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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第1話 勇者①

《side:璃音》


「澪羽っ!」


「わ…!」


「く…び…」



真っ黒な空間に突然引き込まれどれぐらい経ったんだろうか、突然硬い地面に落とされた。


澪羽が頭から落ちそうだったので手を引っ張り、背中に手を回す。


その時に反対の手に若干力が入っちゃったけど…まあ、気にしない!



「じぬ…」



さすがに真っ青なので手を離すとよろよろとしゃがみ込み、今まで微かにしか吸い込めなかった酸素を取り戻す(?)かの様に呼吸しだした。


…いくら丈夫だからといってやりすぎたかな? 兄さんだし後1分もあれば復活するだろうけど。


若干反省しながら周りを見回して…辺りの異様な光景に…僕は、今更気づいた。


地面だと思っていた場所は石の床で、マンガで見るような魔法陣が刻まれていた。


壁も床と同質の材料で作られており、天井が高い。


落ちた時は全体に薄暗く自分の近くしか見れなかったけど、前方に複数の人の気配がする。


気配には落ちたときから気づいていたけど、澪羽の方が大事だから無視してたんだよね~。


如何やらいつの間にか力が入っていた様で澪羽が苦しそうにし出した。


背中に回してある腕をほどいてやり僕の横までそっと引っ張る。


…僕自身、相当動揺しているらしい。


床にしゃがみ込んでいた兄さんが立ち上がり、周りの状況に気づいて眉間に皺を寄せている。


複数の気配の内、黒いフードを被った集団…15人程が手に持っていた杖を掲げ、ぶつぶつと何かを言い出した。


すると突如辺りにオレンジ色の丸い球体状の炎(?)が出現しフワフワ浮き出した。



『ま…魔法なのか…?』



兄さん、かなり驚いてるみたいだね。


マンガとかでは良く見るけど、実際では初めてだしね…。


先ほどのフード集団の他には5人ほどの正に"騎士"って感じの鎧さんとその人に囲まれているド派手な年上そうな女性、少し離れた位置に立っている少し豪華な服を着た多分同い年ぐらいの男性…計22人。



わぉ、金髪縦ロールってホントにいるんだ…



僕が妙な事に関心していると、2人には伝わった様で。



『あれ、絶対ワイヤー入ってたりとかワックス塗り捲りなんだよね?』


『やっぱりそう思う?僕もそうだと思うし』


『だな。というかこういう髪型のキャラは大抵…』


「そこの貴方達?」


『『『高飛車ですよね~』』』



若干そりながら上から目線で見下すように見ながら言ってくるのを見て…見事に僕達の念話が重なった。



「何でしょうか?」



兄さんは笑顔とか顔に貼り付けるのは得意だけど口下手。


だから僕が変わりに父さんにから徹底的に扱かれた"仕事用の相手に良い印象を送る笑顔"で返事を返す。


澪羽も兄さんも察して互いに目で合図をする。


…何故か、金髪縦ロール様は僕の顔をまじまじと見つめ…顔を赤く染めた。


まずい…怒らせてしまったかな…?



「わっ…わたくしはウェスタリア王国第一王女、リシェラ・ローサ・ウェスタリアでございますわ」



どうやら怒ってはいない様だけど…何でチラチラこっちを…?



「あの、僕の顔に何かついてますか?」


「い…いえ…」



何故か動揺しているみたいだし、王女って言ってるけど、人前に立つのは初めてなのかもしれないな…


王女様はコホンと咳払いをすると─



「それで"勇者様"は何方ですの? …3人召喚されるのには予想外でしたけれど」



─思いっきりテンプレすぎる爆弾を投下しました。



―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―



《side:澪羽》


リシェラという名前の第一王女様は、金髪を後ろで高い位置で結っていて、サイドの髪と同じく縦ロール。


釣り目がちな翠玉(エメラルド)の瞳を縁取る睫は髪と同じ色で長い。


顔は整っていてスタイルは多分良く、王女っていうのにも頷ける。


瞳と同じ翠色の足首すら見えないぐらいに長く装飾が金糸や宝石がこれでもかというぐらいたっぷりついたドレスを着ているので嫌でも目立つ。



「それで"勇者様"は何方ですの? …3人召喚されるのには予想外でしたけれど」



そんな王女様は意味不明な事を言ってきたので、



「「「この人です」」」



思わずルー兄を指差しちゃったんだよね。


得意戦法が暗殺だけど、見た目だけは何処かの貴族や王族って言われても頷けるからね。


ルー兄はリュウ兄を指差し、リュウ兄は私を指差して…トライアングルが形成されていた。



「「「……」」」


「ま…まあ、"計測の間"にいけば分かりますわ」



王女様は顔を引きつらせていたけれど、そう言って…私達は周りを囲まれ"計測の間"という場所に連れて行かれた。

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