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詩集 「愛」  作者: 蓮華
8/10

「違う」って言って。


「愛してる」



そんな言葉聞きたくなかった。



私は貴方のことが好きだった。


だから、だからこそ、


今まで想いも告げずにここまできた。


なのに、貴方は酔った拍子に、それを言った。



私が必死に「言っちゃダメ」だって、


そうやって、何度も繰り返し言い聞かせてきたのに、


貴方はその苦労を知らないまま、簡単に言葉を発した。




貴方には奥さんがいる。


それに、5歳と3歳の娘さんもいる。


奥さんに似て、娘さんも可愛い。


そして、貴方はカッコいい。


私にとっては理想の家族。


それが貴方の家族とは全く関係ない私の自慢。



だからこそ、我慢できた。


奥さんが私よりも見た目も性格もブスだったら、


私が貴方を掻っ攫っていた。奪っていたはず。


だけど、それをしなかったのは、


奥さんが私なんかとは比べようがない人だったから。




なのに、貴方は私に言った。


「お前が好きだ」 「愛してる」って……。



私のどこを見て、そう思ったのだろうか?


血迷ったのだろうか?寝ぼけていたのだろうか?


それとも、本気だったのだろうか……?



いや、それはない。 それはないと思う。


思いたい。 だから、「嘘だ」って言って欲しい。



だけど、貴方の目は変わらずに私のほうを見ている。


酔っていたなら、寝言で言って欲しかった。


私の目を見て、真剣な顔をして言わないで欲しかった。



明日から、仕事場でどういう風に、


貴方に接したらいいのかわからない。



「好きだ」って想いを誰にも言ったことなんてなかったのに。





なのに、私の現実を貴方は崩した。


今まで我慢してたのに。ずっと耐えてきたのに。



貴方の結婚式に出席したときだって、


笑顔で「おめでとう」って言ったのに。



なのに貴方は、そんな私の想いなんて気にせずに言った。





私は……私は……どうすればいいの?



私の好きな人には奥さんがいて、子供もいて、


私のことをどうやら本気で好きみたい……。



私は一体、どうすればいいの?


このまま不倫をしろっていうの?


だけど、あんなに優しい貴方の奥さんを裏切れない。


私が今まで我慢してきたような想いを、


奥さんにもさせるつもり? いや、それは無理。


だったら、私は……どうすれば……いいの?
























貴方への気持ちに嘘はない。


だけど、私は今から嘘を言うよ?


「ごめんね」「それだけは受け取れないや」




一粒、涙があふれた。


それは貴方への怒りでもなく、


奥さんへの妬みでも嫉妬でもなく、


単に、私の不甲斐に対する涙だった。




もう少し、うまくこの想いを告げられたら。


誰も傷つかずにこの話をまとめられていたら……。





どんなに楽だったろうか?



どれほど泣かずに済んだだろうか?










ありがとね?



嘘はついてしまったけど、


やっぱり私は貴方が好きだよ……。
























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