鳥籠で小鳥は|鳴く(うたう) 作者: cloverの三ツ葉の方(二百or四百文字) 掲載日:2014/02/25 古びた本を顔が映る程磨かれたピアノの大屋根に乗せる。 大屋根を開かず、ペダルも踏まず、鍵盤に指を滑らせる。 散歩でもする様に気ままに。 歪んだ音がする。 「ねえ小鳥、歌っておくれ」 『鳥籠(とりかご)』に囁(ささや)けば、彼女は結んだ唇を僅かに解く。 楽譜など要らない。即興のメロディーが今はとても好ましい。 積もる雪が二人を外界から隔てる。 けれど、彼女は鳥籠(そこ)に居なくては。 鍵は彼女の手の中。 僕の手の届かぬ堅牢な砦で、彼女は救いを待って、歌う。