表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第2章 サウスノール商業都市国
67/77

第8話 石蛇②

《side:澪羽》


馬車に揺られて5日間、道中何事も起きずに無事サウスノール商業都市国の中心部、"ジ=マムート"についた。


…え?初めてその名前を聞いたって?


リュウ兄、ルー兄…肝心な事を抜かして何してるの…?


もしかして、ウェスタリアの新首都も言って無いとか…?


ヴァルのミドルネームの"レイ"から取って…"レイナード"だよ。


本人はしきりに恥ずかしがっていたけどね~。


旧首都の方は…別に良いよね、もう潰れちゃったんだし。


うんと、話がずれちゃったので閑話休題(はなしをもどすよ)


町に着いた私達は、道中魔物にも遭遇しなかったのに、早速テンプレなイベントに遭遇。


ポチの顔が明らかに訳アリ顔なのを見て、何かしら知っていると判断したルー兄がポチに問いかけたんだけど、ポチは溜息を吐きながら「宿で」の一点張り。


諦めたルー兄は馬車から顔を少し出して宿を探し始めた。


私も気になるから反対側から辺りを見回す。


流石商業都市というだけあって、迷う程宿が彼方此方にある。


う~~ん、あり過ぎてどれが良いのか分からないよぉ…。



「澪羽ちゃん、この町は商業都市だから、ボッタクリな店も存在するから注意よ」



そう言われても、どうやって見分ければ良いの!?


正直"能力"を使えば早いんだろうけれど、ちょっと離れてるからダメみたい。



「…宿の店員、出来れば…宿主の、眼を、見てみr…うぇっぷ」



そう思いながら探してるとリュウ兄が顔面蒼白で口元を抑えながら助言してくれた。


…そういえば、リュウ兄って乗り物酔い酷かったんだったっけ。


でも、一日置きにルー兄の特性酔い止め飲んでた様な…?



『今朝渡したのは飴玉』



ちらりとルー兄を見ると口元がニヤりと弧を画いていた。


なるほど、嫌がらせなのね。


思わず黒い笑みを浮べそうになって、リュウ兄に気づかれない様に口元を手で隠しながら外を見る。


早速リュウ兄の助言を実践しようと相手の目を見た。


馬車の進む速度はゆっくりで十分相手の目を見れる。


ガラス越しに店内の人の目を見ていると、ある宿で澄んだ目をしている人がいた。


あの人なら信頼できそうかな?



「ポチ、あの宿は如何?」


「あそこですか?…そうですね。良さそうですし、そこにしてみましょう」



私が指差した宿を見てポチが頷く。


視界の端で皆が頷いていたので、どうやら良い宿を選べたみたい。


私達はその宿の前まで着くと、馬車から降りて、ポチが馬車と馬を預けて来るまでに暇だから店に入り、部屋があるか聞きに行く。


ドアを開けるとカランコロンと良い音色の鈴が鳴った。


建物は新しい訳ではないんだけど、ちゃんと掃除とかしてあって小奇麗になっている。


こういう庶民的なのって良いよね。



「あら?お客さんかしら」


「はい、今晩泊まりたいんですが、部屋空いてませんか?8人です」


「空いてるよ、最近他の店舗に客足向いてるからねぇ…。


 1泊、4人部屋は80G(ガルド)、6人部屋だと100G(ガルド)、それぞれ朝夕食事付きだよ」



どちらにする?と言われ、6人部屋を2つ取った。


4人部屋だとギリギリだろうから、ゆとりを持っておいた方が良いしね。


ヴァルから貰ったお金があるし、明日からギルドに行って冒険者(笑)になる予定だから問題ないよ。


ポチが戻ってきたので、早速渡された鍵を持って部屋に行く。


こっちの世界の宿の部屋ってどんなのなんだろう?


テンプレなのかな…?


と思いながらやや緊張気味に鍵を回す。


カチャリと乾いた音がした後、ドアノブを回すと…



「「「おおっ…」」」


「うん?おお、結構きれいな部屋だねぇ」


「そうッスね、夕日が映えて綺麗ッスねー」



丁度夕日が入り込んでいて、家具や壁をオレンジ色に染め上げてて、綺麗だった。


部屋もテンプレ…なんだけど、さっきの受付のおばさんが作ったのか白いレースが置かれてあって、ちょっと違う印章を受ける。


この宿にきて良かった、とまだ来て時間が経ってないけれどそう思った。



「んで、宿取れたから…ポチ、説明してね?」



みんなが黄昏た雰囲気に入ってる中、早速ルー兄がそれを壊す。


口角上げてニヤニヤしてるルー兄。


何か、ライオンが獲物を前に眼を光らせているみたいな表情…。



「は、はい…と言ってもそこまで重要な話じゃないですよ?」



皆その辺にてきとーに座って話を聞こうと静かになる。


私はベッドに腰を下ろした。


わぉ~~ふかふかー!



「さっき泥棒を働いていたのがいたでしょう?


 この町、泥棒が勝手に盗賊団って言うのを作り出しましてね…現在は2つあって、それが好き勝手やってるんですよ」



え、何それひどい…。



「で、何でそれを止めずに無視したんだ?焦ってたっぽかったが」



リュウ兄がクッションを腕に抱え、ベッドの上でごろごろしながらポチに顔を向ける。


あ、もう乗り物酔い治ったんだ。



「普通でしたらそうしますが…その2つに分かれている盗賊団の内、片方のリーダーが昔姫様に手出そうとしてきましてね…」


「あれ?そんな事あったかしら?」


「ありましたよ、四六時中追いかけてきやがったじゃないですか…。


 …と言う訳で、そのリーダーは危険です。こちらには姫様と澪羽ちゃん、焔様という高レベルな女性陣がいますので出来るだけ避けたかったんですよ」



ポチの口調が崩れてる…!


相当ムカついたんだね。



「「「「納得!」」」」



そして、何故男性人納得して頷いてるの!?


普通…助けるのが優先じゃないかな…。


物盗られて困ってるんだよ?



「2つの盗賊団は赤と緑に分かれているんですが、緑の"虎の尾"団は別にただの盗賊団なので無視でかまいません。


 もし、赤の"鷹の爪"団がいたら…姫様達と遭遇させない様にする事を最優先させましょう!」


「「「「了解!!」」」」



何かスイッチ入っちゃったのか一気に盛り上がる5人。


その中心人物なポチが…異様な宗教団体の開祖にしか見えない…。


というか、盗賊団の名前が変な所には突っ込まないのかな…?


"鷹の爪"って赤唐辛子だし何かを連想させるよね、ほら…秘密結社の。


というか、"虎の尾"って、花の名前じゃなかったっけ?


対抗してるのかな?名前で…。


異様な集団の会議の様子をバックにアレコレ考える私でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