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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第5話 誘拐⑥

《side:璃音》


母さん達に連絡を入れた後、僕達は向かった。


土砂降りの中、走る。


走る度に地面の水溜まりが跳ね、ブーツが瞬く間に汚れていった。


そんな事は気にせず、身体強化をかけて更に加速させる。



「此処、か…?」



目的地に着いた頃には雨と汗でぐっしょりしていた。


うざったく張り付いてくる髪の毛を手で払い、ポケットから眼鏡を取り出しかける。


この眼鏡、僕の力作なんだよね。


自分の体力は勿論、熱感知機能が付いていて距離や相手の体力がゲーム風表示される。


こっちに来てから更に改良したから、RI●ORN!のコンタクトと龍玉のスカウター又はFFのライブラみたいなのを合わせた様な性能になった。


気、魔力を感知して表示される様になり、更にノリで直死の魔眼効果も付けてみた。


直死の魔眼に関しては初めてだから上手く発動するかわからないんだけど。


但し、味方と認めた人以外にのみ発動なので兄さん達は勿論、父さん達のも一切見えない。


見えたらゾッとするしね…。


というか何故だか知らないけれど兄さんは、持ってないのにも関わらず“感”で死の点が分かるらしい。


…怖っ!


って話がずれたね~…。


視力強化+夜目強化をかけて見上げると、そこには古いようか…ゴホンッ、古風な洋館が立っていた。


と言ってもこっちは何処も洋館なんだけど。



「そうみたいですね…」



ポチとヴァルがボソッと何かを唱えると、それぞれ愛剣を出現させる。


ポチは1本は深紅色、もう一方は青紫色の片刃の中国刀。


ヴァルは装飾の美しい細身のロングソード。



「あれ、ヴァル達も亜空間魔法使えたのか?」


「…そんな事したら空間維持に魔力が枯渇して死ぬ」



如何やら今のは呪文と剣の名前を呼んで手元に出現させる召喚魔法らしい。


ある程度魔法に慣れていると使える様なので、難易度事態はそこまで高くないんだとか。




「呟いた単語は短かったから詠唱破棄?」


「そうですよ」



あれ、詠唱破棄すると難易度上がるんじゃないの…?


この2人まで来ると魔法の詠唱破棄は当たり前なのかもしれないね。



「所で、その剣の名称は?」



気になって聞いてみた。


口元を見る事が出来れば読唇術が使えるんだけど、僕は後ろにいたし、雨音で良く聞こえなかったんだよね。



「僕の剣は青紫の方が“ヴリトラ”赤い方が“インドラ”です。それぞれ雷と炎の魔剣です」


「私のは“ティルヴィング”で、一応国に伝わる宝剣。


 私しか鞘から抜けれなかったから使っている。一応光属性の魔剣だ」


「…もうそのテンプレ…ヴァルが勇者やっちまえば?」


「…??何故だ?勇者など本来必要の無い人物だぞ?」


「確かにそうですね。


 …こう言ってはあれですが、寧ろウェスタリアは周りの国同士が同盟を組んで滅しにくるかと」


「ああ、私もそう思う、寧ろそうしてくれた方が世界に、環境的に良いだろうな」



…その国の王子にまで見捨てられた国とか…アウトでしょ。


…って、二人の持ってる剣…チート?



「何でヴァルのが魔剣でポチは蛇神の名前の刀なんだ…」


「しかも意外と有名な…」


「そっちでも有名なのか?」


「蛇神…?」


「「いや、何でもないです」」



…どんな組み合わせの剣だよ…


ポチの剣の名前になっている蛇神×2…本来敵(?)同士なんだけど大丈夫なのかな?


ポチは仲が良いと言っているけれど…。


こっちだとヴァルの剣には呪いは掛かってないから大丈夫らしい。


“狙ったものは外さない剣”だよ? ダーツに使えるよね~。



「使えないから!」



兄さん地文読み出来るの!? …うわ、気をつけないと…。


…きっと、生活や神話が違うから、“あっち”と“こっち”だと色々違うんだろうね~。


僕と兄さんも亜空間に入れておいた武器を取り出す。


僕は基本長物は得意じゃない為、ナイフや短刀、忍者刀程度の長さを好んで使う。


兄さんが隊長さんを虐めている時に、暇だったから大量に作っておいたんだよね~。


その中で今の所最高傑作の忍者刀を出す。


名前はノリで十拳剣の1つの天之尾羽張(あめのおはばり)にしてみた。


特殊効果は無いけれど、強度最強、切れ味最高、呼び戻しが出来るので投擲武器として投げるのも可能。


ついでだけど自由に変形も出来る。


もし投げるなら苦無型の方が飛びそうだから形状変える、かな?


兄さんはバスタードソードタイプの真っ黒に赤い細かな装飾が特徴的な剣で、名前はデュランダルにしたらしい。


思いっきりゲームの影響受けてるよね? これ。


って僕も人の事言えないね。



カツン…カツン…



「…っ!?」



…足音が聞こえた。


少し遅れて兄さん達も気が付いた様で足音がした方…洋館を見る。



「こんばんわ~。先ほど振りですねぇ~」



ガチャリと洋館の玄関扉が開き、ニコニコしながらジェイルが出てきた。



「お前だったのか…!」


「ええ、バイトでね~。…今頃彼女はどうなってるんでしょうかねぇ~?」


「き…貴様っ…!!」



ヴァルが走り出し、勢いを殺さずそのまま使ってジェイルに切りかかる。


彼はヘラヘラ笑いながらサラリとかわすと衝撃波を放った。



「…っぅ!」



ヴァルは吹っ飛びかけそうになったが、剣を自分の後ろの地面に斜めに突き立て、留まった。


ヴァルを見て意外だったのか、一瞬驚いた表情をしたが直ぐに元の微笑に戻った。



「…本当に御主わらわ達に敵対すると見て良いのか?……大天使“ミカエル”よ」



焔が無表情で尋ねる。


え…ミカ…エル?


良く漫画とかで出てくるアレ?


…いるんだね…。



「ふふっ…さぁ、どうでしょうねぇ? ……太陽神“天照大御神(アマテラスオオミカミ)”様?」



彼はククッと笑うと焔に笑いかけた。


…何かものすごい単語を聞いちゃった気がするんだけど気のせいだよね?


良く分からないけど、今日は矢鱈にすごい名前ばっかり聞いてる様な気がするけど…気のせいだよね!?


そうだ! そうであってほしい!! …そうだと良いなぁ~…。


僕はまた頭を抱えたくなった…。

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