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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第7話 改革⑪

《side:劉夜》


突然璃音に召喚(笑)されて、成り行きで戦う事になった。


いや、別にソコは問題無い。


良いんだが…



「…何て安置なネーミングセンスなんだ…いや、僕だけじゃないね、兄さ(略」 ブツブツ…



璃音…お前、しゃがんで呪詛を吐くなよ。


操られている筈の王妃さん達まで引いてるぞ…。


まぁ、同感っちゃあ同感なんだが。


確か、その“長”が名前付けたんだろ?


…じゃあ、安置なのはしょうがないと思うぞ?



「とにかく、璃音戻って来いよ」


「……」 ブツブツ…


「あんまりウジウジいじけてると澪羽にk」


「な、何か言ったかな兄さん!?」



…よし、戻ってきたか。



「…兄さんこそ僕を何だと思っているのさ?」



…1話前の事なんて知らないな。



「ほれ、さっさと終らせて此処から出るぞ」


「…何かはぐらかされた気がするけど、それには賛同だね」



璃音は溜息を吐きながら立ち上がり、鋼鉄糸を手に巻きつけて構えた。


良いよなー璃音は…糸術使えてさー。


…じゃなくて、集中しないと。



『準備オッケーだよ、兄さん』


『了解…っと』



横から何かが来たので反射的に剣の塚でガードしてしまった(・・・・)


相手の武器が何か確認せずに。


げっ…



「…鞭かよ」



剣の塚に巻き付いたモノを視線で辿る。


王妃さんの手には光で構成された鞭が握り締められていた。


鞭ってウザイんだよな…戦闘が無駄に延びるし。


あんまり持久戦にすると、操られてるのを解除した時に、王妃さん達の身体が無理な動きをした反動がきてバキバキになるだろうから…短期にするつもりだったんだけどな。


まあ、俺にとっちゃあどうでも良いんだがな。


親しい奴と赤の他人が死にかけていたら親しい方を助けようとするだろ?


取り敢えず、死なない程度に気を配れば良いか。


俺個人としては怨みが有る訳じゃないが、今までやりたい放題やってきた報いって事で良いだろう。


後、心配する事があるとしたら…澪羽達の方だな。


俺の所には焔達が来たから誰かが向かってるだろうし、ポチとヴァルはかなりしっかり者だから大丈夫だとは思うが…心配は心配だ。


あ、そういえば二人共年上なんだっけ?


……ゲフンゲフンッ


まあ、その、2度目も…って可能性はあるだろ?



『璃音、此処と外の時間差分かるか?』


『外にとって、中は一瞬らしいよ』



ふーん、なら時間も気にする事無く存分にやれそうだな。


剣を後方に向かって振り、鞭を引き千切る。


そのまま剣を適当に構え…



「…【音速の剣(シルファリオン)】」




剣が光に包まれ、一対の細身の剣に変化した。


地面を跳躍すると、驚く程身体が軽い。


…視界の隅の璃音が、目からハイライトを消して何やら呪詛を呟いているが…気のせいだろ、多分。


そのまま地面を軽く蹴り、一秒とかからず王妃さんの所まで距離をつめる。


再び【封印の剣(ルーン・セイブ)】に戻し、切ろうと振り上げるが…



ガキィンッ!!



「おいおい…嘘だろ…」



金属同士がぶつかり合う様な硬質な音が響き渡る。


…王女さんの左腕で受け止められていた(・・・・・・・・・)


この剣は忠実に再現した剣の筈だ。


封印の剣(ルーン・セイブ)】は名前の通り、何かを封印する為の剣であって物質は切れない。


作った後に自分の手を刃先に触れたが、何も触れてないかの様に貫通した。


だから失敗作って事はない筈なんだがなぁ。


考えられるとしたら…



『猪が神改造に使用した神力の余波が働いたとか?』


『こら、俺の言いたかった事を…』


『良いじゃん、気にしちゃ駄目だよ。


 …そうそう、鋼鉄糸も魔力が原料だから効かないみたいなんだよね』



…マジか!?



『多分、神力>魔法・気・その他…なんじゃないかな?』


『おいおい…そうならどうすれば良いんだよ』


『ごめん、解らない!そんな事言われても数日間で全部把握するなんて無理無理!!』



璃音 の 精神年齢 が -10 ポイント 下がった!


