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お遊戯発表会の劇

むかし、むかしある海岸に疲れた魔物のタートルが流れつきました。

タートルが海岸で休んでいると人族の子供がやってきて「魔物がでたぞ~、魔物がでたぞ~。」とさわぎたて木の棒でなぐってきました。

なにもわるいことはしてないのに人族のこどもは、木の棒でなんどもなんども魔物のタートルをなぐりつけます。

「いたいよ~いたいよ~やめて、いじめないで~」



今日は保育園のお遊戯発表会の劇の練習日。

園児達の声がホールに揃う。

キマイラのビーちゃんは幕裏でじっと出番を待った。



するとそこにひとりの人族の貴族が通りかかりました。

「おやおや、子供達。タートルの甲羅を傷つけては高く売れないよ。どうれ、オジサンが防具の素材として買い取ってあげよう。」


「わーい、ありがとう。」

人族子供役のキングコボルトの三つ子が出番を終えた。


「しめしめ、ギルドに持ち込めば倍で売れるぞ。」

そういうと人族貴族は邪悪な顔で笑いました。


ナレーション役が切り替わる、キマイラビーちゃんは舞台にでて、渡されたマイクを握った。


ひとぞくの、きぞくのなは、ターロウ=ラーシマー。捕まったタートルのなは、カーメイといいました。


キマイラビーちゃんは最初のセリフがうまく言えてほっとした。



魔導具はこの世界の生活を大きく変えた。

この世界の魔法は本来、自然界にある精霊の力を借りてエネルギーを生み出すとされる。

簡単乱暴に言ってしまえば、言葉(詠唱)や強い願いによって召還された精霊が自然界に元々存在する元素や原子を集めそれを指先や指定空間から融合、放出するのがこの世界の魔法である。

つまり、この世界の魔力とは一部の例外を除き精霊を召還する力であり、できるだけ無駄なくそれをエネルギーに変える力であると云える。

この力の単位がマジックパワー(MP)である。

この世界の魔法はその性質上、MP値が低い者、元々持たない者には使えない。

それをMPの消費なく使用可能にしたのが魔導具である。魔法エネルギーをその場で放出するのではなく触媒により蓄積、貯蔵できる導具。これが魔導具の正体である。

次章からは性質上エネルギーごとに違う触媒の発見、改良または発明の歴史、概要、利用法について私なりに解説していく。

「魔族賢者トーマス・エデソン『魔導具~その発明と解説』冒頭」


園長先生は読み始めた本をパタンと閉じて欠伸した。お茶でも入れましょう。

園長先生のお仕事は本日はお休みであった。



カーメイの家族を人質にとりターロウ=ラーシマーはオート姫をおどし、海のダンジョン城に無理やり案内させ、城の門を開けさせた。

ターロウ=ラーシマーは、人族の乱暴者を率いて城に攻め込む。


「負けないぞ~まけないぞー。」


舞い踊り戦う海の城の兵士たちを、表現してカラフルな衣装の園児たちが音楽に合わせて踊る。


「ハイハイ、みんな踊りがそろってないよ~!」

総合演出のメデューササ先生の激が飛ぶ。


踊っていた園児たちがひとりずつ舞台袖にさがっていく。下がりながらセリフを叫ぶ。

「もうだめだ~。モウダメダ~。」


ターロウ=ラーシマー役のミーアキャットのミケミケちゃんの決めゼリフ。

「魔族のモノタチヨ。滅びるがヨイ。」

かわいい悪役の見せ場。


舞台上部からセリフ。

「邪悪な人族よ、そうはいかぬ!」

バッサバッサ羽を振ってレッドドラゴンのファイくんが登場。

「この城を守りし、魂の王宮より龍きたる。」

「龍王宮城の力をみよ!」


ミケミケチャン倒れる。「ヤラレタ~~~。」



命からがら逃げ出すターロウ=ラーシマー。

仲間の乱暴者もみんなやられてしまった。


ミケミケちゃんのセリフ。

「残ったのは、城で盗んだ宝箱のみ!」

「あけて、みよう!そうしよう!」


後ろに黒いカーテンが用意される。

宝箱を開けるターロウ=ラーシマー。


黒いカーテンが落ちて白いハンカチを振って園児たちのケムリもくもくの踊り。


綿で作った白いお髭でオジイサンになるミケミケ、ターロウ=ラーシマー。


ハンカチを振ってケムリもくもく踊りのみんなが最後に並んで力一杯叫ぶ。



「「「おしまい!」」」



魔族の間では時を進める魔導具はターロウ=ラーシマーの宝箱と呼ばれている。

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