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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第4話 地下④

《side:ヴァル》


リオンが“ノートパソコン”というモノを使って何かを調べだした。


あれは魔法具ではなく“キカイ”というらしい。


あちらの世界は興味深いな。


後で色々と見せてもらおう。


突如脳内に映像が浮かんだ。


一瞬唖然としそうになるが、何とか無表情を通せた。


どうやらミウがしたらしく、“ニホンゴ”ではなく翻訳までされていた。


2人とも魔法を使っているが、魔力を使っている気配はしない。


何故かと問いかけると魔力自体(・・・・)に認識阻害をかけているとか。


なるほど…そういう使い方もあるのか。


だが、それってかなり高度なのでは…?


そもそも自分に魔法をかけるのは簡単だが、他者や物に魔法をかけるのは、高度な技術と魔力が必要だ。


比較的簡単な魔法も数倍、高度な魔法になれば数十倍にまで難易度が上昇する筈なのだが…。


別に自分の強さを過信していた訳ではないのだが、これでも私はSランクだ。


彼らがきてから自分が本当にSランクなのか分からなくなってきた…。


………寝込んでやろうか。


…話が進まないので閑話休題(それはおいておく)


如何やら財源の使われ方が判明したようだが…



『『『『『『…は?』』』』』』


『人形…呪符…魔晶石って…』



…何なのだこの3つは…



『魔晶石以外、呪い用具?』


『アレだよね? 夜中に白い服装で頭にローソクつけて木に釘で人形をカツーンカツーンってするやつ』


『それだったら最後蝋燭か服なんじゃないのか?』


『…なんだその儀式は。 そんなの知らないが』


『やっぱり?』


『良く分からないですけれど、多分そうではありませんよ? もしかしたら…』


『お?』



ポチが何かを知っているらしい。


獣人で出身国は此処ではない様だから他の事を知っているのかもしれない。



『まずこの人形、人形の割りに高いと思いませんか?』



確かに値段が高い。一体10000G(ガルド)とは可笑しい。


因みに1G(ガルド)は“ニホンエン”で100“エン”らしい。


つまり、1000000“エン”になるのか?


…って誰に言ってるんだ私は。



『確かに…』


『…となると魔法具の可能性が高い訳です。


 人形で此処まで高いと…“首狩人形”の可能性がある訳です』



なるほど、そうか。


“首狩人形”とは昔、殺人事件があった。


その犯人は決まって被害者の首を狩るという事をしていた。


その犯人を真似てとある魔術研究所が人形を作った。


大きさは1メートル程なのだが、かなり強い。


共通しているのは、犯人と同じで巨大な紅い鎌を持っている事。


その研究所は潰されたのだが、市場に出回った人形は全て回収されず裏で取引されているのが現状だ。


因みにその犯人未だに捕まっていない。



『ただ、呪符と魔晶石は用途が多いので使い道は分かりませんが』


『…此処最近急に買い出したその人形が“首狩人形”だったら…国側は気がついてるって言う事?』


『そうなるな』


『あの愚王が気がつくとは思えないんだけど…』


『誰かが入れ知恵してたり…』



そう、父上は…お金に関わる事以外に関しては残念な頭になる。


今まで慎重に何年も計画を練ってきたのだからあの父上が気がつく筈が無い。


間諜、又は入れ知恵した者がいる若しくは…その両方が。



『気をつけないとね…』



リオンの言葉に皆同意をする。



「うーん…で如何するんですか?」


「え…? 何がでしょうか…?」



サラさんが驚いてリオンに聞き返す。


全員無言になって考え込んでいた為に吃驚した様だ。



「もし、改革が成功したとしましょう。 その後の事です」



そうだ。 成功しても同じ事をしていたら全く意味が無い。


具体的に決まってもいないのにする訳には行かないのだから。



「成功した後、第二王子のヴァルを立てようかと思っています」


「…ちょっと僕に案があるのですが…」



案?


何だろうか…?



「議会制ですよ。 一概に良いとは言えませんが」



議会制…?



「それはどういう…?」


「僕は科学系専門なので政治は高校程度の知識しかないのですが、簡単に言えば議会制というのは選挙によって議長を1人、議員を何十人か決めて話し合いで決めていく政治形態の事です。


 定期的に民間の意見を取り入れその都度選挙し直したりする訳です。


 どちらかというと日本の政治方法より一般的な生徒会の方のやり方に近いのですが…」


「初めて聞いたぞ…その方法…」



成る程、そんな方法があるのか。



「それにしてみよう」


「私もその方法に賛成だわ」


「ただ…」


「ただ?」



なんだろうか? 私とサラを交互に見てためらっている様だ。



「その…王族の立場が…なくなるので…」



…ああ、なんだそんな事か…



「そんなもの捨ててやるさ。 むしろ俺は平民の方が良い」


「私もそんなの要らないわ?」



リオンは一瞬驚いたが直にクスッと笑った。



「じゃあ、その方法にするんです?」


「ええ!案を取り入れて、良く考えてから使用させてもらうわね?」



私も肯く。


私達の方向は大まかではあるが決まった。



―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―



《side:澪羽》


「じゃあ、明日なー」


「お休み~」


「お休みなさい~」


「ああ、お休み」


「皆さんが良い夢を見れます様に…お休みなさい」



続きは明日に…という事でお風呂に入りそれぞれ1人ずつに用意された客室に入る。


パタンと扉を閉め、魔法を使い明かりを付ける。



「うぁ~疲れた~」



独り言を言いながらぐーっと手を組んで伸びをする。



「よし、寝よう!」



そう言ってベットに向かおうとしたのだけど…



…クラッ



「…っえ!?」



何故か体から力が抜け倒れかける。


誰かに受け止められ、これが魔法だったのだと気がついて、解除魔法をかけようとした時には既に遅かった。


せめて…念話だけでも…!


薄れゆく意識の中で必死に送ろうとするけれど…



「あぁ、念話は無理だよ? どういう原理か分からないから壊せないけれど、起動不能にしといたからさぁ~」



最後にそんな言葉を聴いた気がした…

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