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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第5話 誘拐⑩



《side:ポチ》


な…何で姫様がここに…!?



来れなかった(・・・・・・)筈じゃ…」


「…あー、それがね?あっちの世界にいたら突然【ゲート】が出現したんだよね~」



のほほーんとしながら姫様は仰いました。


…何故、出現したのか良く分からないけれど、ともかく此方にこれたらしいとの事。


僕としてはもう逢えないと思っていたから…すごく嬉しい…!


…って待て…さっき、とんでもない単語を聞いた気がする…?



「…もしかして、リュウヤ達は…」


「そうよ~、私の子供達」



ふーん、なるほどねー…って、ええええええっ!?


始めて見た時、異世界には姫様と同じ眼の色の人がいるのかなとか思ってたんですが…。


隣のヴァルハート様…長いからヴァル様で良いですね、めんどくさいので。


えー、ヴァル様もあいた口が塞がらない様で硬直しています。



「…では、リュウヤ様、リオン様、ミウ様と呼んだ方がが宜しいのでしょうか?」



と言って、2人の方を向くとー。



「えー嫌だなソレ」


「僕も。多分澪羽も嫌がるし」



無茶苦茶嫌そうな顔をされました。


じゃあ、心の中だけは呼ばせてもらいましょう…なんたってリィア様は僕の…



「…私はヴァルハート・レイ・ウェスタリア、貴方の名前は…」



…あ、やっとヴァル様が戻ってきた様です。



「ボクは桜城 聖だよ」



ヒジリ様はニコニコと言ってきましたが、他の人に気づかれない様にヴァル様と僕に向けて眼を薄ら開けて…



『オレの娘に手を出すな…特にアル、貴様はな』



念話で底冷えする様な威圧をしてきました。


しかも僕は名指しですか…貴方には取られてばかりなんですよ…?何もかも…。


というか…ミウ様…


リュウヤ様にリオン様、止めにラスボスにヒジリ様ってどれだけ障害物があるのですか!?


流石に僕でも諦めかねないですよ、これは…。


如何しよう…初恋もバッサリ切られて2回目の一目惚れもバッサリと…


いや、ソレは困りますからね!?


男なら何としても超えなくては…!


…例え、死亡率が100%だとしても!


…いや、それ以上でしょうけど。



「まあ、後で幾らでも話せるんッスから、今は澪羽ちゃんを助けにい……っ!?」



僕とヴァル様が(多分)それぞれ心の中で決意をしている時、スイレン様が言いかけました。


ある方向…丁度ホムラ様が戦っている方向を震駭の表情で凝視しています。



「おい、水簾。 どうし…」



リュウヤ様が声を掛けようとしたのを遮り、瞬間移動でもしたんじゃないかってぐらいの速さで走り出しました。


何かがあった様です。


姫様もヒジリ様も顔色を変えてスイレン様の後に続きました。


僕たちも後に続き、走りました。


5分ほど全力疾走をすると、そこには…



「姉さんっっ!!!!」



意識を失っているのか、眼を瞑ったままのホムラ様と抱きついているスイレン様、それを呆然と見ているミカエルがいました。


最初は冗談で抱きついていると思ったけれど、スイレン様は真剣な表情で。


ホムラ様からゆらゆらと立ち上っていた白いオーラみたいなもの(?)は徐々に薄れていきました。


我に返ったミカエルがチャンスとばかりに2人に攻撃を仕掛けようとしたので慌てて庇おうとしたのですが…



「ちぇりおー!!」



バコーーーーーーン!!!



「ぐぇっ!?」



姫様がふざけた掛け声と共にフライパンでミカエルの頭を殴りました。


すさまじい音がしてミカエルは気絶しました…何と言うか敵だけど同情します…。


すぐ様、ヒジリ様が能力を封印するという鎖で縛り上げました。


スイレン様に聞いた話によると、ホムラ様は如何やらもうちょっとで数百年再起不能になる技を使う所だったみたいで、それだけミカエルに苦戦していた様です。


普段だったら普通に勝てる様なのですが、原因はミカエルが持っていたショートソード程の武器が原因らしく、十二単が赤だった為判り難かったのですが、血に染まっていました…。


…どんな危険なんですかそのショートソード。


見てみると…何か凄まじいオーラを放っているんですけど!?


そしてヒジリ様、怖いですから僕に態とと剣先を向けないで下さい…心臓に悪いです…。


スイレン様が意識の無いホムラ様を背中と膝裏に腕を回して、相手を引き寄せながら抱き上げる…所謂お姫様抱っこをして立ち上がりました。


彼はそれを見て、剣を亜空間にしまうと屋敷に入ろうと言いました。


僕はそれに異論は無い為、頷きます。


姫様がミカエルを引きずりながら玄関を開けると、内装は古風ではありましたが小奇麗でした。


この距離だったら封印されていてもあれだけ膨大だとミウ様の魔力を探ることはそこまで難しくないので、案の定、直ぐに見つかったのですが…



「不安定…?」



そう、強くなったり弱くなったり…不安定でした。


何かあったのかと思い、急いで向かいます。



「澪羽っ!!!」



ヒジリ様がミウ様のいると思われる部屋の扉を蹴り破りました。


そこには…



「お兄ちゃん…お父さん…お母さん…みんな…っ」



必死に涙を堪えているミウ様がいました…。



「父ちゃんが助けに来たぞっ! あのバ海藻に何かされたのかっ!?」


「大丈夫か…? ほら、タオル…」


「澪羽…僕達がいるからもう安心して?」



直ぐにリュウヤ様とリオン様とヒジリ様が駆け寄っていきました。


僕もちょっとしてから駆け寄りました。


僕もミウ様の事が心配だったのですが、彼らの方が比較できないぐらい心配していたでしょうから。



―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―



「…さて、この海藻君如何する?」



姫様が鎖を引っ張り、ミカエルを持ち上げます。


ミカエルの方が身長が高い為、釣り下がっているって言っても膝立ち状態ですが。



「「「「「「死刑確定」」」」」」



全員の声が揃いました。


当たり前ですよね、ミウ様を泣かせて、ホムラ様を殺しかけているんですから。


ミウ様の為に誰か1人残ろうって話になって、姫様が残るみたいです。



「お母さんっ…私ね、別にジェイルさんには…何もされてないの…焔が…っ」



最後に部屋を出る時にそんな事をミウ様が言っていましたが、皆さん聞こえなかったフリをしました。


ホムラ様には悪いですけど、此処にいるスイレン様以外は8割方ミウ様を誘拐した事に切れてるんです。



…朝になるまで悲痛な声が響き渡り、後にウェスタリアの七不思議になったとかならなかったとか。

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