表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/68

真実に触れた心が、動けなくなる夜

森野さんがカケルさんだと確信してから、私はずっと避けて来たBlueMoon解散の真実を調べ始めた。

ネットや新聞、週刊誌などの過去の記事を探して、ようやく真実らしき内容に辿り着いたのは地元新聞の記事だった。

それは、14年前の10月に起こった出来事だった。

その日は、デビューが決まったBlueMoonが地元のライブハウスでライブを行った。

 当時の人気は物凄く、ライブハウスに人が入りきれない程だったらしい。

バンドの人気が上がると共に、ボーカルであるカケルさんの人気は凄まじく、カケルさんファンの女性数人が、当時、カケルさんの彼女だった『鈴原清香』さんに、カケルさんと別れるように詰め寄ったらしい。

その状況をカケルさんが偶然見つけ、助けようと声を掛けた瞬間、カケルさんのファンがカケルさんに気付いて興奮状態になり、揉み合いになってしまったらしい。

 そして、揉み合うファンの波に押されて、鈴原さんは運悪く車道に押し出されてしまったんだそうだ。

その時、丁度通りかかった大型トラックに引かれしまい、亡くなってしまったと書いてあった。悲しかったのは、本来なら少年Aと記されるべき未成年者なのにも関わらず、新聞にははっきりと「BlueMoonのボーカル担当、カケル(本名:森野翔太)」と本名まで明記されていた。

いくらデビューが決まっていたからとはいえ、こんな風に名前を晒されて辛くない訳が無い。

そして色々と調べるうちに、カケルさんは目の前で恋人を失ったショックで、音楽だけが聞こえない病気になってしまったんだそうだ。

カケルさんが歌を歌えなくなり、元々カケルさんの歌声で人気のあったBlueMoonは解散したのだと記事には書いてあった。

(やっぱり……、森野さんがカケルさんだったんだ……)

分かってはいたけど……、名前を見て森野さんがカケルさんだったとはっきり分かりショックだった。

そして、恋人を失ってから今までずっと、森野さんはその罪を背負って生きて来たんだと知った。

14年……。

 事故当時に赤ちゃんだった人が中学2年生になるほどの年月を、森野さんは一人で苦しんで生きて来たのだと知った。

真実を知って以来、私も森野さんとどう接して良いのか分からなくなってしまった。

 森野さんの瞳が誰も映さない理由が重すぎて、私がどうにかしてあげられる問題では無いと……そう思った。

 森野さんが好きだという気持ちは変わらない。

でも、私の気持ちを伝えたら……、森野さんが拒絶するだろう事は容易に分かる。

それなら、お互いに一定の距離を保って、職場の先輩後輩で居た方が良いに決まっているから……。

 森野さんを好きだという気持ちを知る前の時のように、普通に怒ったり笑ったりしていた頃が遠い昔に感じられる。

身動きできない想いにもがいていると

「何かあったの?」

と、杉野チーフが声を掛けてくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