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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第6話 過去⑫

《side:聖》


自分の息子に精神ガリガリ削られた挙げ句、実はキレて無くてただ弄ってただけって言われて「縮んだ寿命を返せ!!」って言いたくなったボクだよ。


言ったら殺されそうだから言わないけど。


…えっ? 息子相手にチキン過ぎないかって?


…良いよ、好きなだけ言いなよ。


もしそんな事言ったら生存率0.00000001%とボクの感が警報を鳴らしてるから無理!


ボクはどうせヘタレてるよ!


…いや、それは置いといて…璃音の勘が鋭過ぎて怖い。


本人曰く、黒髪黒眼、神、矢鱈詳しい、強い=上位神?とかから推測したらしい。


これで“神の知識”を得たら…末恐ろしい…。


というか、これってもしかして…シルファリオン様抜かす…のかな!?


天界最強級身体能力・頭脳+チートな思考回路って…怖いな……。


更に、リカのギャグ補正、幸運持ちとか………。



「…お父さん、如何したの? 震えてるよ?」


「あ、あぁ。ただの武者震いだから、気にしないで良い」



…澪羽に生暖かい眼差しを送られてしまった。


…今ならさっきの璃音の気持ちが判るかもしれない。



「はい、始めるから注目ー」



璃音が一人一人の顔を見回した。


璃音は全員が向いたのを確認すると…亜空間からホワイトボードを取り出した。


…何時の間に作った?あれ。


…ああ、気にしたら負けだったね、色々と。


璃音は更に亜空間からファイルを取り出し、資料をマグネットで貼り付ける。


国王、王妃、王子、王女の写真の上に赤字でWANTEDって…。


アレースの横には“突進注意! 危険! 餌を与えるな!!”の文字が…。


もう、呆れてものも言えない…。



「何処かの刑事ドラマか…これ」



…いや、劉夜、突っ込み所そこじゃないと思うんだけどな!?



「さて、“ウェスタリア王国建て直し計画会議第一回目”をします。 まずヴァル、説明よろしくね」


「ああ、先程、水晶が届き測定した様だ。 都合が良いから3人とも光属性で表示させておいた。


 それにあたり、2日後に披露の席が設けられる。作戦決行はこの日にしようかと考えている。


 此方側の準備は何年も前から事前にしているからいつでも万全だ。


 身代わりの事なのだが、入れ替わっている時間が経過する程ばれる確立が飛躍的に上がる。


 そこで今日、身代わりに外出させその時に入れ替わろうと思う。


 まだ入れ替わっている事も出来るが、早いに越した事は無い。


 私は気づかれない自信はあるが、アレースという神に感付かれる可能性もゼロではない」


「…そうだね。具体的にどういう日程?」


「午前は立食パーティを行い、国王に挨拶する。午後は馬車に乗りパレード…としか言いようがないな。


 …あの(・・)父上の事だ、時間配分は特に決めていないだろう」



…それ、余りにも大まか過ぎない?


…よくこんな国で耐えたね、リカ…。


璃音はやや渋面気味の顔で「…何この国王」とか呟きながらマーカーペンでホワイトボードに書き込む。



「…狙うなら城内の午前中かな。


 僕達は普通に出席できるから全く問題ないけれど、サラさん達は如何する?」


「それなら問題ない。この地下から城に行ける様移転魔方陣を仕掛けてある」


「ふーん、じゃあ僕らは普通に出席して、普通に敵を蹴散らして、普通に捕らえれば良いんだね?」


「…いや、璃音…“普通”って如何いう事だよ…」


「うん?そのままの意味。他意は無いよ?」


「それは大まか過ぎないか?」


「まあ、相手の“人間”が厄介だった場合色々と策を考えておいた方が良いだろうけれど、相手が相手だからね~」



うん?アレースの事か?でも何か他にも指している者がある様な…。



「あ、父さん達は知らないか。


 実はね…国の予算を使って、誰かが“首狩人形”と呪符と魔晶石を買い漁っているらしいんだよね?」


「あの時は判らなかったが、父上や他の者も購入に絡んでいる可能性が高くなってきた」


「今回注意すべきなのは“首狩人形”と突進馬鹿と言われる様な神…まぁ、映像見る限りだと、“あやつる”類の事も出来るみたいだけど。


更に神とか天使がくるかもしれない。でも、そんな相手に小細工効くと思う?」



成る程、確かに、意味ないな。


…それにしても“首狩人形”かー懐かしいなぁ…。


昔何回も命狙われたんだよねー主にボクの事が気に入らないらしい大臣とか大臣とか大臣とか。


可愛い見掛けの人形だから…あれは精神的にきつかった…。


一度命令をすると、壊れるまで実行しようとするから壊す時泣きながら剣を振るったよ。



「と…父さんっ!?何で泣いてるんだよ!?」


「あれ?可笑しいなぁ…眼から汗が…」



何処かで、「璃音の意地っぱりは、もしかして…」とか聞こえてきたけど絶対に気のせい!


