第4話 寄居優衣
映画を観終わり、映画館を出ると奥に、
木でできた長い椅子がたくさんあったので、端の方にある椅子に座った。
そして映画の感想を言い合う。
シュシュはテンション高く
「2人からの告白やばくない」
月夜は
「あれは戸惑っても仕方ないね」
「アピールされるのもやばいね。私だったら選ばないで…」
「なに?」
「いや別に…」
「わたしは看病してるシーンがよかったな。
あれは…ああなるのもわかる」
「月夜はああいうとこ弱いのか。私が怪我したら、ああいゆう看病よろしくね」
「どうしよっかなあ」
そんな会話が一通り終わるとシュシュが
「服見に行こうよ」
「うん。じゃあ2階だね」
2人はエスカレーターで2階まで下り、
2店あるレディースショップへと入って行った。
「このワンピースかわいくない?こっちのスカートもいいね」
シュシュはテンション高めで物色している。
「キャスケットいいな」
と帽子コーナーを見てる月夜。
「あースカート買おうかな。月夜どう思う?」
「いいんじゃない」
「これ(スカート)買うね。月夜のお墨付きだしね」
「それ買うポイントになるの?」
と月夜は笑った。
スカートを買ったシュシュは
「月夜は?」
「私は今回パスで。アクセを買うかも」
「じゃあ見にこう」
2人は4階へと向かった。
ジュエリー専門店もあるがとてもじゃないが手が出ない。
2人が向かったのは雑貨屋の2店舗。
「リング~イヤリング~」
とシュシュはここでもテンション高い。
月夜もリングやバーリンクチェーンを見ている。
そこへ
「月ちゃん」
と月夜を呼ぶ声。
月夜が声をかけられた方へ顔を向けると、そこには寄居優衣がいた。
寄居は月夜の親戚で、この駅周辺に住んでいる。
シュシュが
「お知り合い?」
と小声で聞いてきたので
「うん。親戚にあたる寄居優衣さん」
と答えた。
寄居も
「お友達と何してるの?」
と聞いてきたので
「映画観て、服見て、アクセ買おうとしてたとこ」
と言った。
「何買うつもり」
と言うので
「リングかなあ」
と答えると
「ちょうどいい。シルバーのリングならあげようか?」
と言ってきた
「お友達の分もあるよ」
と。
月夜とシュシュは顔を見合わせた。
シュシュは
「私にもですか?」
と言ってから
「月夜のクラスメイトの鶴ヶ島朱珠といいます。キラキラネームです」
そして後ろを向き、頭の後ろのシュシュを指す。
寄居は
「月ちゃんの親戚の寄居優衣よ。二十歳」
「おおー大人だ」
シュシュはなんか尊敬の目で見ている。
「で、2人ともいる(リング)?」
「「いる!」」
「わたしの家まで来てもらってもいい?すぐそこだから」
と言って
「その前に、飲み物だけ買わして」
「わかりました」
とシュシュが言う。
3人は1階の食料品売り場へと向かった。
寄居は飲料のコーナーに向かい、炭酸水を3本持ってレジへと向かった。
月夜は疑問に思い
「優衣姉、彼氏いるの?」
「いないよ。なんで?」
月夜は何か言おうとしたが、シュシュが
「え~美人なのに」
と不思議がる
「ありがとう」
と寄居は言った。
寄居は162cmとシュシュより気持ち背が高く、
セミロングの金髪でウェーブがかかっている。
月夜がかわいい系なのに対して、寄居は整った顔立ちの美人系だ。
レジで買い終わると
「じゃあ行こうか」
と3人で寄居の家へと向かった。
行きに入ったところと別の出口から出て、信号を渡る。
寄居のマンションはスーパーから5分の場所にある。
「部屋すごい散らかってるから玄関先でいい?」
と言ってきたので、2人は
「大丈夫です」
と答えた。
寄居は奥に入っていくとすぐに戻ってきて
「気に入ったのあれば、2~3個ずついいよ」
と箱に入ったリングをたくさん持ってきた。
「「おお!」」
2人は1つずつ見て
「これかわいい」
「これいい」
そして
「ほんとにいいんんですか?」
とシュシュが聞く。
「いいの、いいの。実はわたしもただでたくさん貰ったんだよ」
月夜はリング2つ、
シュシュはイヤリングと一緒に入っていたリングを手にした。
「これにします」
「ありがとう優衣姉」
「気に入ったのがあってよかったよ。
じゃあ私これからバイトだから。2人は?」
月夜はシュシュを見て
「わたしは帰ろうかな」
「じゃあそうしよっか」
とシュシュが言う。
2人は寄居に再びお礼を言ってから別れ、駅へと向かった。
「なんか得しちゃった。寄居さんめっちゃ良い人」
「わたしも買う予定のお金が浮いた」
「ただで貰ったって言ってたよね?」
「たぶん友達がジュエリー作ってるって言ってたから、その人からじゃない」
