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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第3話 町へ①

《side:ヴァル》


午後からは城下街に下りる事になった。


箪笥から麻のシャツと地味な色のズボンとブーツを取り出す。


さっと着替え、目立つ目の色を幻術で淡い緑色にした。


対象にかけると変化して見える魔法だ。


見破るには私よりも魔力が高かったり術者の能力に左右される為、見破られる事はまずないだろう。


きっと彼等には分かるだろうが。


思わず苦笑した。


…そういえば最近は私でも良く表情を変えていると思う。


前はこんな環境で育った所為か彼女(・・)の前以外は偽りの表情(かめん)しかしてなかったのだから。


彼らといると楽しくてしょうがない…何というか、彼女といた時とは違う、とても新鮮な気持ちだ。


出会ってまだほんの数日しか経ってないにもかかわらず。


…彼らを初めて見たときは思わず溜息をつきたくなった。


多分私よりも年下だろうが、リュウヤとリオンの気配の消し方は私と同等…いやそれ以上を感じた。


魔方陣のポイントがずれてしまって落ちる結果になってしまい、…何故かリュウヤは首が絞まって苦しそうにしていたが、隙は一切無かった。


この2人は男の私から見てもかなりの美形だと思った。


美形好きな姉上が顔を赤面させていたのだから間違いないだろう…。


…それよりも、その後ろにいたミウを見たとき思わず息を呑んだ。


毛先に緩やかなウェーブのかかっている黒髪を見て、思わず触りたくなった。


…いや、私は断じてロリコンではない…筈なのだが。


それに何処と無く…


っと、話がずれてしまったな。


リュウヤ達がいる部屋に着き、中に入る。


そこには…目の色が紫色になった3人と焔に弄られているポチがいた…。



「ヴァル準備終わったの?」


「ああ、目の色…紫は止めた方が良い」


「え、何でだ?」


「此方の世界では紫色はいないから目立つ」


「「「…異世界だからいると思ったのに」」」



緑や茶色が無難だというとそれぞれ幻術をかけた。


彼らの目は黒ではなく本当は紫らしい。


どうやって色を変えていたのか聞いてみると、“コンタクトレンズ”というものを使っていたらしい。


興味深い…ほしいのだがくれないだろうか?



「やっぱりおぬしの耳…面白いのじゃ…!」


「うわぁぁぁあ!? 触らないでっー! って、見てないで助けて下さいよ~!」


「…行こっか~」


「「「そうだな(ね)」」」



ポチが涙目になっているが…まあ、気のせいだろう。



「ちょ!?」



何処からか声がしたが、気にせずに城下町へ向かった。



―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―



《side:澪羽》


ランッ ランララ ランランラ~ン♪



「澪羽…ナウ●カ・クレイムとか…怖いから歌うの止めなよ、ね?」



ノリノリで歌ってたら止められた…。


ここはさ●ぽの方が良かったのかな?


城下町までは少し距離があるみたいなので、一般的な大型馬車で移動中。


馬車って、街中で地面は整備されてるはずなのにガタゴト揺れてものの十数分でお尻が…


慌てて創造魔法でふわふわなクッションを作って敷いてみた。


創造魔法って想像すればほぼ何でも出来るから便利すぎるよ…!


小規模な魔法を想像して花とかマッチサイズの炎とか出していたら着いた様で、馬車が緩やかに減速して止まった。


業者台に乗っていたポチが扉を開けてくれ、ヴァルに助けて貰いながら地面に降り立つ。



「うわぁ…! すごい…」



目の前には、ヨーロッパ風の煉瓦作りの町並みがあった。


お兄ちゃん達が言うには似ている様で似ていないらしいけど。


私達の様な一般人みたいな服装の人もいれば、冒険者なのだろうか鎧や武器を装備している人も見かけた。


リアルで三角帽子を被ってるザ★魔導士って感じの人もいたし(笑)


…まぁ、改めてこの世界がファンタジーなんだと実感して、ホームシックに陥りそうになったけどね…。


いくら兄妹揃ってトリップしたからといって元の世界が恋しくない訳がない。


今まで元の世界にずっと居たわけだし、向こうには長年過ごしてきた家や仲の良い友達もいたから。


お母さん達が来てくれるって言ってたからもしかしたら戻れると思うけれど数年…もしかしたら数十年かかるかもしれないという可能性は否定できないもんね。


あれ、そういえばお母さん達ってどうやって来るつもりなんだろう…?


まあ…お母さん達の事だから何とかなるんだろうな~。


とりあえず今は忘れようと思って辺りの景色の方に集中する。


武器・防具専門店はもちろん、道具屋などもある。


こっちに来た特典なのか、相手の言葉を理解できることは分かったけれど、見たこともない文字も理解できた事にびっくりした。


リュウ兄とルー兄はそれぞれ行きたい場所があるのか挙動不審だったので、別行動を取る事になったの。


そう決まって、早速リュウ兄は食品店でこっちにしかない様な食材を探すのに夢中になり、ルー兄はルー兄でこっちの薬草辞典片手に薬品店を転々と回り出した。


焔はリュウ兄について行ってる。


本当に神様なのかな、焔って…?


ヴァルとポチはそれを見て苦笑しながら、私の護衛をしてくれている。


その辺歩いていたらふと、アクセサリー店が目に入った。



「見たいのか?」


「うん」


「じゃ、行きましょう!」



頷くと何故か二人のテンションが上がった様な気がしたけど…何でだろう?



「いらっしゃい」



店の主らしき初老の男性は、ニコニコと出迎えてくれた。


店内は小奇麗で木製の棚に商品が綺麗に並べられている。


1品1品宝石の類はあまり付いていないけれど、描かれている模様がとても繊細。



「ミウ、ネックレスはどうだ?」


「ミウちゃん、腕輪はどうですか?」



夢中になって見ていると2人から声をかけられた。


そういって差し出されたのは水色の宝石がついたネックレスと藍色の宝石がついた腕輪だった。


それぞれシルバーで出来ていて鈍い輝きをはなっている。


装飾模様も蔦をイメージしているみたい。


…ってこれ、2人の目の色…?


そういえば、ポチって銀色の髪で目は藍色なんだよ。


何故か幻術魔法使って茶髪緑目だけど。



「ミウっ! こっちの方が好きだよな!?」


「いや、僕が選んだ物の方が似合いますって!!」


「りりりっ、両方とも良いと思いますっ!…多分」



何か物凄い勢いで迫ってきた…怖っ!?


というかいつの間に仲良くなったのだろう…息ぴったり(?)だし。


両方とも気に入ったのは本当なので、買ってもらいました(笑)


こんな感じにいろいろ買ったりしていたら集合時刻になりそうだったので、私達は一旦集合場所へ向かった。

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