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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第4話 地下①

《side:劉夜》


「着いたわよ」



彼女はニコニコしながら明かりが灯っている手を真上に上げる。


すると光は手元を離れて輝きを増し、室内全体を照らした。




「うわ…すごい!」



澪羽が思わず声をあげた。


俺も一瞬声を上げそうになった…って最近驚いてばっかりな気がするんだけど…まぁ異世界だから当たり前か。


それは置いといて…目の前には巨大な空間が広がっていた。


此処が地下だという事を忘れてしまう程に広い。


質素ではあるが、会議でもするのか大きめのローテーブルとイスが何脚もあった。



「うふふっ、凄いでしょ? 此処が私達の隠れ家よ」



自慢げに彼女は言うと「着たわよー」と虚空に向かって少し大きめの声で叫んだ。


多分魔法を使って声を届けたのだろう、左右にある扉から人がゾロゾロと出てきた。


えー…ひー、ふー、みー……は?500人越え!?


流石に500人超えてからは数えるのがめんどくさくなったので止めた。


この異様(?)な光景を見ていると学校の体育館の集会を思い出すのは俺だけじゃないはずだ、多分。


ヴァルに認識阻害を消す様に言われたので消す。


すると人々は一斉にこちらを向き「おぉ…!この方々が!」と言い出した。


…情報行き渡るの早くないか??



「皆さん、静粛に」



ヴァルを除いた俺達が怪訝そうな顔をしていると道案内をしてくれた彼女が言った。


そこまで声を大きくしていないのにもかかわらず、話し声がぴたりと止む。



「こちらは皆さんご存知の通りヴァルハート様です。


 今日は先日異世界から召喚されました、リュウヤ様、リオン様、ミウ様、そして側近になられた…えっと…ポチ様?が着てくださいました」



言ったらきっと説明がややこしくなるだろうとヴァルが気を利かせたのか、焔の事は言わないでおいてくれた。


突然彼女は…いや、ヴァルやポチまでもくるりとこちらを向き、俺達は全員の視線を浴びた。



「貴方々に許可も無く突然召喚してしまい申し訳ありませんでした」



全員、一斉に頭を下げる。



「ふぇ? あ…いや、気にしないで下さい! 帰るあてはあるので…」


「そうです、貴方達は悪くないのでは?」


「リュ…兄様が言った通り帰る方法ありそうなので大丈夫です」



突然の事に間抜けな声が出てしまった。


璃音と澪羽が横から一瞬生暖かい眼差しを送ってきたのは気のせい…のはず。



「ふふっ…ヴァル、貴方の言った通りの方ね」



彼女は笑いが堪えきれなかったのかクスクス笑いながら、一部の人を残して部屋に戻らせた。


そして全員を席に着かせると、その場にいたメイドさん…もとい、侍女さんに声をかけ、お茶を手配した。



「私達の自己紹介はまだだったわね。


 私の名前は長いけれど…覚えるのは大変だろうからサラでいいわ。 元メイド長…とでも言おうかしら」


「…俺はホーク・バイル。 元騎士隊長をしていた」


「俺はジェイルだよ。 元宮廷魔道士隊長だね」


「わしは…まぁ、名前覚えるのは大変じゃろうから“爺さん”とか“元外務大臣”でいいぞ? フォッフォッ」



先ほど道案内した女性はメイド長らしいサラ、マッチョで青色の短髪で寡黙な元騎士隊長はホークさん、丸眼鏡をかけた若草色の髪の人はジェイルさん。


この3人以外は皆“元何とか大臣”で“元外務大臣”さんと同じような事を言った。


“元何とか大臣”さん達は全員年配の人ばかりで何故か孫を見る様な暖かい眼差しを送ってくる…。


俺達には祖父や祖母がいないから…何か痒いというか…くすぐったい?というか…。



「なるほどねー。 全員覚えました」



…流石璃音、顔と役職全部覚えられるなんて凄いな。



「では、説明に入りたいのだけど…その前に何故私達“元王宮勤め”が此処に揃っているのか、改革をする理由等言っておかないと。


 その為には過去話をしないといけないのだけど…」



サラさんはヴァルの方を向き「話しても良い?」と聞いた。


ヴァルは頷いた所を見るとサラさんは姿勢を正して周囲を見回す。


そして、ぽつぽつと語りだした。



―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―


─時刻はほんの少し前に遡る─


《side:聖》


「っ…はーくしょんっ!!」


「くしゅん!」



突然鼻がムズムズしてくしゃみが出た。


リカもくしゃみをしてる。



「ん?花粉症になったのかね?」


「違うと思うわ?多分誰かが噂でもしたんじゃないかな?」


「なるほど~。まあ、ボク達あらゆる意味で有名だからそうかもしれないね」



辺りを見渡すと鬱蒼と茂る木々の間から太陽が真上に見えた。


どうやら時刻はお昼の様だった。



「それにしても早く出れたね~、もっとかかると思ったのに」


「ええ、案外スムーズに渡れたわ。 腕が訛ってなかったのね~」



ふふっと笑うとリカはふと困った顔になった。



「そういえば此処、何処の森?」


「あ…」



慌てて持ってきたトランクを漁るも…


忘れていた。


本当に、思いっきり忘れていた…方位磁石と地図を…



「気配を探るにも遠すぎるのか感知できないし…一応目的地はウェスタリアの王都内だろうから、そこに向かえば探せるだろうけど、まずは現在位置が謎だな~…」


「「……」」


「ま…まぁ、こんな時の“直感”よ!」


「だ…だな! それで行こう!」


「じゃあ…あっち!」



リカはボクから見て右を差す。


持ってきた荷物を背負って歩き始める。


この時、ボクは忘れていた。


リカが究極の方向音痴だと言う事を…!!

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