「でも、そんなに貰えるものかなあ?」
「まあいいじゃない」
そんな話をしていたら駅に着いた。
ここからお互い逆方向の電車なので別れた。
シュシュはたぶん家に帰るのだろう。
わたしはこのままあき兄のお店に…。
駅についたら商店街を歩きあき兄のお店へと向かった。
最初家に一旦帰ってから行こうと思ったけど、家とお店は逆方向。
すぐにあき兄に会いたいと思ったのだ。
優衣姉にリングを貰って気分がいい。
映画の話もしたくて、なんだか足取りが軽やかだ。
少し歩いてお店に入ると、あき兄は接客していた。
「このテータリックはマレーシアなどで大人気の飲み物でして、
紅茶にコンデンスミルクが入ってる飲み物です。
ちなみにマレー語で(紅茶と紅茶を)引っぱりながら淹れる。
つまり注ぐ時に上に持ち上げながらいれるんですよ。
まあこれはインスタントですが…」
女性のお客は
「甘すぎない?」
と聞いてきた。
「甘いは甘いですが、しつこくなくクリーミーな喉越しという感じですよ」
「じゃあいただきます」
と言って、オーツクッキーとさっきのテータリックを買っていった。
「あき兄、売れたね」
「今日はお菓子の出がいいな」
月夜はいつも通り、店の奥にある椅子に座った。
「今日は友達と学校終わってから、映画みたりしてきたよ」
「そうか」
「あと親戚の優衣姉にもあったけど…知ってるっけ?」
「ああ、名前とかはね」
「それでリングをただでもらっちゃった」
「リングって指輪?それはよかった。」
「うん。映画も面白かったし、リングもいい感じだし」
「よかったなあ。でもなんか腑に落ちない顔してどういたんだ」
「優衣姉にリング貰う前にね、炭酸水買ってたんだよ」
「うん」
「でも優衣姉、炭酸飲めないんだよ。
最初…彼氏かと思って聞いたらいないって言うし」
「飲めるようになったんじゃないのか」
「いや前に一生飲まないって言ってたから
克服してるとは思えないんだよね。そういえば3本も買ってた」
「じゃあ友達用だろ」
「そうかも…あ…でもその後優衣姉の家にいったんだよね。
そしたら部屋散らかってるって言って、
部屋に入れてくれなかったから、友達用も違うと思う」
ここで一旦会話は終わった。
お客が来店してきたからだ。
高坂はレジ前に立ち、呼ばれたらお客のところに行くつもりだ。
月夜は、自分で考えることにした。
しかし、これといった答えは出なかった。
今度のお客もお菓子を2つ買っていった。
今日はほんとにお菓子が売れる日らしい。
売れ行きがよいのは嬉しいんだけど、
その間あき兄と話せないのがなんだか寂しい。
高坂が戻ってくると
「あき兄わからない。助けてよ」
「なんだまだ悩んでいたのか」
「だって気持ち悪いじゃん」
「リングってどいうのだ?」
と言ってきたので、月夜は先ほどもらったリング2つを出して、高坂に見せた。
「これって材質は?」
「シルバー」
「高いの?」
「う~ん、そこそこかな。私たちでも買えるぐらい。2つは厳しいけど」
「貰ったのはこの2つだけ?」
「うん。友達はリングとイヤリングを貰ったよ」
「4つもあげたのか。ブルジョアだな」
「なにそれ」
と言って笑った。
「たぶん優衣姉の友達がアクセサリー作りしてるから
その人からもらったんだと思う。
その人中学頃から作ってるんだって。すごいね」
「それはすごい。じゃあリングが関係なくて、
友達でも彼氏でもないなら料理に使うとか」
「優衣姉料理あんま出来ないよ。いやほとんどかな」
高坂は考えこんだ。
「それであき兄わかった?」
「まったくわからん。まあ別にわからなくてもいい問題だろ」
「だからなんか気持ち悪いんだって」
結局2人はわからないまま。
時刻は閉店時間へと近づいていった。
「ちょっと家に戻るね」
月夜は高坂に声をかけ店を出た。
お店を出て、わき道に行き踏み切りを渡って坂を下り、自宅へ着いた。
まっすぐ台所へと向かいお湯を沸かす。
湧くのを待っている間、紙コップを2つを取り
砂糖とミルク・紅茶のティーバッグ、そしてドリップコーヒーも取り出した。
ドリップコーヒーはフィルターに粉がすでにはいっているやつで、
上の部分をやぶりお湯を注ぐタイプのものである。
お湯が沸けたのでタンブラーに入れ蓋を閉めて、
紅茶とコーヒー道具一式を持って来た道を戻り、再びお店へと向かった。
お店へ着くとまた奥にある椅子へと座り、テーブルに持って来た道具たちを並べた。
「飲み物持って来た。紅茶でいいよね?」
「ありがとう」
月夜は手際よくカフェオレとミルクティーを作り始めたのだった。




