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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第7話 改革⑨

《side:劉夜》


「行きましょう、姉さん。 …くれぐれも俺に当てないで下さいよ?」


「何じゃ水簾、わらわの手はそこまで鈍ってないぞ?」



俺が不安に思ってる中、二人は行動を起こした。


水簾は駆け出して、焔は十二単の裾内を漁っている。



「りゃりゃっ!!【百烈拳】!!」



シュババババッ!!!



水簾はそのまま突っ込み、素手で敵を蹴散らし始めた。


拳から繰り出されるパンチよりも風圧が凄いから、当たるよりも先に人形は吹っ飛んでいく。


というか、水簾…お前、自分の顔を鏡で見た事があるのか?


和服を着た切れ長の中性的な顔のお兄さんが…変な声を発しながら、嬉しそうに笑顔で拳を振り回してるんだぞ?


シュールだ…。



「うーん、この日の為に作った特別製のがある筈なんじゃが…何処じゃったかの」



一方、焔は今だに裾の亜空間を漁り、何かを探している。


…さっきの会話で焔が何をしだすか大体想像がついたので、ポケットから鼓膜にに害のある音のみ防音機能が発動する耳栓をはめておく。


更にその上から手を宛ててしゃがんだ頃、それは起こった。



「フッフッフ…覚悟は良いか?」



こんだけやっても全然良くありませーん。


…そう言って逃げ出したくなる程のモノが焔の裾から出て来た。


2mを越えてそうな幼女が持つにはデカ過ぎる筒状の黒いモノ。



「“焔印の特製バズーカ★超電●砲ver.”じゃ」



ネタ武器じゃん。


…でも、馬鹿にならない程破壊力が凄そうな雰囲気を醸し出している。



『焔…城破壊するなよ?』


『判っておる。水簾がちゃんと結界張り巡らせてあるから安心だぞ?』


『そうッスよ劉夜さん。


 ただ、威力が凄まじいので、人にまで掛ける余裕が無いッス。


 なので、俺が首狩人形を止めてる隙に、一カ所に集めて今出せる全力で結界を張って下さい』



色々ツッコミ所多いけど…ま、良いや。


俺は言われた通りに気絶したり硬直している人を引っ張り、一カ所に集めた。


途中でフルプレートアーマの人を引っ張った事もあった。


何で着てるんだろうな?


暑くないのか?


…取り敢えず全員を集めると、自分も含めた回りに出来る限り強固な結界を張った。


その頃には焔のネタ武器は準備完了したらしく、怪しく光っていた。



「水簾…余波が行くかもしれぬから、伏せておくのじゃよ?」


「判りました」



そういうと水簾は耳栓をして、頭上を押さえた。


…頭上?



「逝くぞ、超電●砲(笑)!!」



そう宣言すると構えた。


光がバズーカの発射口辺りに急速に集中し始める。


何か金属の音がしたと思ったら視界が閃光に包まれた。



ズカアアァァァァン!!!!



次の瞬間、立っていられない程強力な衝撃波と、咆哮を耳元で聴いた様な耳の痛さを感じた。


…結界張ってこれかよ。


何つー物騒なモノを作ったんだ…。


壊れかけた結界を解き、光によってぼやけた視界が戻るまで待った。


辺りを見回すと、首狩人形は一体残らず消滅していた。


発射口を向けられた方向の壁は…崩れ落ちていて、隣部屋の壁に皹が入っていた。



「…壁、壊してるじゃん」


「“城”は破壊してないぞ」


「“城”の壁だ」


「…むぅ」



焔は口をへの字にしてそっぽを向いた。


…自覚は有るらしい。



「…それより姉さん…また俺を狙ったッスよね?」


「何の事じゃ?」



いつもより、やや声が低い水簾。


振り返ると手の甲が黒く焦げかけていた。


なるほど、髪の毛を守る為に手で…。


でも、手が焦げるのと…どっちがマシなんだ?


…人それぞれか。



「もうちょっとで直撃受ける所でしたよ? 当たったらどうするんッスか!」


「わらわだって別に狙った訳じゃないのじゃ! たまたま水簾がそこにいただけじゃ!!」


「何言ってるんッスか!? あれは意図的に向けたとしか思えないッスけど!」



ってか、こんな時に喧嘩するなよな…。



「二人共、そこまでに…」


「劉夜さんは黙ってて下さい」

「劉夜は下がっておれ!」


「…ハイ」(汗)



何でそこは息ピッタリなんだ?


喧嘩がヒートアップし始め、乱闘になってきた。


巻き込まれない様に後ろに下がろうとして…下げた片足に浮遊感を感じた。



「うおぁ!?」



慌てて手でバランスを取ろうとするも、失敗して体勢を崩してしまった。


俺はパニクる頭で何が起きているのか把握したくて後ろを見ると…。


…ブラックホールみたいなのが地面にあった。


それは俺を飲み込もうと巨大化し、倒れかけている俺を包み込んだ。


…ちょっと待て!?



「何で毎回こうなるんだぁぁあ!?」



俺は悲痛な叫び声を上げながら闇の中に落ちた。


…というか、焔と水簾…気づけよ!!

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