そして… 璃音 は シルファリオン に 20 ポイント 近づいた!!



『………』



…じゃなくてだ、そうなると体術とか物理攻撃しか手段が無いのか?


それはそれで気を纏っちゃいけないらしいから難しいんだよな。


俺、父さん曰く、あっちにいた時無意識に使っていたらしいしなぁ…。


まぁ、気とかが効かないかどうかはあくまで推測だし…駄目元で色々試してみっか。



「かーめーはーめー…」



此処は敢えて前に一度しか使えてない龍玉の技をだな…



『ち、ちょっと兄さん!?効かないって言っても推測なんだよ?


 もし殺っちゃったら、ヴァルに謝らなくちゃいけなくなるんだよ!?


 隠蔽しようにも面倒くさいんだからね?』



ちぇっ…



「じゃあ…ビックバンかめh…」


『ちょ!? そういう問題じゃないって!』(汗)


『…じゃあ、どうすれば良いんだよ』


『僕は生きたままヴァルに引き渡ししたいんだって!


 この国にあまり関与してない僕達が制裁下しちゃ駄目。 あくまで補佐なんだからね?』



形だけだけど雇って貰ったんだから…と璃音は苦笑いした。


一瞬情けでも掛けたのかと思ったが、そうでも無いらしい。


いつもの微笑…に見えて、口の端が1mm上がっている。


ありゃー絶対悪巧みしてるな…。


取り敢えず合掌でもしとくか。


ご愁傷様~なむなむ~。



『兄さん、そんな事してる場合じゃないって。


 …ほら後ろ』



璃音の忠告の後に、鞭らしきモノが風を切る音が真近に聞こえた。


ぶっ!?


もっと早く言えよ!!


慌てて屈み込み、璃音に避難の眼差しを送るも…そっぽを向きやがった。



『(だって、兄さんの反応が面白くて、見てるとストレス発散になるんだよ)』


『…何か言ったか』


『ううん、何にもー』



…俺には何か聞こえたんだが…気のせいか?



ヒュンッ



「うぉ!?」



追撃が来そうだったので璃音を問い詰めるのは後にするとしてだな…とにかく二人をどうにかしないとな。


剣は駄目なんだろ?


折角作ったんだがなぁ…コレもデュランダルも使えないオチなのかよ。


…ん、じゃあ何でツァドキエルにはポチの剣が効いたんだ?


アイツも神じゃないが、神力持ってるんじゃなかったっけ?


…今は良いか。


剣を【音速の剣(シルファリオン)】にして、更に気を足に集め、地面を蹴って距離を縮める。



「……!!」



これでさっきよりはスピードが上がってる筈だ。


王妃さん達は一瞬目を見開くも、すぐに構えて鞭を嵐の様に降らせてくる。


俺は避け、避けきれないモノは鞭が創造魔法で作った闇属性もどきで分解して…


ん?


分解??


確か王妃さん達はあまり魔力が無かった筈なんだから、使ってるとしたら神改造で追加された神力か…?


何で魔法で作った闇もどきが効いてるんだ?


………。


何だか分らないが、分解できるのなら使わない手は無いな!!


封印の剣(ルーン・セイブ)】にした剣に闇もどきを纏わせ、漆黒の剣にする。


王妃さん達は俺が接近せずにいきなり立ち止まったせいか、うろたえている。


隙ありまくりなんだよ!!



「そおーいっ!!」



ブンッ!!!



剣の周囲に渦巻いていた闇色が、剣を振った瞬間斬撃に乗り、風を一直線に斬り裂く。


王妃さんは直ぐに気を取り直して何とか避けた様だが、ワンテンポ遅れて避けようとした王女さんは右肩にモロに受けたらしく、後方に向かってよろめいた。


封印の剣(ルーン・セイブ)】に乗せたのが良かったのか、闇属性の効果内に攻撃性が無いのか分らないが、苦しそうに肩を抑える王女さんに外傷は見られない。


魔力が無いから光る鞭を構成してたのは神力なんだよな?


って事は、王女さんの中の神力も分解できるって事なのか?


………。


俺は右手の剣と左手に創造魔法で作った闇もどきを見比べた。


……これって使えるんじゃね?

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