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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第5話 誘拐⑧

《side:焔》


わらわは今猛烈にキレておる。


その原因はあちらの“チビ”なのじゃが…まあ、“海藻”で良しとしよう。



「誰が“海藻”だぁ? …ロリババァ」



こ…こやつ…先程と完全に口調と表情が変わっておる…。


というか…さっきからロリババァロリババァとは…好きでこの姿になった訳ではないわ!!



「元に戻っても十分見た目的にロリなんだよっ!!服着たら完璧なんだよっ!!寧ろ着ろ、そして俺の傀儡コレクションに入れっ!!」


「いや、言ってる意味が分からぬ!!」



こやつ…本性を現しおったか!


隠れドsロリコンめ!!



「黙っていれば可愛いんだよっ!!黙って縛られろ!!【捕縛の鎖】!!!」


「余計なお世話じゃ!というか何処にそんな奴がおるのじゃー!!【花鳥風月 月之章:月鏡】!!」



糸状の捕縛の魔法と背後から下級天使からの攻撃魔法を銀色の鏡を作り反射させる。


それぞれ、使用者へ跳ね返るのじゃ…うむ、便利じゃな。


正直、FFのリフレクが元ネタなのじゃが、自身にかける魔法は跳ね返しはせん。


下級天使達はそれでバタバタと倒れておる…鍛え方がやわいのぅ。


ミカエルはやはりというか…上級天使なだけあり、瞬時にバリアを張ってぶつけて相殺した。



「ふぅ…危ない危ない…。 俺、縛れる趣味じゃないのに縛れる所だったよ~」


「そんな言い方じゃとわらわが縛られるのが好きな変態みたいではないか!!」


「えっ?」


「何じゃ、その「違うの?」でも言いたげな顔はっ!!」



…失礼な…!



「違うのかぁ…う~ん、見た目幼女の焔ちゃんやツァドちゃんも良いけれど俺のコレクションにするには(強すぎて)手が届かないし…澪羽ちゃんが一番妥当かなぁ~…?」


「な…っ!?」



何じゃと!?


ニヤリと笑って舌なめずりをするミカエルを見て寒気が走った。


聖の御子だから、何かあったら殺されると言うだけではなく、短い期間ではあったが、良くしてもらったり一緒にいた訳で。


今でも捕まっているというのにこれ以上…!



「そんな事はさせん!! 【花鳥風月 風之章:重風】!」



鉄扇を縦に振り、風を送る。


名の通り、重力を乗せる技じゃ。



「っ!?」



約10万倍の重力を上乗せした。


これで中々動けないであろう。



「これ…は…きつい…ねぇ…」



そう言うとミカエルは背中から羽を生やす。


天使は羽を生やす度に力が増加するため…注意が必要じゃ。



「っ…ふぅ…どうにか…って、こんな事で5割力出しちゃったじゃんかぁ…」



羽が6枚になった所で耐えられる様になったらしいの。



「ま、良いや。今度はこっちから行かさせてもらうからねぇ~」



左手を横に伸ばすと、光が終結し、一振りの短剣が出現しおった。


いや、短剣にしては長い…ショートソードほどじゃな。


「この短剣は特別製でねぇ? …その十二単耐えられるかな…?」



そういうとわらわに向かってきおった。


地面を蹴り左に避ける。



「その様な攻撃は当たら…ぐっ!?」



完璧に避けた筈なのに、太股部分が十二単ごと斬られておった。


斬られた箇所が出血しておる。



「【花鳥風月 花之章:煌花】」



きらきらと暖かい光が傷口を包み込み癒す。


直ぐに何処が切れたかも分からないほどきれいに治…!?


傷は治らずそのままじゃった。


ど…どういう事じゃ…ま、まさか!?



「っ!!」



ミカエルが2度目の斬撃をわらわに御見舞しようと切りかかってきておるのを、袖口から出した短刀、今剣で防ぐ。


キィィンと金属が擦れる音が響く。


暫くの拮抗の後、互いにバックステップを踏み距離をとる。


…ミカエルが所持している短剣は厄介じゃ…。


治癒で治らない傷なんてある1例を除いて今まで存在しなかった。


じゃが…もしコレが…それと同じだったら…いや、その可能性が高いじゃろう。


つまり…わらわの最強防具は只の布同然という事になる…。


なんて物を持っておるのじゃ…これは出し惜しみしている暇はなさそうじゃな…。



「【暁 第参章:陽光】!!」



“花鳥風月”では無く“暁”を使う事にしたのじゃ。


“暁”はわらわのなかでは一番最高峰の威力と効果のある技に入る。


刀の先から圧縮された金色の光が放たれる。



「あ゛あ゛ぁぁぁぁああっ!!!」



ミカエルは光速の速さで襲い掛かる閃光をかわす事が出来なかったらしく、光は心臓のある胸部分を貫いた。


…倒せたか…?


ミカエルは口から血を吐くとそのままドサリと倒れたのじゃ。


心臓を完全に消した為…暫くは…



「再生出来ないだろうって?」


「っ!?」



気が付いた時には遅く、反応出来なかった。


わらわの後ろには12枚全部の羽を出しているミカエルがおって…



グサッ



「…かはっ…!」



後ろから刺された短剣はわらわを貫いた。


正面から血に染まった剣の先が見える…。


心臓は外れた様なのじゃが、肺を潰され呼吸が出来ない。



「何で?って思ってるのかぃ?


 そんなの簡単だよ…さっきの“アレ”、その辺の下級天使を改造した傀儡だからねぇ…良く出来ていただろう? 俺そっくりに~」


「…っぁ…はぁ…はぁ…」


「あ~、呼吸も出来ない?


 そりゃあ、神やある程度高位な天使はいくら心臓潰されても暫くは動けないだけで、死にはしないからねぇ~…と言っても痛みは人間と同じだから苦しいしねぇ…


 ああ、この武器はアレとはちょっと違うよ?まだまだ開発段階だからさぁ~、傷しか与えられないんだよねぇ~」



まずいの…視界がぼやけてきておる…。


…じゃが、ここで諦める訳にはいかぬのじゃよ。


劉夜達にも澪羽にも申し訳が立たぬ…。



「さて、あっちにいる彼等の実力も知りたいから参戦させて貰って~終わったら傀儡作りかぁ~!


 久しぶりに楽しいことが目白押しだねぇ♪」


「………ぬ」


「ん?」


「…いかせ、ぬ…!」



わらわは体に残っている力を振り絞り、体に纏わせる。


白い光を纏わせて全身がゆらゆら光っているわらわを見てミカエルは焦りだした。



「や…止めろ…っ! そんなのやられたら体再生するのに何百年かかるか…っ!?」


「……【暁 最終章:日輪】」



…後は頼んだぞ…?


わらわを中心に周囲が光に包まれる。


薄れ行く意識の中で…誰かがわらわの事を呼んだ気がした。

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