運命の出会いは、あの声から始まった
その声は、幼い私の心の琴線を鷲づかみにするように――
強烈に飛び込んで来た。
──出会いは、小学三年生の頃だった。
両親の離婚問題で家が揉め、私は急きょ母方の親戚の家へ預けられることになった。
そこには私より七歳年上の従姉妹がいて、当時高校生だったお姉ちゃんに連れられて文化祭へ行った日のことだ。
広い体育館には、まばらに人が立っていた。
「明日海ちゃんは危ないから、ここに居てね」
そう言われ、父兄用のパイプ椅子にちょこんと座らされる。
ステージでは、正直“上手い”とは言いがたいバンド演奏が始まっていた。
ドラムは叩きつけるように大きく、ギターはただうるさいだけ。
思わず耳を塞いでしまう。
そのバンドの演奏が終わる頃、まばらだった体育館に続々と人が集まり始め、気付けば人、人、人。
視界が人の背中で埋まり、ステージがすっかり見えなくなってしまった。
(何が起きるんだろう……?)
幼いながらに胸の奥がざわざわしてくる。
ドンッ――
新しいドラムの一撃が響いた。
続いてギターとベースが鳴る。
(え……また、あのうるさい音?)
反射的に身体を強ばらせたその瞬間――
スティックが軽やかにリズムを刻み、ギターとベースが一斉に音を重ねる。
その次の瞬間、「声」が来る。
おはようございます。
今日から、いよいよ新作の連載が始まります。
今回の作品は、私の処女作を大幅に書き直したものです。
当時の想いはそのままに、今の自分だからこそ描ける形へと丁寧に整えました。
初めての方も、以前の作品を読んでくださった方も、
楽しんでいただけたらとても嬉しいです。
次回の更新は 8時30分 を予定しています。
どうぞ、これからの物語もよろしくお願いいたします。




