第6話 過去⑥
《side:ポチ》
本当だったらリオン様が次でしたが、あんな状態で解説出来る訳が無いので…宇宙意志の所為で何故か僕になりました。
って、何で僕っ!?
状況全く解らないんだけどっ!?
作者の鬼畜っ!!
こほん…愚痴言っていては話が進まないのでこの辺迄にします…。
『…来ないのかい? では、此方から行かせて貰う、よっと』
リオン様(仮)が攻撃を仕掛けようとした瞬間、電撃がほとばしり、彼に襲い掛かりました。
『危ないじゃないか…母親に“人の話を聞きなさい”って教わら無かったのかい?』
それをさらりとかわしました。
「危ない」って言ってますが、かなり余裕そうです。
実際冗談言いながら笑ってますし。
リオン様(仮)は、先程と同じ様な光を身体の周りに集め、大量の短剣にして…
『さぁ…行け』
手を前にかざし、それを合図にと、短剣は目にも止まらぬスピードで飛び、下級天使達は断絶魔を叫ぶ間もなく、事切れました。
一瞬あんな短剣で即死…?とか思いましたが、地面に倒れ込んでいる天使を見るとどれも心臓に突き刺さっているのが解ります。
あれだけ多くの物を操るのは至難の技なのですが…流石ですね。
不意に、リオン様(仮)の背後から斬撃が襲い掛かります。
しかし避けようともしません。
気付いていないのか…!?
剣が当たりそうになった瞬間…
キイィィン………シュッパッ
『兄さん遅いよ』
『すまん』
リュウヤ様(仮)が赤黒い大鎌で防ぎ、剣を弾き飛ばしました。
成る程、気付いてなかったのではなく、リュウヤ様(仮)が来ると解っていて態と防ごうとしなかった訳ですか。
弾いた剣は回転しながら近くに居た別の天使に直撃しました。
当たった所が…喉って…。
「うっわ…あんな芸当俺には無理、絶対無理」
リュウヤ様の顔が真っ青です。
どれだけ器用なんですかリュウヤ様(仮)!?
リュウヤ様(仮)はそのまま鎌を振り上げ…
『月牙…天衝』
鎌から鎌と同色の黒い斬撃波(?)の様なものを放ちました。
「ネタに走ったわね」
「…さっきルー兄が呟いてたんだけど、この映像は少なくとも千年前のらしいよ?」
「…平安時代以上前って有るのか…? ジャンプ…」
「天界は過去、現在、未来を関係無く見れる所じゃから有り得るぞ?」
「成る程な」
…良く解らないですが、驚く事だった様です。
何か僕とヴァル様だけ疎外感を感じます…哀しい…。
今度は僕も行きたいですね、あちらに…。
って話が反れました…閑話休題。
2人は突っ込みながら次々に敵の数を減らしていきます。
『あ、こっちの方が面白い』
『…………』
リオン様(仮)は微笑みを浮かべながら途中から包丁飛ばして心臓刺してますし、リュウヤ様(仮)は無表情+無言で大鎌を死神の如く振り回し首を刈っています…。
話の流れからすると彼等は天界のトップ2らしいですが…これ、神と言うよりも魔神ですよね!?
恐すぎですから!!
『イオグランテ~』
突如気が抜ける様な声が聞こえたと思ったら、ミウ様(仮)が大規模爆発を…
「何だコレ…某オレンジ髪の技にFFの緑色のランタン包丁キャラ…というか、金ぴか亀にDQの呪文って」
「…気のせいだよ」
………ま、いいや。
とにかく、それから3人が暴れて(?)かなりの天使や神が倒れました。
今立っているのは実力者って事ですね。
でもかなり人数が少ないです。
数え切れないほど居たのにアレース入れて20人切ってますし…。
というか、変なんですよね…
『………何がおかしい?』
リュウヤ様(仮)が怪訝そうな表情をしました。
彼も気が付いた様です。
…何故か敵が笑っている事に。
それまで視線だけ動かし、微動だにしなかった視点が動きました。
斜め後ろを振り返ります。
髪の毛を高い位置で結んでいる全身灰色の長身男が何かの水晶を持って手を掲げだしたんです。
3人は困惑と緊張が入り混じった様な表情をしました。
水晶は光だし、倒れている天使や神を…一瞬で吸い込みました。
『…お兄様、アレ何ですか?』
『シルファ、何か判るか?』
『ごめん、全然わかんない!』
『…そこまできっぱり言わなくても良いだろう…?』
…顔は似てても別人だと思っていましたが、そうでも無かった様です。
リュウヤ様(仮)は隣のリオン様(仮)に呆れた視線を送っています。
『とにかく…恐ろしい物という事は間違いないね』
『それは見れば判るだろう?』
『金色の光なのにあんなに禍々しいの始めてです…』
確かに気を抜くと魂が吸い込まれそうになる光です…。
灰色の彼はそれを…胸に捩り込みました!
『『『………!?』』』
3人に余裕は無くなり焦りの表情になります…。
『ふはははははっ! これ程愉快な事は無いッ!!』
灰色の彼はさも愉快そうに笑い出しました。
『ククッ…貴様等が即死で殺してくれた御蔭で多くの神力が我のモノになったのだよ』
『そういう…事かっ…!』
リュウヤ様(仮)が苦虫を噛んだ様な顔をしました。
『…“魔王降臨”、か…』
『いや“天界、覇王に征服される”だよ、兄さん』
『お兄様方…現実逃避しないで下さい…』
…口調は違えど似てますね、やっぱり。
先程ので一気に素が…
『『『………』』』
『…では…本当の死闘を始めようか』
3人が話しを切り上げ、灰色の人を睨みつけるとニヤリと笑いました…。