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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第2章 サウスノール商業都市国
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第8話 石蛇③

《side:ポチ》


あの後ワイワイ騒いで…いつの間にか寝てしまいました…。


目を覚ますべく、タオルを持って裏の井戸に向かいます。


そこには先客がいました。



「お?今日も早いな。はよー」


「あっ、おはようごさいます」



朝早いので互いに小声です。


そういえば、リュウヤ様より先に起きた事がありません。


…駄目じゃないですか、僕…。


っと、いけないいけない…リュウヤ様に心配かけさせてしまいます。


僕は必要とあらば感情を消せるんですが、最近気が緩んでしまって、耳と尾に出てしまっている様なのです。


気持ちを切り替える為に、井戸水を汲み上げます。


何色にも染まっていない綺麗な水は、程よく冷たく、少しだけ重かった瞼がちゃんと開く様になりました。


こんな砂漠の中央にあるオアシスで綺麗な水が出るなんて…精霊でも住んでいるんでしょうか?



「ポチ、今から朝トレするけど一緒にやらないか?後で手合わせして貰いたいし…」


「良いですよ」



特に断る理由もないので了承します。


ウェスタリアにいた頃も度々朝に手合わせをして頂きました。


でも、朝トレには参加してなかったので、少しばかり興味がありまして…。


…はい?早起き苦手じゃないのか、ですか?


ヴァル様の早起きとリュウヤ様の早起きは時間が違うのですよ、時間が。


あれでは寝てると言えません…。


あんな生活をしていたら、確実に睡眠不足で倒れます。


…よく生きてますね…ヴァル様…。


そんな事を考えながら朝練を開始しました。



「んと…まずは懸垂500回から(・・)始めるか」



はい!


…ってからってどういう事ですか、からって!!?



―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―



《side:劉夜》


「…ポチ、本当に大丈夫なの?ゲッソリしてる様な気がするけど…」


「…大丈夫です」



ポチと朝トレしたんだが、かなりグロッキーな表情をしている。


いつものメニューだったんだが…きつかったのか?


ポチってこっちの世界でかなりの実力者なんだよな?


うーん…やり過ぎなのか?俺…。


っとまぁ、その事は置いといてだな、あの後朝飯食って、今はギルドに向かっている所だ。


ギルドに行く予定じゃなかったんだが、封印を預かっている神が史実上ジ=マムードの纏め役となっている商王の屋敷内らしい。


念話をすれば良いんじゃないか?と提案したんだが…ある人物以外の念話には一切受け答えてくれないらしく、返事すら返してくれない様だ。


酷いな、そいつ…。


しかも、その屋敷にはちゃんとした身分じゃないと通してもらえないらしいから、取り敢えずギルド行って手続きしようと言う事になった。


割引サービス受けれたり、色々通行不可能な所にいける様になるみたいだから、取っておいて損はないだろうし。



「此処ですよ」


「…わぉ、ものの見事にテンプレだね」



暫く道を歩いているとかなりデカイ建物があった。


何かの石で出来ていて、正面の入口の上にはでかでかと"ギルド"と書いてある。


…おいおい、テンプレ過ぎるだろ。


手抜きか?手抜きなのか?



『ボクは"考えるのがめんどくさかった"に一票』


『私は"説明に時間をかけると進まないから"だと思うわ』



言いたい放題だな。


まぁ、そんな事は置いといて、だ。


中に入ると受付カウンター、クエスト掲示板があり、集まれる様に椅子とかもある。



「すいません、登録したいのですが…」


「あっ、はい、新規登録の方ですね。説明した方が宜しいでしょうか?」



一応聞いておいた方が良いだろうから頷いておく。


受付のお姉さんは張り切った様子で嬉しそうにしゃべりだした。


長かったから纏めるぞ?


・ギルドカードに表示されるのはSTR(攻撃力)、DEF(防御力)、HIT(命中率)、AGI(回避率)、INT(魔法攻撃力)、MND(魔法防御力)の6つのステータス、ステータスの平均値、Lv、ギルドランク、固有スキル、属性、称号、登録番号、クラス等

・ステータスの平均値は共にF-、F、F+…SS+、SSSの25段階。

・ステータスの平均値とはHP、STR、DEF、HIT、AGIの平均値が前衛系、MP、INT、MND、HIT、AGIが後衛系として表示される。

・ギルドランクはF…SSSの9段階

・ギルドランクはクエストを、Lvは討伐系クエストや魔物を倒すと上がる。

・固有スキルはその人の持っている特技が反映されて表示される事が多い。

・属性は火、土、風、雷、水が基本で、特殊属性として光、闇、夜空、派生属性として氷、更には複数所持者や上級、稀に未確認属性もある為何になるか分からない。

・称号はその人のあだ名の様なもので、登録した場合に既に現れる人も、なしの人もいる。

・クラスはその人の固有スキルや戦闘スタイルから自動で選ばれる。途中で変更する事もある。

・発行したカードは死ぬまで有効。無くした場合1000G(ガルド)(=10万)払うと再発行して貰う事が可能。

・ギルド側には名前とギルドランク、登録番号のみが登録され、ステータス関連は表示されない。

・カードには名前、ギルドランク、登録番号の他にクラスが表示され、持ち主が魔力を込めれば表示したい部分を表示出来る。


…っと、長くなったが大体こんな感じだ。


事前にヴァルやポチから聞いていたが、流石に此処まで詳しく無かったしな…。


再発行に掛かる金額高いな…と思ったが、特殊な貴金属で出来ているらしい。


因みにギルドはクエストの仲介料として事前に手数料分を引いた金額を掲示板に載せているとか。


それがギルド側の利益か。



「では、順番にこの水晶に触れて下さい!」


無駄にハイテンションなお姉さん。


俺が1番近かったから、最初に触れた。


フワ…と光が出たかと思うと一枚の透明のカードが出現する。



「はい、リュウヤ様ですね、登録完了しました。このカードは身分証明も兼ねていますので、無くさない様にして下さい」



やべぇ…何かテンション上がってきた!


だが、皆で一斉に見ようという事になっているので、待つ。


父さんと母さん、ポチは前から持っているらしいし、焔と水簾は持っていても…という事で要らないらしい。


本人達は登録しても…ねぇ?という事だそうだ。


確かに、人間基準で計っちゃいけない気がするぞ…神だし。


って事は俺らも駄目じゃないか?


…気のせいだ。



「…よし、カード貰ったよ」



澪羽と璃音も登録完了らしい。


俺達は邪魔にならない様にテーブルが置かれているスペースに移動して円形に向き合う。


この際だから母さんと父さんとポチのも見せて貰う事にした。



「じゃあ…良いかい?」


「うん…」


「おう…」



誰かが喉を鳴らす音が聞こえた。


…これ、傍から見たら変な集団じゃないか…?


そう思いつつも伏せたカードに魔力を流して準備する。


そして…



「せーのっ」 シュッ!!



一斉にカードが表を向いた。

次回、ギルドカードの詳細+次話の2本(?)です。

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