第4話 地下③
《side:澪羽》
…うん、訳分からなくなるといけないから少しまとめるね。
・サラさんはミレアーナさんのお姉さんで叔母さん→第一王女と王子とは異母兄弟
・こちらの世界は1年が730日で元の世界の2倍
・20年前に召喚された人は女性らしい
・フード誰?
・王様が突然可笑しくなってミレアーナさんを殺しちゃって、その後使用人や騎士達を解雇
1つ目はファンタジー界の国に良くありがちな事だからそこまで驚きはしない。
2つ目は…少し驚いたんだけど…そういえばヴァルって28歳だから、元の世界だと…56歳!?
見た目どう見てもお兄ちゃん達と同じくらいなのにおじさんじゃん…
後の3つは謎だらけなんだよね~。
あ、でも3つ目はこの人達はわかりそうかも。
「あの、20年前に召喚された人の事について詳しく教えて貰っても良いですか?」
手を上げて質問してみると、サラさんは「わかったわ」と言って話してくれた。
「召喚された女性の名前はリィアレース・ラルカ・ローゼンブルグよ。
顔は…あら? 思い出せないわ…?」
「そういえば…あれ?」
「どういう事じゃ?」
「……ん?」
皆さんはと問いかけるも当事者達は誰一人はっきりと顔を思い出せないらしい。
「どういう事なの? 全員に記憶操作魔法かけられているのかしら…?」
多分それが一番可能性が高いのだろうけれど、当事者全員にかけるには膨大な魔力と時間がかかるんじゃないかな…?との事。
「…これは後においておきましょう、話が進まなくなりますから…」
「俺、調べておきますよ、2年間も一緒に居たのに顔が思い出せないなんて興味深いですから」
ジェイルさん…目が輝いてるよ…?
もしかしてルー兄の狂気の科学者と同じでジェイルさんも魔法狂なのかな…?
「彼女の容姿以外は思い出せるわね。 歳は当時17歳、ローゼンブルグ帝国の皇女だったみたい。
だけどもちろんこの世界にはローゼンブルグ帝国なんて存在しないわよ?
属性は普通は1属性しかない筈なんだけど…5属性下級クラス、光の上級クラスの閃光…初めから6属性を扱っていたわ」
私達は創造魔法だから属性なんて関係ないのだけれど、それだけ持ってるって事はやっぱり“規格外”なんだよね?
「…剣の腕も武術も中々だ。 一度も持った事が無いと言っていたが…途中で…」
ホークさんは無表情だけど何処と無く凹んでいるらしく声のトーンがさっきよりも下がっていた。
何年、何十年も剣を持っていたかもしれないのに…ご愁傷様(笑)
「うーん…魔国についても教えてもらえますか?」
今度は劉夜が質問した。
何処と無く目が嬉しそう…リュウ兄もリュウ兄で軽度の戦闘中毒だからかな…
お母さんのが移っちゃったんだろうな…あれ? 私の周り変な趣味(?)の人が多い?
お父さんもああ見えてかなりの仕事中毒だし…
うわぁ…改めて考え直してみると変人多いな~。
みんなスイッチが入ると暴走しちゃうから…私が止めてあげなくちゃ。
……。
…決して私は魔法狂じゃないよ? ほんとだよ?
「魔国は省略した呼び方で正式にはノーザンクレイヴ帝国。 北の大陸にあるわ。
因みに此処、ウェスタリアは西の大陸に位置するわ」
…ん?もしかして東と南の頭文字はEとSだったり…?
そしたら北東西南いや、東西南北になるのに。
「東はイーストレシア王国、南はサウスノール商業都市国よ」
うわ…当たりなんだ…(笑)
「魔国はその略称の通り国民がほぼ魔人なの。 当時は建国者のルシファー・セイム・ノーザンクレイヴが皇帝をしていたわ。
彼は魔力量、気が膨大でね、建国してから1000年経っているのにもかかわらず、20代前半の容姿でこの世の者とは思えない鋭利な美貌の持ち主らしいわ?
元々天界で神様をしていたと噂されているのだけど本当なのかしら…?」
ルシファーって聞いた事がある様な…あ、確か結構上位の天使で何らかの理由で堕天使になったっていう…。
こっちだと神様だったのかな?
「今は誰が魔国を?」
「ルシファーの弟のサマエル・セーレ・ノーザンクレイヴ治めているわ。
ルシファーやサマエルは勇者が向かっても捕らえて捕虜にしたぐらいだったの。
勇者達には悪いけれど…彼らが皇帝じゃなかったら今頃戦乱だったでしょうね…」
普通はこっちからせめて行ったのだから戦争になっても可笑しくないのに、彼らのお陰(?)で今まで大きな戦争は無かったみたい。
捕虜って…今までの歴代の勇者さん達何の為に呼ばれたのやら…
うーん、大体事情は分かったけれど、正直今回起こそうとしてる内乱に関係の無い事が分かって、肝心な事が分かってない気がする。
確かに追放や粛清してヴァルや他の人が治めれば解決するかもしれない。
だけど、どうも…裏がありそうなんだよね。
王様の様子が突然変わってヴァルのお母さん切っちゃったんでしょ?
それって魔法を使って操られたって言う事も考えられるし。
現在城に勤めてる人達はヴァルが言うには王様の考えに染められているから、他国侵略にかなり積極的になっているらしい。
いつ戦争が起きるか分からないと国民は怯えて暮らしているとかね…。
『うーん…』
ルー兄が何かを考えながら、他の人に気が付かれない様に魔法で鞄から超小型ノートパソコンを取り出し、魔法を使って打ち始めた。
気がついたのは私とリュウ兄とポチとヴァルぐらいだと思う。
『璃音、どうしたんだ?』
『ちょーっと引っかかるんだよね…前にヴァルに資料読ませてもらったんだけど…』
『資料?』
『ああ、リュウヤとミウが寝てる時に国の許可申請書や財源関係などの資料をみていた』
『国家機密じゃないのか?』
『別に、見つからなければ良い』
『……おいおい…良いのかそれで…』
『…僕もまぁ止めませんでしたけど』
『…ポチも見逃してるんじゃん(笑)』
『うっ…まぁ、そうなんですけど…』
『で、何が気になったんだ?』
『財政の支出の項目の所がね…僕達が来る1ヶ月前から急に増えてるんだよ。
前見た時は唯の大臣とかのポケットマネーになってるんじゃないかと思ったんだけどね?』
多分気づかれない様に魔法を使ってるのはスパイが居るかもしれないからかな。
私も直接見るんじゃなくて魔法を使ってみんなの頭の中に映像を浮かばせる。
突然映像が出てきた事にびっくりしたけど、直に意図を察してくれた。
ヴァルやポチに見せている映像は翻訳してあるから分かる筈…。
無言になってると、変に思われるので偶に話しながら考えているフリをする。
…暫くして財源の使われ方が分かったのだけど…
『『『『『『…は?』』』』』』
人形と呪符と魔晶石だったの…。