事情を知ってるリカは哀れみの視線を送ってきたけど。



「…え~、“首狩人形”の強さはランクで言うとヴァル曰くAらしいよ」


「…えっ!?その強さで100万って安くね!?」



確かに、その辺の傭兵を雇うより断然安い。


しかも、冒険者や傭兵は瞬殺されるだろうしね。


だって、食事もなしで壊れるまで任務遂行だからね。


動力源は空気中の魔力だからエネルギー源がクリーンだし。


…あっちに魔力があふれていたら低コストで永久労働してくれる訳だから世界的大発明になるんだけど。


後から命令変更出来ないのが難点だけど、“家の家事・手伝い”と命令すれば半永久的に手伝ってくれるよ?


まあ、背中に括り付けてある大鎌が怖いけどね!?



「…ヴァル」


「なんだ?」


「国王を拘束するのは良いとして…その後は?」


「…兄上の王位継承権剥奪後、父上、母上、姉上の4人は一生獄中にしようとは思っているが…。


 今まで散々取り返しの無い事をしてきた訳だから処刑なんて一瞬で終わらせたりなどしない。


 父上はともかく、母上や兄上、姉上は無自覚だったとはいえ、とても許される事をした訳ではないのだから。


 国政の方は王制とリオンの提案した議会制の良い点を取り入れた方向に改革しようと思う」



…うん、璃音が事前に提案したらしい“議会制”をそのまま鵜呑みにしない辺りは感心するね。


ここで鵜呑みにしていたら…指導者は務まらないだろうし。



「…大体判ったよ。…その改革がうまく行ったとして、確かに喜ぶ人はいると思う。


 でも、それと同じく恨む人も出てくるって事だよ?


 いや…上手くいかなくて不満を抱く人の方が多いかもしれない。


 この改革によって国が変わるという事は人の人生を大きく変える事になるのだから。


 …その総てを背負う覚悟はある?」



璃音が無表情になり、ヴァルを見据える。


ヴァルは、息を呑んだが…璃音と眼を合わせた。



「…端から上手く行くとは思っていない。初めての試みであるのだから。


 怨まれる事も暗殺されそうになる事もあるだろうが、承知の上の覚悟だ。


 しかし、失敗をするつもりも無い。 私は私の力量の範囲で努力するつもりだ。


 だから、ほんの少しの間だけでも良い…私を支えてほしい!!」



最初の方は静かに語っていたのに、後半は立ち上がり、熱弁し出した。


心なしか顔が赤い…照れてるのかな?


うん、若いって良いね!


…いや、ボクは精神年齢20っ、20だからね!?


…ホントダヨ?


 

「支えてほしいって…今更だし、そもそもそういう約束だったからね~」



璃音はそのままじっとヴァルの目を見ていたが、ふぅと溜息を吐くとふっと微笑んだ。


…で何故、扉を凝視しているんだ、璃音?


そのままゆっくりと近づくと勢い良く扉を開けた。


そこには…



「ううっ…儂の…儂のヴァルハート様が人に頼ると言い出すとは…!出来れば儂に1番先に言ってほしかったのう…」


「ほれ、元財務大臣、何泣いとるんじゃ。年取って涙脆くなりおったか…元からじゃったな」


「そもそも、ヴァルハート様はお主のじゃないぞい?儂のじゃよ」


「元外務大臣殿!わ、儂は別に泣いとらんわい!


 それにドサクサ紛れに何ゆうとるんじゃ元内政大臣殿!!!」 



大量(?)の老人がいた。


話を聞くに元何たら大臣らしい人々。


1人はハンカチで目頭を押さえ、それを隣の人が呆れた視線を送り、更に隣の人がお茶を飲んでるという…。


その3人以外は後ろで空気になり果てているという…。


…あれ、偉い人なんだよね?大臣って…。



「何あのカオス」(ボソッ)


「しかも気付いてない」(ボソボソッ)



…そう、璃音が結構勢い良く扉を開けたというのに気が付いてない。



「で、皆さんは如何したのでしょうか?」


「「「ひょっ!?」」」」



璃音が笑顔で近づいて行き…



「スパイがいる可能性を考えて、僕達のみで話をしていたのに…そんなにO★HA★NA★SHIしたいです?」


「な、何か、じ…字が違うぞいっ!?」


「う、後ろにルーグルドラゴンの影が…!?」



…途端に騒がしくなった室内で、ヴァルが頭を抱えていた事だけが強く印象に残った…。



…って、あれ?


結局ボクは何すれば良いんだ?

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