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龍と獅子と猫の物語  作者: Neight
第1章 ウェスタリア王国
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第2話 能力①

《side:璃音》


「リュウ兄大丈夫…?」


「あぁ…頭が…」



澪羽が必死に笑いを堪えながら訊く。


…あの後20分近くヴァルと料理長に頭ゆすられてたからね。


流石にあんなに高速で頭ガンガン揺すられたら脳震盪起きても不思議じゃないぐらいだったし。


とりあえず、兄さんは放置してこれからどうしようかと考えているとヴァルに武術がどれ位か知りたいと言われたので、とりあえず服を着替えるために部屋に戻ろうという事になった。



『リュウ君~、リオン君~、みーちゃん~、聞こえる~?』



戻る最中、突然気が緩んで脱力しそうな声…が聞こえた。


兄さん達と顔を合わせるけど、3人とも首をかしげている。


兄さんは何だかんだ言っても適応能力が高いからピアスをまだ付けて丸1日ぐらいしか経ってないのに、既に制御方法に慣れた。


…というか兄さんはこんな声じゃないね~。


という事は…



『大丈夫かいっ!?怪我は?ご飯は?特に澪羽っ…お前に何かあったらボクは…』


(((やっぱり)))



3人が同時にこう思ったのは仕方の無い事だった…。

 

ヴァルは放心状態だけど…放置で良いよね。



『お父さん、お母さん、とりあえず今の所は大丈夫だよ』


『良かった~…って“今の所は”って、如何いう事だい…?』



無事で安心したらしいが、澪羽の言葉に、声のトーンが下がったよ…


ヴァルがやっと戻ってきて、慌てて父さん達に説明をし始める。


一通り聞いた後、父さんは溜息を吐いた。



『また面倒な事に巻き込まれたな…』


『すまない…』


『ま、済んじゃった事はしょうがないし、気にしちゃ駄目よ? ヴァルくんは別に悪くないんだし』



落ち込んだヴァルを母さんが励ました。


彼が悪い訳では無いからなんだか可哀そうな気がするよ…。



『あ、そういえば、そっちに助っ人送っといたから仲良くする様にね』


『私達がそっちに行くまでにいろいろ教えてもらいなさいね。


 今、家に侵入者が着たから追い出してるの。暫く忙しいから念話送れないかもしれないわ?』


『1日で行けるかもしれないが、もしかしたら1週間かかるかもしれないから、何かあったとしてもボク達が駆けつける事は期待しない方が良いよ。


 …それまで劉夜と璃音は死ぬ気で澪羽を守るんだよ!?良いなっ!?』


『あ、ひーくんそっちに行ったよ』


『はいはい』


「「「「……」」」」



誰かこっちに送り込んだらしいけど、どうやったの!?


来る事に関しても、父さん達は規格外だから気にしないでおこう…気にしちゃったらきっとキリが無さそうだしね…。


というか、場所とか分かるのかな?


そんな会話をしていたら部屋の前に着いた。


大分楽になったらしい兄さんが扉を開けようとしたんだけど…。



「……」



あれ? 何で少し空けたまま固まるのかな?



「兄さん、どうかし─」



バタンッ



「失礼しました~」



兄さんは、扉を閉めると回れ右をして何処かへ行こうとした。


すると、兄さんが閉めたはずの扉が開き、中からぬっと白い手が…


ん? 手?



「何故扉を閉めるのじゃ?」


「わぁぁぁ!?」

「きゃぁぁぁぁあ!!」



鈴の様なきれいな声が聞こえた後…兄さんがズルズル引き込まれていった。


僕とヴァルは突然の状況についていけなくて唖然としながらその光景を眺めているぐらいしか出来なかった。


澪羽が青い顔をしてガクガク震えてる…


オバケ嫌いだもんねぇ~…ん? オバケ?



「ねぇ、ヴァル…こっちって真昼にお化け出る?」


「いや…出た事が無い…」



何処の世界もオバケの出る時間帯は同じなんだなとか現実逃h…ゴホンっ、思った。


というか、オバケが綺麗な声な訳ないよね? 多分。



「ルー兄…」


「そうだね…見に行こうか」



兄さん、大丈夫かな…


恐る恐る扉を押すと、そこには…!



「わーらーわーと遊ぶのじゃー」



巫女服の上に鮮やかな紅色の十二単を羽織った幼女が、兄さんの背中に乗りかかっていた。


さらさらと真っ直ぐな黒髪は腰まで長く艶やかで、金色のぱっちりとした目。


…どう見てもオバケじゃなかった。


これがオバケだったら世界を舐めてると思う。



「…兄さんの隠し子?」


「ちがーう!この子如何見ても10歳前後だろ!! というかお前誰だよっ!?」



兄さんは背中に張り付いた子をあまり乱暴にならない程度の力で引き剥がし、ビシィッ!と指を突きつけた。



「わらわか? わらわはな…神様じゃよ?


 こう見えてもわらわは10万年しか生きておらんからなぁ…まだまだ若輩者かの?


 もっとも、今はロスト中で姿は変わっとる…まぁ、年齢なんて関係ないのじゃが」



えっへんと腰に手をあてて反り返ってる…なんだろう、このちっちゃい生き物は…。



「で、そんな神様は何をしに来たの?」



隣を見ると大分血色が良くなった澪羽が質問した。


オバケ以外なら何でも良いみたいだね。



「お主達の父上と母上に頼まれたのじゃよ~」


「あ、ちょ…それ食うなよ…」(汗)



うま~とか言いながら兄さんの鞄から饅頭取り出して食べてる。


必死に阻止しようとしているけれど、神様は涼しい顔で避けて…2個目パクり。


あああぁ~とか言いながら兄さんはlllorz状態になった。


って、父さん達が送ったのは神様だったんだ…神様を手下扱いって何してるのさ…。



「あ、わらわの事は(ほむら)と呼ぶが良い」



3個目をパクつきながらorz状態の兄さんを放置して全員を一瞥した後目を輝かせながら、



「お主達の能力の制限を解除してやりにきたのじゃよ」



満面の笑みで微笑んだ。

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