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短編小説『花道の下り坂の先、奈落で踊り狂う。』

作者: 狐の嫁入り
掲載日:2025/12/05

大学生の頃、キャリア関係の授業で自分がどのように働いていきたいか、大事にしたいことは何か、どんな企業に就職したいか、どんな人材が求められているのか、そんなことを学び考える授業があった。この頃の俺は普通に就職して、私生活を充実させながら働いて、定年退職して、それまでの貯金と年金で優雅にやりたいことをやり生活していく、なんていう生活を送っていくのだろう。そう思っていた。


いざ就職活動を始めると、どうも上手くいかない。周りは何社から内定をもらっている、どの会社にしようか、この会社はここがいいと悩んでいるという話で盛り上がる中、俺だけ一向に内定通知が出なかった。最終的に志望度はそこまで上位でなかったが、最後の方に受け、唯一内定が出た会社に新卒で入社した。ここまで聞けば、俺の求めていた人生計画の普通に就職して、働いてまでは粗方順調だ。多少苦労することも人生では必要だという。


しかし、会社に行けば毎日上司に理不尽なことで怒鳴られ、雑用ばかり押し付けられる。それが耐えられなくなり、仕事を辞めた。入社から3か月後のことだった。


そこからまた就職活動を始めたが、それだけでは生活できない。アルバイトをしながら就職活動をする日々が続いた。だが、そのアルバイトも長くは続かない。転々とアルバイトを変え、母親から仕送りをしてもらい、何とか生活を続けられていた。


そんな生活になって二年近くがたっていた。やはり、どの企業からも内定通知が来ない。アルバイトも今までいくつやめてきたのだろう。コンビニ、飲食店、アパレルなどありとあらゆる職種を網羅してきた。母親からは地元に帰ってきたらと言われた。しかし、些細なことで父親と大揉めして、東京の大学進学を希望し、逃げるように上京してきた俺は地元に帰ることに耳を傾けることすらしなかった。いつしか母親との連絡も途絶え、仕送りもなくなっていた。


小学校の頃から頭がよく、中学校でも成績は常にトップ。地元で随一の進学校と言われる高校に入学。高校でも成績上位をキープし続け、超難関大と言われる東京の大学に進学し、同時に上京。一流企業に就職して、仕事をバリバリこなし大仕事を成功させて、出世して…。そんな人生を送るはずだったのに。


今はどうだ。会社を辞めて半年以上たった頃、友人に勧められて渋々ハローワークに行ったが、俺の希望する条件の職はないだとか、今の俺には厳しいだとか。会社に勤めていた時もそうだ。君のやり方は間違っている、君はこの仕事をやってと誰でも簡単に終わらせられる仕事ばかり俺に押し付ける。アルバイトを始めても、説明の仕方が悪いわ、効率が悪いわ、話が通じないわで仕事をする気になれない。


ビルのガラスに映る男を見る。髪はぼさぼさ、髭も伸びて血色間のない唇や頬をした清掃員の男の姿。これが今の俺だ。ガラスの奥には、何かのプレゼン中だろうか。俺と同じくらいの年の男が、ビシッとスーツを決めてお偉いさんと思われる装いの人物にキラキラした目を輝かせている。俺があそこに立っているはずだったのに、何十年後にはあのお偉いさんになっているはずだったのに。


いつから違った。周りのやつらが俺を理解していないのが事の発端じゃないのか。俺の何がいけない。何が悪い。他のやつは俺の何が理解できない。何故、理解されない。


俺が何を間違えた。


この物語を読み終えてから、もう一度読むと、また違った意味で物語が読み進められるかもしれません。

理想を追い求め、何かに溺れた男。彼は一体、いつ何を間違えたのでしょうね。

そもそも彼が語った理想の人生は、どこが本当の話なのでしょうか。

高校での成績は?本当に難関大に進学?そもそも成績上位も本当なのでしょうか。

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