
この人容貌に似合わず一人称僕なんだな...
燈真がそんな事を考えてる最中にも彼は燈真に話続けていた。
「いやー僕はCAPの操縦の訓練は受けているんだけど戦闘の訓練は受けてなくてねー」
などと宗久は燈真に話している。
どのくらいの時間が過ぎただろうか。
隣にいる宗久は自分のことをあらかた話したあとイビキをかいて寝ている。
そんな彼を気にも留めず燈真は軌道エレベーターの時と同じように外を見ていた。
月まで行く間、各国家の宇宙ステーションが見受けられた。
そこにジャックがいるのではないか。
そう燈真は考えたがその選択肢はすぐさま消えた。
彼らは量産機でないオリジナルのCAPを所有している。
そんな彼らが一国家に留まったら国家ごとのパワーバランスが崩れてしまう。
だから彼らは補給や船の故障等の緊急事態以外ではよることが許されてないのだ。
それに隣で爆睡している男の話によれば避難ポッドは全て国連所持の月面基地に送られることになっているらしい。
そうこうしているうちに月面基地゛バヒロニア゛に到着しようとしていた。
燈真がドラゴンと戦っている一方、ジャックはバビロニアにある唯一の出口の前で燈真が来るのを待っていた。
そこに1隻の船が到着した。
これもバベルからの避難船だ。
ジャックはそこから降りてくる人を凝視した。
だがそこには燈真の姿は無かった。
藁にもすがる思いでジャックはバビロニアの駅員にバベルからの避難船はあと何隻来るかを聞いた。
「バベルからの避難船は連絡が入っているだけだとこれが最後のはずだ。」
ジャックは落胆した。
結局ジャックは燈真を見つけられなかったのだ。
ジャックはフラフラとバビロニア内に入っていった。
ジャックは自室に案内された。
暫くの間この部屋がジャックの部屋になるらしい。
ジャックの部屋の隣は燈真の部屋だ。
しかしそこには燈真の姿はない。
ジャックは自室の金属で出来たの自動扉が余計に冷たく、そして重く感じられた。
機体の整備等を手伝えと言われていたがジャックはやる気が起きずそのままベッドに倒れ込んでいった。
ジャックは気だるそうに体を起こした。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
気分を晴らそうと機体の整備に向かうことにした。
格納庫に向かおうと通路を歩いていたその時、後ろから声をかけられた。
誰かと思い振り向くとそこには先程の駅員が駆け寄ってきていた。
彼はジャックにことを伝えるために走ってきたという。
「バ、バベルから1隻こちらへ向かっているそうです...」
彼は息を切らしながらジャックに告げた。
ジャックは乗車口へ走っていった。
燈真はバビロニアに着くとある重大な事に気づいたのであった。
「しまった!着替えの入ったカバンをバベルに置いてきちゃった!」
燈真が格納庫に放りっぱなしにしてきたことを嘆いていた。
「というと思って持ってきておきましたよ。感謝してくださいね。」
「あ、ありがとうございます!」
礼を言ってジョージからカバンを受け取ると駅を出て行った。
すると燈真は目の前から人が走ってきているのに気付いた。
「はぁ...はぁ...と、燈真...無事か?」
走って来ていたのはジャックだった。
そして彼が息を切らしながら聞いてきた。
「ああ無事だよ。」
燈真は目の前にいるジャックの質問に答えた。
ジャックは燈真の言葉を聞くと安堵の表情を浮かべその場で倒れこんだ。
「はっはははは...良かった...本当に良かった...」
「心配をかけたな...すまない」
「いや。謝るのは俺の方だ。お前とはぐれたのにも気づかずにそのまま走って行ってしまったから...」
その後、彼らは燈真のカバンを置きに行きバビロニアの休憩室で幾億の言葉を交わした。
主に話していたのは燈真だ。
声が聞こえる所に行ったら自分専用CAPが置いてあったこと。
CAPに乗ってドラゴンと闘い、そして討伐に成功したこと。
そんなことを話していた。
それをジャックは唖然と聞いていた。
燈真が自分の知らないところで死にかけていたことなど。
だがジャックのその気持ちはすぐに変わった。
「俺がどんだけ心配したんだと思っているんだ!お前が死んでいたら...俺がお前から目を離さなければ...お前が生きていても重体になっていたら...そう思っちゃったんだよ!」
燈真は怒られているにも関わらず心が温かくなっていた。
ジャックが自分のことをこんなにも心配をしてくれていた。
こんなにも大切に思っていてくれていた。
そう思うと燈真は嬉しかった。
しかしそれと同時に罪悪感もまた生まれてきた。
だが、心配したんは燈真も同じ事だ。
船の中でだが。
燈真はこの事をジャックに言おうと思ったが口ごもってしまった。
燈真はジャックに燈真の唯一の肉親に対する気持ちが一層深まったのであった。
今回は文字数が少なめで申し訳ない。