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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第7話 改革⑤

※病気はてけとーに考えたので実際にはありません。

《side:澪羽》


「所で、お話とは?」



不機嫌さを隠しながら問い掛ける。


対する彼はテラスにもたれ、満面の笑み。


私は殆ど拒否権の無い誘いに承諾して、日当たりの良いバルコニーに案内されていた。


ポチは「来るな」と彼…王子様に口外に言われていたんだけど、姿消しと気配消しをしてちゃっかり隣に立っている。


魔法って、かけている人と同等か格上クラスだと見破れるみたいで、姿が半透明でみえているの。


更にヴァルまで同じく隣に…え?



『ヴァル…こっちにいて良いの?』


『ああ。確か【影分身】だったか?それに任せてあるから大丈夫だ』



前に呟いた事を覚えているなんて流石だね!!


…で、逃げてきたんじゃない?


リュウ兄のカオス空間から。



『…兄上は、剣術や魔法は壊滅的だが、外見と巧みな話術を持っている。


 …惑わされない様に気をつけた方が良い』


『うん分かったよ。


 そういえば、こっちって中世な世界観だけど、あんな引く様な古臭い言葉が主流なの…?』


『そんな訳無いだろう。あんな言葉を使うのは兄上ぐらいだ』


『そうです、ありえませんよ!初めて聞いたぐらいです』


『『…思い出したら鳥肌が』』



ヴァル…母違いと言っても一応血の繋がっているお兄ちゃんだよ?


ポチは…別にいっか。


…何かどんどん二人のキャラ崩壊が進んでいる気がするんだけど…。


まさか、後天性感染亜種型桜城家特殊性格改変症候群がうつったとか…?


…長期間一緒にいればいる程感染深度が高くなるから…ありえる。


これ以上進行すると…きっととんでもない事になる!!


とにかく、キャラ崩壊が進む前に何とかし――



「こういうのってまっすぐに言えば良いのかな?」


「………何の事でしょうか」



…現実逃避ぐらいさせて下さい。


それに意味分からないから…。



「…そうだね、早めに言っておかないと狙っている人が多そうだしね」



彼はゴホンと咳をすると真剣な表情になり、私の前に跪いた。


…で、私の手を取り―――。



「俺の…妃になってもらえないだろうか」


「………え」


『『ブフッ――――――――!?』』



…手の甲に軽く触れるキスをしてきたの…!!


…えっ!?


ちょっと待って!?


何この展開…。


言ってくる内容は想像出来たけど…。


手にキスされちゃったよ…。


その光景を見て、何故かヴァルとポチは吹いたけど、どうやったのか念話でだったので彼にはばれていない。


きっとギャグ補正辺りでも働いたんだと思う。


…あれ?


もしかして、ギャグ補正も感染症??


ある意味パワーアップできるみたいな??


…嬉しいのか嬉しくないのか良く分からないパワーアップの仕方かも…。


というか、今日って私達兄妹の厄日なのかな…。


…もしくは、告白大会?


だって、今日に限って告白されるのは可笑しいと思うんだよね…。


※周りからの視線やその他の行動を兄達が協力して高圧的に牽制しているだけです。

by何処かに住んでいる宇宙意志(笑)


……あれ?


…何か聞こえた気がしたけど…?


気のせい?


ま、いっか。


って、話がズレた…閑話休題(まいかいごめんね?)


…この時、絶賛パニック中の私は頭の中がごちゃごちゃになっちゃってて、ヴァル達の呟きが聞こえなかったの。



「君を初めて見た時から好きになってしまったんだ。 何て可憐な女性だとね」



暫く硬直していたけれどはっと我に返った。


まだ告白タイムは続いているみたい。


…さっきまで12じゃないかって疑っていたのに。



「食事を改善してくれたのも君のお陰なんだろう? ありがとう、心から礼を言うよ」



…それ、リュウ兄だよ?



「可愛らしくて、頭も良くて、魔力も申し分ない…将来国王になる俺の妃にはピッタリだと思ってね」


『『……………』』



…左右に守る様に立っているヴァル達の殺気がドンドン酷くなってる…。


ポチに至っては無表情で中国刀の片方の柄に手をかけているんだよ…?


直接受けている王子様は私に何食わぬ顔で微笑みを送ってきている。


…ある意味凄いよね…。



「だから…俺と「ごめんなさい」こn…え?」



殺気に耐え切れ無くなって、途中で遮っちゃった。


彼は断らないだろうと自信満々にだった様で、笑みを向けたまま硬直した。



「私は、体質的な問題があってか、魔力があっても行使出来ません」


「―――え?」



王族って引きこもり体質なのか、部屋から出てきた所をあんまり見ていないの。


ヴァル曰く、書類もあまり見ていないらしく…ハッタリが上手く使えた。



「武術関連も、身体が生れつき弱いので…」


「…い、いや…それぐらいなら勇者としては無理だけど…」


「いいえ…それだけではありません…」



口ごもっている彼の言葉を途中で遮り、悲しそうに首を振る(勿論演技)。


そしてはかなさそうな笑み(またまた演技)を浮かべて…レーファスキル発動っ!



「私…貴方みたいな人が1番大嫌いなんです。さっさと私の前から消えて下さい」


「………………」ぽかーん


『良く言った、ミウ!』


『…でも、複雑です』


『『…………………』』



何かヴァル達が一気に落ち込んじゃったけど、どうしたんだろう?


……………。


…と、とにかく、王子様は今まで面と向かって振られた事が無いと思うから精神に大ダメージじゃないかな?



「…………」



プライド折られて相当ショックだったのかまだ動かない。


…今の間に逃げておこうかな…っ!?


戻ろうとした瞬間、彼の頭がガクンと下がり、心が“無くなった(・・・・・)”見たいな感じがしたの。


…残ったのは読み取れないぐらい真っ黒闇。


頭の中で前回よりも激しく警報鈴が鳴り響く。


でもあまりの威圧感に…金縛りにあったかの様に動けない。


…ミカエルよりも強いって事は…覚悟していたけれど…。



『…こ、これは…』


『如何考えても勝機が見つかりませんね…』


『…やっぱり?』



私もそう思う…。


目の前の王子様はゆっくりと顔を上げた。


目が…虚に光っている所から…正気が無いのは一目瞭然。


その目は…私を凝視していた。


()の口がゆっくりと開く。



《…やはり使えませんね、こいつは。


 まだ、覚醒していない人間の娘一人すら不意をついて殺せないなど…》



口から声を発している筈なのに遠くから聞こえてきた。


…別人の声が。


予想通りの声ではあるんだけど…



「…もうちょっと後だと思っていたのに」


《生憎、何処かの馬鹿の所為で予定が狂ってしまいまして》



()は虚な目のまま肩を竦めた。


…うわ、不気味さ倍増。



《では…長様の計画の為に死んでください》



()は私に手を翳してきた。


本当に殺すつもりなんだろうな。


…でもね、私に集中し過ぎたのは失敗だと思うの。



「そんな事させないからねっ!!!!」



突然、高い声が聞こえたと思ったら、巨大な黒い物体が視界を遮った。

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